準決勝
「毎年5〜6人の留学生が来ます。その中に時折他国の王族がわからぬ様に身分を偽って入って来てます。」
悪魔グローリが言った。
「よくある事なのか…わかった。ありがとう。」
零が言って転移しようとした。
「零様、あの王女、珍しい流派の剣を使います。お気をつけください。」
悪魔グローリが言った。
「ありがとう。でも僕にとっては全部の流派が見た事ないものばかりだから。どんな流派でも同じだよ。」
零が笑いながら言って転移して選手控室に戻った。
『今日の僕の相手は帝国の第ニ王女イザベラらしいです。』
零がフェスとリラ、セレスティアとカタリナに念話した。
「イザベラ王女!?」
カタリナが驚いて叫んでしまった。
通路にいる護衛のフリをした黒騎士が驚いてカタリナを見た。
セレスティアも驚いてカタリナを見た。
通路にいた黒騎士はスッといなくなった。
「面白い事になるんじゃねぇか。」
フェスが笑いながら言った。
「奴等、王女の正体がバレた時、どうするのか、決めているのではないか。」
リラが言った。
セレスティアの顔が引き締まった。
カタリナの顔色は少し青くなった。
早速黒騎士は行動に出た。
「私は帝国のシルフィード男爵の護衛騎士のクロムエルと言います。ルミニアお嬢様の護衛で学園に来ております。何か誤解されているようなので説明に参りました。」
護衛騎士クロムエルがフェスとリラ、セレスティアとカタリナの座っている客席の前に来て言った。
「私は王国の近衛騎士のセレスティアです。誤解とは何の事でしょうか。」
セレスティアが立ち上がって言った。
「ルミニアお嬢様を恐れ多くもイザベラ王女と誤解されているようですので。」
護衛騎士クロムエルが言った。
セレスティアは黙って護衛騎士クロムエルを睨んだ。
「わざわざそれを言いに来たのか?」
フェスは目に殺気を宿し、口元は笑いながら護衛騎士クロムエルに言った。
「はい。イザベラ王女と間違われてルミニアお嬢様に危害が及んでは大変ですので。」
護衛騎士クロムエルが言った。
「そうかい。そのわりにはお前の仲間が少しずつここを取り囲んでいるじゃねぇか。口封じでもする気か。」
フェスが笑ったまま言った。
「まさか。誤解が解ければ私達はそれで良いのです。」
護衛騎士クロムエルも目の奥に殺気はあるが、笑いながら言った。
「誤解も何も最初からルミニア様と思っております。しかし万一帝国の王族の方が偽名で学園に入学されているとなれば、ただではすまぬかと思いますが。」
セレスティアも殺気を込めて言った。
「何かございましたか?この学園の教官のグローリと言います。」
悪魔グローリが教官グローリの顔でフェスの後に現れた。
フェスは嫌な顔をして舌打ちした。
「記憶を消したな。」
リラが護衛騎士クロムエル達を見てグローリに言った。
「そんな、リラ殿、人聞きの悪い。少し改ざんしただけですよ。ここで騒ぎを起こされては困りますから。」
悪魔グローリがチラッとフェスを見て笑顔で言った。
フェスは不貞腐れている。
護衛騎士クロムエルは何もなかったかのように帰って行った。
「あんた、本当に気安く状態異常魔法を使うわね。今回はちょっと助かったけど。」
カタリナが言った。
「フェス殿やリラ殿には効かないと思ってましたが、未熟者にも効きませんでしたか。」
少し驚いて悪魔グローリが言った。
「未熟者じゃないわよ!もう貴方の魔法は効かないから。」
カタリナが言った。
「そうですか。多少は成長したのですね。次は別の術式で魔法を使いましょう。さぁ、今日こそは零様の試合を観なければ。」
悪魔グローリが言った。
準決勝の第1試合。
零と帝国からの留学生、1年生ルミニアが試合会場に現れて、開始線に立った。
零はルミニアを粒子で再鑑定した。
『やはり帝国の第ニ王女イザベラか。刀拳流。剣技だけじゃなく、体術の要素も取り入れて攻撃してくるんだったなぁ。』
零はイザベラの木剣だけでなく全身を粒子で囲んで、零の粒子がイザベラの粒子を避ける様にした。
「試合はじめ!」
審判の剣技教官カイザードが言った。
零は木剣を構えたが、ルミニアはダラリと下げたままである。
『うわ〜何かフェスみたい。怖い。』
零は思った。
『何、この子。隙だらけ。どこに打ち込んでも当たりそう。』
ルミニアは思った。
ルミニアは開始線から飛び出し、下段から零の胴を払い上げた。
零は体をズラしてそれを躱した。
今度は零の頭上に打ち込んだ。
零は体を横にしてそれも躱した。
ルミニアの体が零の視界から消えて、低い体勢から木剣で零の足を払った。
零は飛び下がってそれを躱した。
それを予測していたかの様に、ルミニアは大きく踏み込んで下段から零を払い上げた。
零は見えない速さでルミニアと体を入れ替えて、ルミニアの背後に立った。
ルミニアも零から飛び離れた。
『私の攻撃が当たらない!?あれだけの攻撃を全部かわした!信じられない。…だったら。』
ルミニアが木剣で突きを狙い、零の懐に飛び込んだ。
零は突きを右に躱した。
そこにルミニアの回し蹴りが来た。
『決まった!』
ルミニアは思ったが、零は飛び上がって回し蹴りを空転させた。
ルミニアは又飛び退がって零と間合いを取った。
『また躱した!なんなの、こいつ…』
ルミニアは構え直して集中した。
『決勝までとっておくつもりだっけど、あれを使うしかないか。』
ルミニアは少しずつ間合いを詰めた。
間合いに入ってルミニアは右片手で上段から零の頭上に打ち込んだ。
ように見えたが、打ち込みの途中で木剣を離し、手刀で零の喉元を狙った。
零はそれを右にかわした。
「もらった!」
ルミニアは離した木剣を左手で掴み、零の頭上に打ち下ろした。
【次回予告 】
準決勝決着。王族勢ぞろい。
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