岩塩
魔豹族の襲撃の為、零の翌朝は朝寝坊になった。
昼前に朝食を済ませた。
メニューはやはり焼き魚。
そろそろ飽きてきた。
『粒子に探索の能力が増えたから、塩を探してみるか。粒子、探索で岩塩を探して。』
粒子画面が現れて岩塩がある崖の上空撮影と地図が現れた。
『地図で俺の位置も表示。』
現在零のいる位置から岩塩のある崖までが表示された。
『何キロある?』
125キロメートルと表示された。
「よし、行くか。」
と言ってログハウスから飛び上がった。
飛び上がった零を森の中でリラが見上げた。
『零!?飛んでいる!?飛べるのか。ガダンの巨体を飛ばしたり、自らも飛んだり、強力な風魔法か⋯それにしても、何処へ何をしに行くのだ⋯』
リラは零のログハウスには近づかないが、その周辺を1人でそれとなくうろついている。
昨夜再び零の襲撃に失敗し、魔豹族の集落に戻って、三半規管に後遺症のあるガダンを安静にさせた。
魔豹の一族は話し合った。
零を放置して魔豹族の敵になった場合、一族は滅亡する。
何とかして零を取り込んで味方にするか、その軍門に下るしかない。
敵にまわらないまでも絶対に放置していい存在ではない。
零を懐柔する役目は族長リラが自ら担う事になった。
リラは零に接触するきっかけを探るため、零のログハウスの周辺をうろついていたのだ。
2時間程で岩塩を持って零がログハウスに帰ってきた。
「よしこれで塩はできる。」
テーブルに約20センチ角の岩塩を置いた。
『粒子、岩塩から塩を取り出して。』
粒子が岩塩から塩を取り出し、粒子の袋にその塩を入れた。
『今日の夕食の焼き魚は、待ちに待った塩焼きだ。』
零は喜んだ。
粒子でスキレット(分厚いフライパン)を作り、オリーブの木の実を粒子で圧縮し不純物を取り除いた油、オリーブオイルをスキレットにひいて、川魚を焼き、塩をふりかけた。
「塩と油をプラスしたパリパリ焼き魚、出来た。」
いつもの様に粒子の皿と箸で食べてみる。
「美味い!」
今までの焼き魚よりも油がのって塩味がきいてて美味い。
食後のひと時の後、粒子で防犯カメラを作る事にした。
魔豹族の襲撃の様な事があると面倒なので、事前の対処をする事にした。
粒子でログハウス周辺の地図を表示した。
普段は透明化させて、赤の点が現れたら透明化を解除し、視認できる様にする。
早速防犯カメラを設置して寝る事にした。
いきなり防犯カメラ画面が反応した。
赤い点を映像化するとそこに映っていたのはリラだった。
「あいつ何してんだ。」
一人でログハウスの方を見ている。
『粒子、もういいから透明化。』
しばらくすると又防犯カメラ画面が反応した。
映像化すると違う場所で又リラが映っている。
「えっ〜又あいつ〜、もう放っとこ。」
『粒子、防犯カメラからリラは廃除。』
この夜はそのまま寝た。
翌朝。
朝食は遠赤外線で川魚を焼いて塩を付けて食べた。
「塩を付けただけで美味い!」
食後のひと時に、念の為防犯カメラのリラをチェック。
別の場所で又リラが映っている。
『え〜昨夜からずっとかぁ?』
森の中からログハウスを監視するリラ。
前日から見ているが、零が特別な事をしている様子はない。
どうやって零に取り入るか、思案していると、突然、リラの背後に零が飛び降りてきた。
驚くリラ、言葉がでない。
魔豹族が監視行動する時は、気配だけでなく匂いも全てを消す。
誰かに察知される事はない。
先日牙狼族のフェスに察知されたのは、牙狼達を攻撃した為、気配を残したからだ。
監視行動する魔豹を、ましてやリラを捉らえる事など誰にも出来ない。
「お前、何してんの?」
零が言った。
「どっ、どうして私の事がわかった!」
リラが動揺しながら言った。
「どうしてって、昨夜からずっとウロウロしてたでしょ。」
零が言った。
「昨夜から…知っていたのか!?」
リラが小さく叫ぶように言った。
「何か話があるなら家に来いよ。」
零はそう言ってログハウスに向って歩き出した。
暫く呆気に取られたリラだが、意を決してついて行く事にした。
「何か食べる?昨夜からウロウロしてたんなら何も食べてないでしょ。」
零が言った。
「あっ、ああ。」
リラは用心しながら答えた。
「じゃ焼き魚をご馳走しよう。」
零は言って、川から適当な魚を見繕って、川の中で固定して、川から浮かして、テーブルに持ってきた。
「魚が浮いて来た?!固める魔法か!!」
リラが驚いて言った。
その魚を絞めてから、遠赤外線で塩をふって焼いてリラに出した。
リラは零の食事の支度を見て又戸惑った。
『やはり全く魔力を感じない。』
零が差し出した焼き魚を食べた。
「うっ美味い!」
思わずリラが言った。
「でしょ〜」
零は満面の笑みで応えた。
「ただ焼いているだけではないな、さっき魚にふりかけていた白い粉は何だ?」
リラが言った。
「あれは塩だよ。」
零が言った。
「何?塩?白い塩など聞いた事はないぞ。」
リラが言った。
零はリラに袋いっぱいの塩を見せた。
「白い塩だ。」
零が言った。
「本当に白い塩、白銀の塩だ。しかもこの量、金貨20枚は下らない。いや、この白さと純度なら何倍にもなる!」
リラが言った。
因みに金貨1枚は10万円、金貨20枚は200万円である。
『零は何故こんな事が出来る?もしかすると賢者なのか。この子供の姿は魔法による仮の姿か。』
リラは思った。
【次回予告 】
魔物の森の深域に新たな敵が来襲
物語を読んでいただきありがとうございます。
これからも面白い物語に育てていきます。
「面白い!!」「続きが読みたい!!」と思っていただけたら、
【ブックマーク登録】
【評価(★★★★★)】
をいただけると励みになります。
また読んでもらえることを楽しみにしています。




