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第一王女エルサナ

「零です。」

零が笑顔を作って言った。


「エルサナです。」

第一王女エルサナは無表情でベッドに横たわっている。


厚めのシーツがかけられているが、右の肘から下、右足が無いのがわかる。


「こんな姿で許してください。」

第一王女エルサナは無表情に言った。


「では、失礼します。」

『粒子、治癒。』


第一王女エルサナは2年前の魔王軍との戦いで右の肘から下と右足を失った。


あまりにも激しい戦いだった為、治癒が遅れて、何とか命は取り留めたが、失った部分の再生ができなかった。


それ以来、第一王女エルサナは、護衛の2人と第二王女イザベラ以外、人と会わなくなった。


「終わりました。エルサナ王女、まだ動かさないでください。元の状態に戻るには時間がかかります。」

零が笑顔で言った。


「元に戻ったのではないの!?」

第二王女イザベラが悲しそうな顔で聞いた。


「いいえ、元に戻ってません。エルサナ王女、ゆっくり右手を出してください。」

零が言った。


第一王女エルサナがシーツから右手を出すと右手は元に戻っていた。


「お姉様!」

第二王女イザベラが第一王女エルサナに近寄った。


「あっ、ダメです。」

零は、喜んで第一王女エルサナに抱きつこうとした第二王女イザベラを粒子で固めて止めた。


「う、動けない…」

第二王女イザベラが苦しそうに言った。


「あ、イザベラ王女、すみません。エルサナ王女、まだ指を動かさないでください。」

第二王女イザベラの粒子の固定を解除した。


「どうしたのよ。成功したのでしょう。」

第二王女イザベラが聞いた。


「はい。でも元に戻ったわけではありません。エルサナ王女の脳は2年間右手と右足が無い事に慣れています。今イザベラ王女が抱きついて、エルサナ王女がイザベラ王女の体に触れたら、その部分を握り潰してしまいます。」

零が説明した。


「何よそれ。」

第二王女イザベラは不満そうな顔をした。


「右足も同じです。ゆっくり立ち上がってください。ゆっくり。」

零が言った。


「軽く飛び上がってください。本当に軽く。」

ゆっくり立ち上がった第一王女エルサナを見て零が言った。


第一王女エルサナは軽く飛び上がったら、3メートル程の高さに達した。


「何、これ!」

第二王女イザベラが驚いて言った。


「どうしてこんなに飛べるのです?」

第一王女エルサナも驚いて聞いた。


「あ〜、今は飛べてしまいますけど、脳が右足の存在に慣れたら元に戻ります。」

零は言いにくそうにした。


詳しく説明すると、粒子の事も、治癒魔法ではない事も、バレる可能性があるのではぐらかした。


「飛べる方がいいではありませんか!」

第一王女エルサナが笑顔で言った。


「え?」

零が驚いた。


第一王女エルサナは今度は力を入れて飛んだ。


第一王女エルサナは7メートルはある天井まで凄い速さで飛び上がった。


「あ、危ない!」

零が粒子で第一王女エルサナの動きを止めた。


「本当に危ないですから。慣れるまで、自分をキズつけるし、人もキズつけるかもしれません。」

零が必死の顔で説明した。


第一王女エルサナは零の話をほとんど聞いてない。


「リリーサ、皆様に部屋に入って頂いて。」

第一王女エルサナが大きな声で言った。


「よろしいのですか。」

黒騎士リリーサが確認した。


「いいわ。」

第一王女エルサナが答えた。


皇帝ゼノフィス、第二王子ネイラル、黒騎士達、フェスとリラが部屋に入ってきた。


「…エルサナ。」

皇帝ゼノフィスは立っている第一王女エルサナの姿を見て涙を流した。


第二王子ネイラルも涙が溢れた。


黒騎士達も感激した。


「父上、長い間の親不孝、お許しください。」

第一王女エルサナが言った。


皇帝ゼノフィスは頷きながら、涙が止まらない。


「父上、ご覧ください。」

第一王女エルサナは5メートル程飛び上がった。


皇帝ゼノフィスは第一王女エルサナを見上げ、涙が止まり、唖然とした。


「あ、無茶しないでください!」

零が言って着地の時、粒子でクッションを作った。


「あ、姉上?」

第二王子ネイラルの涙も止まった。


黒騎士達も唖然とした。


「相当元気じゃねぇか。」

フェスが笑いながら言った。


「何だ、これは?零殿、どういう事だ。」

皇帝ゼノフィスは戸惑って言った。


「はぁ、まだ右手と右足がエルサナ王女の脳に慣れてなくて。慣れるまではこんな感じなんです。元に戻るまでは時間がかかります。」

零は申し訳なさそうに言った。


「ははは、父上、ネイラル、見てください。」

又飛び上がりながら第一王女エルサナが笑って言った。


「…あの子の笑顔を久しぶりに見れたのは嬉しいのだが。」

皇帝ゼノフィスが少し戸惑って言った。


「ミナリス、剣を持て。」

第一王女エルサナは黒騎士ミナリスから受け取った剣の柄を握り潰した。


「お姉様、ケガをしますから、無茶しないでくださいって。」

第二王女イザベラが慌てて止めた。


「何だ、あれは?剣を握り潰すのか?…零殿、元に戻るには、どのくらいかかるのだ。」

皇帝ゼノフィスが呆れて聞いた。


「はぁ、慣れるまでとしか言いようがなくて。」

零が言った。


「ふむ。…明るく笑うあの子を見る事ができた。零殿、感謝する。」

皇帝ゼノフィスが言った。


「はい。エルサナ王女が元気になって良かったです。」

零が言った。


第一王女エルサナは喜んで飛び上がっている。


【次回予告 】

皇帝に追い込まれる零。


物語を読んでいただきありがとうございます。

これからも面白い物語に育てていきます。


「面白い!!」「続きが読みたい!!」と思っていただけたら、

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