皇宮の混乱2
「ありがとう、クノスバ。」
零が言った。
「はっ。」
戻ってきた魔道士クノスバは空中に開いた黒い穴に消えて行った。
「ちょっと乱暴なやり方でしたけど、あれを見た残兵は逃げ帰るでしょう。これでこの戦争は終わりました。」
零がカタリナと黒騎士クロムエルを見て笑顔で言った。
その笑顔にカタリナは再び恐怖した。
黒騎士クロムエルは茫然としている。
「パルマラス城に戻りましょう。」
零が言って皆と粒子で転移した。
パルマラス城、執務室。
零達、セレスティアとカタリナ、黒騎士達9人が粒子の転移で戻ってきた。
「城から見ていた。圧倒的な戦いだった。零殿、ありがとう。帝国は救われた。」
ネイラル王子が言った。
「ネイラル王子、良かったです。じゃ僕達はこれで帰ります。」
零が言った。
「え?ちょっと待ってくれ。何を言っているんだ。零殿は帝国を救った英雄だぞ。このまま帰すなんて、帝国の恥になる。皇宮に来てくれ。」
ネイラル王子が言った。
「え、僕達はアルベール国王の要請で来ただけですから。お礼ならアルベール国王に言ってください。」
零が困った顔で言った。
「死んでもおかしくない戦いだったんだぞ!敵を撃退してくれて帝国の民と兵を救ってくれたのだ。このまま帰したら、私は皇帝に叱られる。頼む零殿、皇宮に来てくれ。」
ネイラル王子が懇願した。
「お兄様がこれだけ頼んでいるのよ。皇宮に来なさい。」
イザベラ王女が怒って言った。
「ええ〜、…はぁ…わかりました。」
零が渋々了承した。
パルマラスから皇宮まで馬車で行くと1日かかるので、零の粒子の転移で行く事にした。
皇宮の前に粒子で転移した。
皇宮の門はワイバーンのブレスで溶かされて破壊されていた。
イザベラ王女は悲しそうな目でそれを見ていた。
「直そうか。」
零は見かねて粒子で門を復元させた。
「こ、これは!」
ネイラル王子や黒騎士達は驚いた。
「ありがとう、零様。」
イザベラ王女が嬉しそうな目で言った。
「さ、様?」
零は怯んだ。
「零様はフィオナを助けてくれて、ネイラル兄様を助けてくれて、帝国も救ってくれた。これからは零様と呼んであげるわ。」
イザベラ王女が顔を少し赤らめて言った。
「はぁ、それは、どうも。」
零がためらいながら言った。
零達とセレスティアとカタリナはネイラル王子と黒騎士達に先導されて皇宮に入った。
『やだなぁ…王様に会うとロクな事にならないんだよなぁ』
零がフェスとリラに念話した。
『確かに。王国の時は婚姻話が出て、学園にまで通わされてますから。』
リラが念話で答えた。
『面倒ですな。皇帝を倒して帝国を乗っ取りましょうか。』
フェスが念話した。
『やめなさい。』
零が念話で止めた。
皇宮応接室。
「こちらでお待ち下さい。」
零達とセレスティアとカタリナは豪華な応接室に通された。
ネイラル王子とイザベラ王女と黒騎士達は皇帝に報告に行った。
何度もお茶やお菓子が出されたが、長い時間待たされた。
『この部屋には盗聴魔法が仕掛けられてますね。』
零が皆に伝えた。
リラが口元だけで笑った。
カタリナが黙って頷いた。
『この盗聴魔法はクラリッサさんのですね。』
零が念話した。
『あいつ、こんな魔法で隠蔽してるつもりなのかしら。』
カタリナが念話した。
『知り合いなのか?』
フェスが念話で聞いた。
『同じ師匠に仕えたのよ。半年早く入門しただけで、姉弟子ってうるさいのよ。』
カタリナが念話で答えた。
『第一印象ですけど、なんかカタリナさんに似てましたね。』
零が念話した。
『やめてよ、似てないわよ!』
カタリナが零を睨んだ。
零は皇帝達の話し合いを粒子で見ていた。
皇宮の謁見の間。
魔族とミノタウロスとの戦闘でいろんなところが崩れている。
ゼノフィス皇帝とフレリック将軍と皇宮内で戦っていた黒騎士が、城壁の外で戦っていた黒騎士達から報告を受けていた。
「4000体のハイオークを空に浮かせて首を斬っただと。」
黒騎士レンバスが言った。
城壁の外でハイオークと戦っていた黒騎士達は頷いた。
「たった1人の魔道士が、4000体を、そんな簡単に、本当なのか。」
別の黒騎士が言った。
「目の前で見ていた自分自身が、今でも悪夢を見ていたのではないかと思うくらいだ。」
城壁の外で戦っていた黒騎士の1人が言った。
これでは戦争にならない。
何万の兵を揃えても、敵に魔導士クノスバがいれば、空中に浮かされて簡単に首を斬られてしまう。
誰もが思ったが、それを言葉にできず、暫く沈黙があった。
「王国の騎士が空を飛んでワイバーンを落としていたと言うのか。」
別の黒騎士が言った。
「人が、たった3人が、50体のワイバーンと互角以上に戦うなんて、王国の騎士はどうなっているのだ。」
別の黒騎士が言った。
「クラリッサ、奴らの魔法は、いや、魔導具なのか、何だと思う?」
別の黒騎士が聞いた。
「分からないわよ。聞いた事もない。零って少年は大賢者じゃないの。それで魔導士クノスバって言うのは悪魔とか。悪魔を従えてる大賢者ね。」
黒魔法士クラリッサが呆れて言った。
零が悪魔を従えてる、というのは当たっている。
「俺達も、零殿に魔法をかけてもらって、俺は100体以上のハイオークを倒した。」
城壁の外で戦っていた黒騎士の1人が言った。
「私もだ。どれだけ剣を振るっても疲れなかった。それどころかより力が湧いてきた。」
城壁の外で戦っていた別の黒騎士が言った。
「ハイオークの打撃を受けてもほとんど痛みを感じず、攻撃して来たハイオークが弾かれていた。」
城壁の外で戦っていた別の黒騎士が言った。
【次回予告 】
零の能力に皇宮は混乱。
物語を読んでいただきありがとうございます。
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