皇族の秘密
再び皇宮応接室。
『やっぱり僕達の力を脅威に感じてる。王国と同じだね。帝国の名誉騎士の称号を与えるって事になったみたい。』
零がフェスとリラに念話した。
『名誉騎士ですか!なんか良いではないですか!』
フェスが嬉しそうな顔をした。
『零殿、何かありましたか?』
フェスの嬉しそうな顔を見て、セレスティアが念話で聞いた。
『はぁ、帝国はどうやら僕を名誉騎士にするつもりのようです。』
零が念話でセレスティアに答えた。
『名誉騎士…う〜ん、微妙な所をついてくる。さすがはゼノフィス皇帝。』
セレスティアが念話で唸った。
「さっ、そろそろですね。」
零がわざと声に出して、盗聴魔法で聞き取れるように言った。
零達のいる応接室に黒騎士クロムエルが迎えにきた。
零達は皇帝の執務室に通された。
謁見の間は魔族の襲撃を受けて崩れた壁や柱が散乱しているので、零達を皇帝の執務室で迎える事になった。
皇帝の執務室には、中央に大長卓が置いてあって、左右に30人の黒騎士達が整列している。
零達は席に着いた。
「私がゼノフィス・ドゥ・イタリウスだ。第二王子のネイラルと第二王女のイザベラだ。」
皇帝ゼノフィスが言った。
「零です。僕の仲間のフェスとリラです。」
リラは会釈したが、フェスは相変わらず知らん顔している。
「グランバルト王国近衛騎士セレスティアです。」
「グランバルト王国近衛魔法士カタリナです。」
「この度は帝国の危機を救ってくれた事、勇敢な戦士達に礼を言う。」
皇帝ゼノフィスが言った。
「勿体なきお言葉。」
セレスティアが答えた。
「ついては帝国を救ってくれた5人の戦士に、帝国の名誉騎士の称号を与えたい。受けてくれるかの?」
皇帝ゼノフィスが笑顔で言った。
「こ、皇帝、ご冗談を。私とカタリナは王国の近衛騎士です。帝国の名誉騎士の称号はお受けできかねます。」
ゼノフィスが慌てて言った。
「そうであったな。では零殿は受けて頂けるであろう。」
皇帝ゼノフィスが零を見て言った。
「…はい。ありがとうございます。」
零が言った。
「王国の民である零殿が帝国の名誉騎士を受けてもらえるとは、嬉しい限りよの。」
皇帝ゼノフィスが言った。
「あ、ははは。」
零は笑って誤魔化した。
「零は王国の民ではないわよ。」
カタリナが言った。
「カタリナ!」
セレスティアが小声で制した。
「左様か、零殿は王国の民ではないのか。それは失礼した。」
皇帝ゼノフィスがにこやかな顔で言った。
「皇宮も攻撃を受けてロクな歓待も出来ぬが、どうかごゆるりとして頂きたい。」
皇帝ゼノフィスが言った。
「皇帝、せっかくのお申し出ながら、私達は国王の命令で任務として来ております。任務完了次第即時帰還するように命じられております。」
セレスティアが言った。
「左様であるか。アルベール国王が早く帰って来いと、そう言われたか。」
皇帝ゼノフィスがニコリとして言った。
『何言っても術中にハマっていく感じ。帰りたいなぁ。』
零がフェスとリラに念話した。
フェスが突然立ち上がった。
「主はお忙しいのだ。そろそろ帰らねばならん。もういいか?」
フェスがつっけんどんに言った。
零は驚いて目を丸くしてフェスを見た。
セレスティアもカタリナも黒騎士達も、皇帝に対し、あまりの無礼な物言いに驚いて言葉を失った。
リラはクスッと笑った。
「駄目よ!」
イザベラ王女が言った。
「零様にお願いがあるわ。私のお姉様を治して。」
『粒子、イザベラ王女の姉を探索、鑑定。』
『あっ、これは…』
零の顔が悲しみで曇った。
「イザベラ様!その事は!」
黒騎士フィオナが制した。
「零様は帝国の名誉騎士よ。もう身内同然。零様なら知られても大丈夫よ。」
第二王女イザベラが声高に言った。
「イザベラ様!」
黒騎士フィオナが第二王女イザベラを再び制した。
「よい、フィオナ。零殿、イザベラの無理を聞いてくれるか。」
皇帝ゼノフィスが何か諦めた様に悲しい顔で聞いた。
「はい。僕のできることをしてみます。」
零も悲しい顔で答えた。
「セレスティアさん、カタリナさん、ここにいてください。ゼノフィス皇帝、ネイラル王子、イザベラ王女、デュンデさん、クロムエルさん、フィオナさん、じゃあ、転移します。」
零達は皇宮の第一王女エルサナの部屋の前に粒子で転移した。
部屋の前では黒騎士リリーサが護衛している。
「何事か!…皇帝!ネイラル王子、イザベラ王女、留学中では?」
黒騎士リリーサが剣の柄に手をやって言ったが、すぐ片膝をついた。
「リリーサ、お姉様は?」
第二王女イザベラが聞いた。
「部屋の中におられます。」
黒騎士リリーサが答えた。
「お姉様、イザベラです。入りますよ。」
第二王女イザベラが言った。
「イザベラですか。どうしたのです?」
部屋の中から声がした。
イザベラ王女が部屋に入った。
暫く部屋の中で話し声がした。
「零様、入って。」
第二王女イザベラがドアから顔を出して言った。
零は第一王女エルサナの部屋に入った。
【次回予告 】
第一王女エルサナの秘密。
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