王都開戦
「え、でも相手はワイバーンなんで、危ないですから。」
零は戸惑いながらセレスティアに言った。
「危険は覚悟の上です。私は零殿の護衛ですから。」
セレスティアが言った。
零は迷った。
フェスとリラには実はワイバーン対策を授けている。
しかしセレスティアはぶっつけ本番になってしまう。
「主、いいのではないですか。こいつはそれなりに役に立ちそうですから。」
フェスが言った。
リラは口元で笑った。
「そうだね。セレスティアさん手伝ってもらえますか。」
零が言った。
「わかりました。」
セレスティアが口元で笑って言った。
「待って、私も行くわよ!」
カタリナが言った。
「ワイバーンは魔法耐性が強いからなぁ。お前剣技は使えるんだろうな。」
フェスが笑いながら聞いた。
「け、剣技!?」
カタリナの剣技は子供レベルだ。
「カタリナさんには万一に備えてここの人達の避難と、王宮の迎撃体制を宰相に進言してほしいのですが。」
零が苦笑いで言った。
「そ、そうね、それも大事な役目ね。」
カタリナが言った。
零達とセレスティアは粒子で城壁の外へ転移した。
魔王城の副将軍ブラストの執務室。
副将軍ブラストと8人の配下の幹部魔族が大長卓で会議をしている。
「王都からの報告が途絶えています。デンドロやランゴラルからの報告もありません。」
副将軍ブラストの配下の魔族が言った。
デンドロは王宮の内務調査局に入り込んでいた偵察兵で、ランゴラルは闇ギルドの仲介役として入り込んでいた魔族だ。
副将軍ブラストは報告書を見ながら部下達の議論を聞いている。
「ブラスト様のご意見をお聞かせ下さい。」
副将軍ブラストの配下の魔族が聞いた。
副将軍ブラストは報告書を見てるだけで何も言わない。
報告書には武術大会や祝賀会の事が書かれている。
副将軍ブラストはニヤッと笑った。
「ワイバーン部隊を出撃させろ。」
副将軍ブラストが言った。
「今何と?」
部下ドロッツが聞き返した。
「何度も言わせるな。今すぐワイバーン部隊を出撃させろ。今すぐだ。」
副将軍ブラストが言った。
王都城門外。
「この方向からワイバーンが来てる。凄い速さだ。」
零が西の方角を指差して言った。
零達とセレスティアは城門の外で、宙に浮いて西を見た。
「…確かに、来てますね。」
リラが目を細めて言った。
「奴等の気配が近づいて来ます。」
フェスが鋭い目で口元を笑わせて言った。
「零殿、今回の浮遊魔法は何か違うようですが…」
セレスティアが零に聞いた。
「はい。セレスティアさんは今僕が作った透明の薄い地面の様な物の上に立ってます。」
零が説明した。
「はぁ…」
セレスティアは足下を確認すると確かに地面の様になっている。
「それはセレスティアさんの背丈の2つ分の広さです。セレスティアさんが空中移動すると1呼吸遅れて足下に戻ります。試しに思い切り飛び上がってみて下さい。」
零が言った。
セレスティアが飛び上がると2秒で足下の何かに着地した。
セレスティアは零達より高い所に止まっている。
「慣れるまで少し時間がかかりますし、自由に飛べる訳ではないので、ちょっと不便ですけど。」
零が苦笑いで言った。
セレスティアは今度は飛び降りると、零達と同じ高さに戻ってきた。
「まぁ、自由に動ける様になるまで時間はかかるがな。」
フェスが上から目線でセレスティアに言った。
「これは凄い。足場もしっかりしていて、これなら空中でも戦える。ありがたい。」
セレスティアは左右の方向に飛び上がったり、下がったり、自由に動きながら言った。
フェスは既に自由に動けるセレスティアに驚きながら、悔しそうな顔をした。
『お前は動ける様になるまで時間がかかったからな。』
リラが笑いながらフェスに念話した。
「うるさい!」
フェスがリラに言った。
「誰だ!そんな所で何をしている!」
「お前達、飛んでいるではないか!」
城壁の上の警護の2人の衛兵が叫んだ。
「私は近衛騎士のセレスティアだ。騎士団団長ガレスに伝えよ、西の方角からワイバーンが攻めて来る。私達はワイバーンを迎撃すると。」
セレスティアが衛兵達に叫んだ。
「近衛騎士様…」
衛兵達は戸惑った。
「急げ!」
セレスティアが衛兵達を急がせた。
「はい!」
衛兵2人は慌てて走り去った。
夜なのではっきりは見えないが、数体のワイバーンが肉眼で捉えられる距離に来た。
「じゃ、行きましょうか。」
零達とセレスティアは粒子の転移でそこから消えた。
王都騎士団の団長執務室。
「人が宙に浮いていただと?衛兵は寝ぼけていたのか。」
城壁の衛兵からの報告を聞いた騎士団団長ガレスが呆れて言った。
「衛兵はセレスティアの名前を出していました。宙に浮いていたのは、セレスティアと少年と女2人だったと。」
副団長ブレッドが言った。
「零殿達か!?緊急事態だ。非番の騎士も全て招集しろ!迎撃体制を整える。急げ!」
団長ガレスが立ち上がって叫んだ。
「はっ!」
副団長ブレッドが答えた。
王都城壁の西へ3キロ離れた上空。
10体のワイバーンが王都に向って森の上空を飛んでいる。
もう王都の明かりがはっきり見える距離だ。
フェスが粒子の転移で先頭のワイバーンの目の前に現れた。
フェスと交差したワイバーンの首が飛んだ。
「ふん、飛べればお前達なぞ我の敵ではないわ。」
フェスが空中の粒子の円盤に立って言った。
【次回予告 】
魔王軍副将軍の攻撃に翻弄される零。
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