婚約と急襲
零達はグローリのエスコートで大広間に案内された。
大広間の扉が開くと、貴族達と参加生徒達のどよめきの後、拍手が起きた。
武術大会の祝賀会が始まった。
アルベール国王から優勝者の零が賜杯を賜った。
優勝者の零、準優勝者セレーナの表彰が行われた。
アルベール国王が式辞を述べた。
「おめでとう、婿殿!」
アルベール国王が式辞の最後に、祝賀会会場の全員に聞こえるように言った。
「え?」
零は思わず後退した。
「婿殿?」
「婿って何の事だ?」
会場では口々にどよめきが起こった。
「ここにいる零殿とシルビアの婚約を、今夜この場を借りて発表する。」
アルベール国王が言った。
「国王、それはまだ…」
宰相フランツが言ったが、遅かった。
「父上!」
第一王子ジュリアスも外交手札としてのシルビア王女を諦めていなかったので、困惑した。
シルビア王女は顔を赤らめた。
「武術大会優勝と婚約発表、2つのめでたい祝賀会じゃ。皆も喜んでくれ!」
アルベール国王が満面の笑みで言った。
参加者はどよめきの後、歓声と拍手に変わった。
「そうだったのか、それでセレスティア姉様やカタリナ様が零君の側についていたのだな。おめでとう。」
零の横にいた準優勝者のセレーナが言った。
「あはは…ありがとうございます。」
複雑な笑顔で零が応えた。
「これを狙って零様に優勝をそそのかしたのか。」
リラが笑いながら言った。
「そんな事は…しかしこれでは私が零殿をだまし討ちしたような…心苦しい。」
セレスティアは複雑な顔をした。
「あんた本当にまじめねぇ。いいじゃない、シルビア王女が嬉しそうなんだから。」
カタリナがシルビア王女を見ながら言った。
全ての生徒達の健闘を祝して乾杯をし、歓談が始まった。
「零様、おめでとうございます!まさかシルビア王女とご婚約されているなんて!」
1年Aクラスのロアン・バルトロが大喜びで言った。
「あはは。ありがとう。何でロアンがそんなに喜んでるの。」
零が苦笑いで言った。
「主、この者、どこかで見た事がありますが…」
フェスが聞いた。
「あぁ、2人とも初めてだったね。バルセバル領の筆頭財務官バルトロさんのご子息でロアン君。この2人は僕の仲間でフェスとリラ…」
零が言った。
「ええ〜こいつが主の話してた、あいつの息子なのですか!顔が同じではありませんか!」
フェスが思わず叫んだ。
リラも目を丸くした。
「あいつって、もうちょっと言い方があるでしょ。」
零が困った顔で言った。
「これは、ご挨拶が遅れました。父からフェス様とリラ様の武勇は聞いております。初めてお目にかかります。ロアン・バルトロです。以後お見知りおきを。」
ロアンが挨拶した。
その後ロアンはセレスティアとカタリナにも挨拶した。
零の準決勝の相手、帝国の貴族の娘1年生ルミニアこと帝国第二王女イザベラが、護衛に扮した2人の黒騎士と零の側に来た。
フェスの目から笑いが消えた。
リラの目が鋭くなった。
カタリナも目つきが変わった。
「ちょっと!あんた、どこの流派を使ってるの!?」
ルミニアが零に言った。
「え?あ、ルミニアさん。僕はどこの流派でもないですよ。」
零が笑顔で答えた。
「どういう事?じゃ何で私に勝てたの、どこの誰から修行を受けたのよ?」
ルミニアが聞いた。
『帝国の王女、凄いわね。あんた以上に口の悪い女は初めて見たわ。』
カタリナがフェスに念話した。
『うるさい!お前が言うな!』
フェスが念話で答えた。
「あ、そう言えば、この間セレスティアさんから木剣の持ち方や構え方を教わりました。僕は剣技は好きではないのです。剣を握ったのも最近なんです。」
零が答えた。
「何ですって!そんなんでこの私の剣が受けれるわけないでしょ!」
ルミニアが少し大きな声で言った。
周りが零とルミニアを振り返った。
「お嬢様、少し落ち着いてください。」
女の黒騎士フィオナが言った。
「わかってるわよ。」
ルミニアが黒騎士フィオナに言った。
「次は必ず勝つからね。」
ルミニアはそう言って背を向けて零の側を離れた。
「もう立合いたくないな〜」
零が苦笑いで言った。
「怖い人でしたね。」
ロアンも笑って言った。
突然、零がハッとした。
『魔王軍、副将軍!?なんて唐突な判断だ!フェス、リラ、魔王軍が王都に来る。ワイバーン部隊だ!』
零は粒子の探索で魔王軍副将軍ブラストの身辺を監視していた。
リラの目つきが変わった。
フェスの目に殺気が走った。
セレスティアが零達の様子が変わったのを察した。
「零殿、何かありましたか。」
セレスティアは零に聞いた。
『魔王軍のワイバーン部隊が王都に来ます。』
零はセレスティアに念話した。
「な、本当ですか!」
セレスティアは思わず声を上げた。
周りの貴族や生徒数人が驚いてセレスティアを見た。
「あ、いや、失礼。」
セレスティアは周りに言った。
「どうしたのよ?」
カタリナがセレスティアに聞いた。
『魔王軍のワイバーン部隊が王都に攻めて来るらしい。』
セレスティアがカタリナに念話した。
「何ですって〜!」
カタリナが小声で言った。
零は粒子でグローリに念話をつないだ。
『グローリ、僕だよ。念話をつないだから。』
零が悪魔グローリに念話した。
『これは素晴らしい!私の防御魔法を難なく突破して念話をつなげるとは。やはり零様は偉大なお方です。』
悪魔グローリが零に念話した。
『グローリ、魔王軍のワイバーン部隊が王都に向っている。僕達は迎撃に出るから、グローリは王都の皆を守ってね。』
零が念話した。
「はい、零様。全力で我が民を守ります。」
悪魔グローリが零に一礼した。
「フェス、リラ、行くよ。」
零が言って粒子で転移しようとした。
「お待ち下さい、私も行きます。お連れ下さい。」
セレスティアが零に言った。
【次回予告 】
魔王軍副将軍、騎士団、零達、戦い始まる。
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