魔族化の正体
「あの魔法は最初、別の魔法だったんじゃないの?」
零が聞いた。
悪魔エレオノーラが驚いた顔をした。
「え?零、どういう事よ!」
カタリナが驚いて聞いた。
「あの魔族化の魔法は失敗の魔法なんです。」
零が言った。
「失敗の魔法?」
セレスティアが言った。
「はい。魔族化と言っても腕だったり、足だったり、上半身の半身だったり、体の一部だけしか魔族化しないんです。」
零が言った。
「確かに。報告では、被害者達は皆体の一部しか魔族化してなかった。」
宰相フランツが言った。
「おそらく別の目的で作った魔法を魔族の魔導士が魔族化に応用しようとして失敗したんでしょう。違いますか?」
零が悪魔エレオノーラに聞いた。
「…そこまでわかるなんて…」
悪魔エレオノーラは驚いた目で零を見た。
「じゃ何の魔法だったのよ。」
カタリナが聞いた。
「あなたのような未熟者にはあの高度な魔法はわからないでしょうけど、あれは美容魔法よ」
悪魔エレオノーラが答えた。
「び、美容…」
宰相フランツが途中で言葉を失った。
一堂唖然とした。
「お肌に良い成分を体の中に浸透させていく魔法よ。効果は絶大。あれを世に出せば、世界中の女達はいつまでも美しくいられるのよ。私は偉大な魔法士になれたわ。」
悪魔エレオノーラは天を仰ぐ様な仕草で言った。
「それをあのバカどもは、魔族の成分を流し込んで魔族にしようなどと、できるわけないじゃない。本当にバカバカしい。」
悪魔エレオノーラが怒って言った。
一堂呆れて言葉が出ない。
「おい、悪魔ってのはおかしな奴ばかりなのか?」
沈黙の後、フェスが悪魔グローリに聞いた。
「おかしな奴だから神界から放り出されたんだろ。」
リラが言った。
「女神様もおかしな奴を地上に放り出さないでほしいわ!」
カタリナが言った。
「女神様を批判する事は許しませんよ!」
悪魔グローリが怒って言った。
「あんた達が神界でも地上でもおかしな事ばかりするからでしょ!」
カタリナが怒って悪魔グローリに言った。
「どうしたの?他に聞きたい事はないの?」
悪魔エレオノーラが零に聞いた。
「はい。僕の聞きたい事はもうありません。」
零が苦笑いで言った。
「宰相、僕の聞きたい事は全て聞いたので、後の事はお任せしますね。」
零は言って席を立った。
「零殿、この悪魔は我らが手に余る者です。それで相談なのですが、この悪魔の処遇が決まるまで、零殿にこの悪魔をお預けしたいのですが。」
宰相フランツが言った。
「え〜!無理ですよ。そちらで何とかして下さい。」
零が叫んだ。
「この魔導結界室でもこの者を拘束することができません。零殿、シルビア王女の婚約者と正式に公表されましたからには、王家の一員として内政にも積極的にご助力いただかなくては。」
宰相フランツが毅然として言った。
「そんな〜」
零は渋々引き受ける事になってしまった。
それから零は王宮の上空に浮かんでいるワイバーンと王宮の大広間のミノタウロスを粒子の保存領域に入れて、解体した。
魔族兵の粒子を解除して騎士団に引き渡したら夜が明けた。
「結局朝になってしまったね。徹夜だったから今日は学園を休もうかな。」
零は眠そうに言った。
「零様、それはダメです。今日は学園にお越し頂き、生徒達にご対応頂きますよう、宰相から言い使っております。」
悪魔グローリが言った。
「え〜生徒達の対応って何?目立つ事はしたくないんだけど。だいたいグローリは僕の仲間でしょ、宰相につかないでよ。」
零が面倒くさそうに言った。
「私は零様の事を思って言っているのです。」
悪魔グローリが言った。
仕方なく、零は学園に登校する事にした。
悪魔エレオノーラは粒子の保存領域に部屋を作り、処分が決まるまでそこにいてもらうことにした。
登校の道すがら2人の護衛と共に貴族らしき者が現れた。
セレスティアとフェスが零の前に出た。
「これはこれは、零様、おはようございます。私は男爵のシーズベルトです。どうぞお見知りおきを。昨日はありがとうございました。零様には命を救われました。ご恩は一生忘れません。」
この様な貴族が何人も現れた。
零の登園はぞろぞろと行列になってしまった。
『おい、お前達、この連中何とかしろ!』
フェスがセレスティアとカタリナに念話した。
『私が何とかしてほしいわよ!』
カタリナが念話で答えた。
「皆さん、お気持ちはありがたく思いますが、零殿はこれから学園に行かねばなりません。他の生徒様のご迷惑になりますので、ご同道はここまででお願い申し上げます。」
セレスティアが振り向いて貴族達に言った。
「ふむ、それもそうだな。」
「零様のお見送りはここまでとしよう。」
と口々に言って帰って行った。
「ふ〜助かった。セレスティアさん、ありがとう。」
零は胸をなで下ろした。
「いえ、お役に立てたようで何よりです。」
セレスティアが少し笑いながら言った。
セレスティアはワイバーンやミノタウロスを簡単に倒すのに、貴族の対応に苦戦する零が少し可笑しかった。
学園の正門付近に生徒達で人だかりができていた。
「何かあったのか?」
又セレスティアとフェスが前に出た。
「あ、来たぞー」
生徒の1人が零達を見つけて叫んだ。
大勢の生徒達が走り寄ってきた。
「何だー!?」
フェスが叫んだ。
【次回予告 】
零は活躍すると自分にとって厄介なことになる。
物語を読んでいただきありがとうございます。
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