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決勝

零はそれを木剣で受けた。


そしてルミニアの木剣を弾き飛ばした。


ルミニアは思わず木剣の行方を目で追ってしまった。


ルミニアの額に零の木剣の切先が止まった。


「勝負あり!」

審判の剣技教官カイザードが言った。


「さすが主!」

「零様、お見事です!」

フェスとリラが言った。


客席から大歓声が上がった。


「負けた…私が…王国の生徒に…」

ルミニアが放心状態で呟いた。


「両者、開始線に戻って。」

審判の剣技教官カイザードが言った。


ルミニアはフラつきながら開始線に戻った。


「勝者、零!」


ルミニアは屈辱と怒りで零を睨んだ。


『試合終わったのに…怖い。』

零は顔をひきつらせて怯んだ。


決勝戦の日。


「お姉様!」

3年生セレーナがセレスティアを呼んだ。


フェスとリラ、セレスティアとカタリナが武術大会の決勝戦の会場の客席に向って歩いていた。


「セレーナ。」

セレスティアが笑顔で振り向いた。


「カタリナ様もお久しぶりです。」

3年生セレーナがカタリナにも笑顔で言った。


「セレーナ、久しぶりね。」

カタリナも笑顔で言った。


「へぇ〜お前の妹か。」

フェスが言った。


「いや、妹ではない。私の兄の娘で、私の姪だ。こちらは零殿の護衛のフェス殿とリラ殿だ。」

セレスティアがフェスに答えながら、3年生セレーナに言った。


「零…零君の護衛の方ですか。私は学園の3年のセレーナです。以後お見知りおきを。」

3年生セレーナがフェスとリラに挨拶した。


「リラです。」

リラは言って軽く会釈した。


フェスは「あぁ。」と無愛想に答えた。


「…あなた、さっきから、お姉様に対しても無礼ではありませぬか。お姉様は誇り高き近衛騎士ですよ。」

3年生セレーナが毅然として言った。


「あぁ?無法者の集まりだろ。」

フェスが口元を笑わせて言った。


「あんた、騎士長に負けたからって、まだ無法者なんて負け惜しみ言ってんの。」

カタリナが笑いながら言った。


「負けてないと言ってるだろ!」

フェスが怒ってカタリナに言った。


「騎士長レグルス様と立合ったのですか。」

3年生セレーナが驚いてフェスに聞いた。


「立合いじゃない、闇討ちを喰らっただけだ。」

フェスが答えた。


「闇討ち…?」

3年生セレーナが不思議そうに呟いた。


「フェス殿、その事はあまり口外せぬようにお願いしたい。」

セレスティアは慌てて言った。


フェスは「ふん。」と言ってソッポを向いた。


3年生セレーナは不思議そうにフェスを見ていた。


「私は決勝戦の準備がありますので、これで失礼します。」

3年生セレーナは言って一礼してその場を後にした。


「あぁ?決勝戦の準備って何だ?」

フェスは誰にとはなく聞いた。


「お前、知らなかったのか。今日の零様の決勝戦の相手、前回大会優勝者のセレーナだ。」

リラが呆れて言った。


「え、あいつが今日の主の相手なのか!?」

フェスが驚いて言った。


「セレーナは強いからね。零も苦戦するわよ。」

カタリナが言った。


「お前、どっちを応援するんだ。」

フェスが真顔でセレスティアに聞いた。


セレスティアは複雑な顔で、それには答えなかった。


決勝戦の観客席は満員になった。


決勝戦なので王族も観覧に来ている。


貴賓席には国王アルベール、第一王子ジュリアス、第二王子ヴァルハイト、第三王子レナード、第四王子ユーリ、シルビア王女の姿がある。


零の決勝戦の相手は前回大会優勝者の3年生セレーナだ。


『やはり、あの時シルビア王女といた少年。ギルバート達を手玉に取ったと聞いていたが、決勝にくるとは只者ではないな。』


3年生セレーナは零が編入した初日に2年生ギルバートら6人に呼び出されて、彼らの木剣の攻撃を全て避けて退けている。


その時シルビア王女を庇った3年生セレーナは零を見ている。


『セレーナさん、セレスティアさんの姪御さんか。風斬流を使うのか。強そうだなぁ…やだなぁ。』


零の顔は憂鬱になった。


「双方開始線へ。」

審判の剣技教官カイザードが言った。


3年生セレーナと零が開始線に立った。


「始め!」


声と同時にセレーナが飛び出し、零の頭上に打ち込んだ。


零はそれを木剣で受けた。


セレーナは距離を取った。


『構えは隙だらけなのに、受けはしっかりしている。…では、これならどうだ。』


セレーナは下段に構え直し、一気に間合いを詰めて、払い上げた。


零はそれも木剣で受けた。


セレーナはそこから二の太刀、三の太刀、と連続技で打ち込んだ。


その打ち込みは速さだけでなく、強さもあった。


零はそれも全て木剣で受けた。


セレーナはまた距離を取った。


『決まったと思った寸前で受けがくる…そして何故か返し技がこない。何かの技を隠しているのか。』


セレーナはジリジリと間合いを詰めた。


零は見様見真似で木剣を青眼に構えてはいるが、隙だらけで立っている。


『間合いを意識しないなんて。…あれこれ考えても仕方ない。風刃剣で決める。』


セレーナは構えを下段に取ってそのままジリジリ間合いを詰めた。


セレーナは木剣の届く間合いの外から木剣を払い上げた。


空気を切り裂く風が零に襲いかかった。


予期せぬ攻撃で零はその風をまともに受けた。


零はバランスを崩した。


【次回予告 】

決勝戦決着。武術大会参加者たちの祝賀会。


物語を読んでいただきありがとうございます。

これからも面白い物語に育てていきます。


「面白い!!」「続きが読みたい!!」と思っていただけたら、

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また読んでもらえることを楽しみにしています。

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