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皇宮の混乱

使者バーンズはゼノフィス皇帝に自分が見てきた全てを報告した。


「転移魔法だと…クラリッサ、転移魔法は実在するのか?」

黒騎士の1人が聞いた。


「存在しないわよ。転移魔法なんて所詮はおとぎ話。理論上でしか出来ない魔法よ。」

魔法士クラリッサが呆れて言った。


「大体、空を飛べるなんて。強力な風魔法なのか?」

黒騎士の1人が言った。


「それも無理ね。人間の重量を魔法で浮かすなんて。それも理論上でそんな魔力はおとぎ話の大賢者でもないとできないわ。」

黒魔法士クラリッサが言った。


「信じられん。さっきの少年がパルマラス城を救ったと言うのか。」

黒騎士の1人が言った。


ゼノフィス皇帝は黒魔法士クラリッサの話を聞きながら、アルベール国王からの返書を見ている。


「確かに、アルベール国王からの返書だ。あ奴らしくない、慌てて書いておる。」

ゼノフィス皇帝が言った。


「何と書いてあるのですか。」

フレリック将軍が聞いた。


「援軍を1万人送ってくれるそうだ。その前に5人の騎士を送ると書いてある。日付が今日になっておる。」

使者バーンズを見ながらゼノフィス皇帝が言った。


「5人ですか?」

フレリック将軍が不思議そうに言った。


「2人がさっきの少年とカタリナと言う者か。」

ゼノフィス皇帝が言った。


「カタリナはグランバルト王国の近衛魔法士で私の妹弟子です。なんなら私の弟子と言っても過言ではありません。だいたいあいつは昔から…」

黒魔法士クラリッサが話し出した。


ゼノフィス皇帝は困った目で黒騎士長デュンデを見た。


「クラリッサ、よくわかった。」

いつもの様に話が長くなるので、黒騎士長デュンデが遮った。


「レンバス、ケガの具合はどうだ。」

フレリック将軍が聞いた。


「はい。完治しています。…その上力が戻っているというか、今まで以上の力を感じます。」

黒騎士レンバスが言った。


「あの少年、女神の奇跡まで使うのか。」

フレリック将軍が言った。


「攻撃がなくなったが、ワイバーンはどうなっている?」

黒騎士長デュンデが聞いた。


「3体とも止まっています。」

皇宮兵が答えた。


「止まっている?上空に止まっているのか?」

黒騎士長デュンデが聞いた。


「はい。」

皇宮兵が答えた。


「そんな魔法があるのか?」

黒騎士レンバスが黒魔法士クラリッサに聞いた。


「聞いた事もないわよ。それより問題なのは、あの少年の使った魔法よ。何にも感じなかったのよ。」

黒魔法士クラリッサが呆れた様に言った。


「確かに何も感じなかったが、隠蔽魔法ではなかったのか?」

別の黒騎士が言った。


「隠蔽魔法っていうのは、私程の魔法士なら使ってるのが分かるのよ。でもあの少年の魔法はそれさえ分からなかったのよ。」

黒魔法士クラリッサが言った。


「あの少年、女神の奇跡を使い、帝都とパルマラス城を広範囲結界で守り、魔物を動けなくする。一体何なのだ。…王国の秘密兵器か?」

フレリック将軍が呟いた。


「王国の秘密兵器なら、敵国の我が帝国を救う為に、実在しないはずの転移魔法を使ってまで送り込むことなど考えられない。」

ゼノフィス皇帝はそう言って考え込んだ。


パルマラスの城壁の中央付近。


「重症者は全て治療しました。」

最後の重症の兵士の治療を終えた零が笑顔で黒騎士クロムエルに言った。


「零殿、帝国の民を、兵士達を救ってくれて感謝する。」

黒騎士クロムエルが言った。


「じゃ城壁の外の応援に行きましょう。」

言ってパルマラスの城壁の外の上空に粒子で転移した。


城壁の外ではフェスやリラやセレスティアがまだ残り30体のワイバーンと、黒騎士達8人がまだ残り4000体のハイオークと戦っていた。


「クノスバ、出てきて。」

零が言うと空間に黒い穴が開いて魔導士クノスバが浮き出てきた。


「何、何!あんた、騎士団の時の首無し!」

カタリナが叫んだ。


「零殿!」

黒騎士クロムエルが身構えた。


「我が名は魔道士クノスバ。零様の忠実なる下僕。」

魔道士クノスバが言った。


「大丈夫です。僕の味方です。」

零が笑顔で言った。


「クノスバ、まずはワイバーンを倒して。」

零が言った。


「はっ。」

魔道士クノスバが空中に長さ5メートルの長槍を30本作った。


『フェス、リラ、セレスティアさん、クノスバが長槍を打つから気をつけてね。』

零が念話した。


『はっ』

フェスとリラは念話で答えながらワイバーンの上まで飛び上がった。


「おい、早く来い、邪魔になるだろ。」

フェスがセレスティアに言った。


「あ、あぁ、わかった。」

セレスティアも飛び上がった。


「行け!」

魔道士クノスバが言うと長槍が一斉にワイバーンに向って飛んで行った。


長槍の全てがワイバーンの頭に命中した。


30体のワイバーンが全て墜落しハイオーク達は下敷きになった。


カタリナと黒騎士クロムエル、上空から見ていたセレスティアも、唖然とした。


「じゃ今度はハイオークをお願い。」

零が魔道士クノスバに言った。


「はっ。」

魔道士クノスバは4000体のハイオーク全てを上空に浮かせながらハイオークの上に移動した。


「我が名は魔道士クノスバ。魔王軍に天の怒りを与える。」

魔道士クノスバが声高に言って、上空に浮いたハイオークの首を一斉に斬った。


上空のセレスティア、地上の黒騎士達は言葉を失った。


さすがのフェスとリラも驚いた。


カタリナは恐怖で震えた。


空中で首を斬られたハイオーク達の足下に黒い穴が開き、ハイオーク達はその中に沈んでいった。


4000体のハイオークは全て消えた。


【次回予告 】

パルマラスの終戦と続く皇宮の混乱。


物語を読んでいただきありがとうございます。

これからも面白い物語に育てていきます。


「面白い!!」「続きが読みたい!!」と思っていただけたら、

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