王国と悪魔2
「はい、零様。失礼いたしました。」
悪魔グローリが零に言った。
「アルベール・フォン・グランバルト国王、お初にお目にかかります。グローリと申します。種族は悪魔です。」
悪魔グローリが国王に会釈しながら言った。
謁見の間の緊張感が拍子抜けした。
「世がアルベールだ。グローリ殿よく来られた。歓迎するぞ。」
アルベール国王が言った。
「アルベール王。貴方は初代国王に似ておられる。初代国王は楽しい方だった。私は今も初代国王との約束を守っています。」
悪魔グローリが初代国王に敬意を表し、一礼しながら言った。
「グローリ殿、その事についてはいつも感謝しておる。今もそなたの結界魔法で王国は守られている。」
アルベール国王が少し会釈するように言った。
「それなのに、あのボンクラ息子のニ代目は、初代国王と私とで作ったこの王国を、国王と私の民を危険にさらした。」
悪魔グローリの目は怒りに満ちた。
「それだけでなく、チンケな魔法士団と騎士団とで私を殺そうとした。私は皆殺しにしてやろうかと思いましたよ。」
悪魔グローリは怒りの目のまま言った。
又緊張が走り、近衛騎士達は剣の柄を握った。
「やめなさい。私は殺気が嫌いなのです。」
悪魔グローリから状態異常の闇魔法が発せられた。
カタリナがそれを察し、素早く国王の前に出て結界魔法を張った。
「アルベール国王には何もしませんよ。私に殺気を放った近衛騎士を脅かしただけです。貴方の様な未熟な魔法士が私に何ができますか。」
悪魔グローリがカタリナを上から見て嘲笑う様に言った。
「なんですって〜私の本気見せてあげようか!」
カタリナが怒って言った。
「カタリナ!国王の御前である!控えよ!」
騎士長レグルスが一喝した。
「グローリ、脅しでも国王の前で許可なく魔法を使ったらダメだよ。」
零が言った。
「はい、零様。」
零を振り返り、頭を下げて言った。
「なぜ、ニ代様やその魔法士や騎士達を殺さなかったのだ。」
アルベール国王が聞いた。
「私は人を殺さないと女神様と約束したのです。」
悪魔グローリは手を会わせて天を見上げて涙ぐんだ。
「女神様との約束…そ、そうか。」
アルベール国王は涙を浮かべる悪魔グローリを見て、ちょっと引き気味に言った。
「私はあのボンクラ息子に復讐する為に、王家に対して壮大な計画を実行したのです。」
身振り手振りで悪魔グローリは言った。
「壮大な計画とはなんだ?」
アルベール国王が聞いた。
「何十年も何百年もかけて、頭を使って、小さな攻撃を仕掛け続ける。女神様との約束を守って、決して誰も殺さないように。そしてそれは1000年以上も続いた!まさに壮大な復讐ですよ!!ワハハハハハ。」
悪魔グローリは自画自賛して笑った。
周りは理解出来ずドン引き状態になった。
「グローリ、笑い過ぎ。」
零が呆れて言った。
「これは、私とした事が。零様、申し訳ありませんでした。」
悪魔グローリが言った。
「おい、あいつはバカなのか?」
フェスがリラに言った。
「あんなおかしな者が零様の配下になったとは。」
リラはがっかりして言った。
「おかげで歴代国王は反王家の貴族達との諍いを上手くおさめるのに苦労してきたわ。そうか反王族の兆しは、学園の子供の頃から意図的に育てられていたとは。ワハハハハハ。」
アルベール国王は言って笑った。
悪魔グローリはアルベール国王を見つめた。
「初代国王も神界から追放された私の話をたくさん聞いてくれました。…零様から国王と話す事を勧められました。もっと早くこうして話していれば、1000年も小さな嫌がらせを繰り返す事はなかったのかもしれません。今日この機会を作って頂いた零様に感謝いたします。」
悪魔グローリが笑顔で零に頭を下げた。
「グローリ、良かったね。」
零が笑顔で言った。
「婿殿、儂からも礼を言う。思い切ってグローリ殿と会って良かった。」
アルベール国王も笑顔で言った。
「国王、それは良かったです。」
零が言った。
「これからも私は初代国王のと約束と女神様との約束を守り、王国と学園を守って参ります。」
悪魔グローリはアルベール国王に言った。
「頼んだぞ。グローリ殿。」
アルベール国王が笑顔で言った。
翌々日。
学園では年に一度武術大会が開かれる。
数カ月かけて各クラスで予選を行い、各クラスの代表剣士が本戦のトーナメントで優勝を争う。
「零殿、武術大会の事なのですが、優勝してもらうわけにはいきませんか。」
下校時、セレスティアが申し訳なさそうに言った。
「はっ?」
突然の話で零は驚いた。
「主、武術大会があるのですか!それなら主の優勝は決まった様なものですね。」
フェスが満面の笑顔で言った。
「えっ?僕は出るつもりはないよ。」
零は言った。
「ええ〜出ないのですか。なぜです?」
フェスが泣きそうな顔で聞いた。
「だって戦ったりするの好きじゃないんだよ。」
零が困り顔で答えた。
「零殿、シルビア王女の為と思い、何卒お考え直して頂けないか。」
セレスティアが言った。
「え、シルビア王女に何かあったのですか?」
零が驚いて言った。
「あ、いやそれは…シルビア王女には何もありません。大丈夫です。」
セレスティアが歯切れ悪く言った。
「…話せないんですか?」
零がセレスティアに聞いた。
セレスティアは困った顔で頷いた。
「…なるほど、国王ですか。」
零が言った。
「ええ〜!何でわかんの?」
カタリナが動揺して叫んだ。
セレスティアが片手で顔を覆った。
【次回予告 】
武術大会の予選が始まる。
物語を読んでいただきありがとうございます。
これからも面白い物語に育てていきます。
「面白い!!」「続きが読みたい!!」と思っていただけたら、
【ブックマーク登録】
【評価(★★★★★)】
をいただけると励みになります。
また読んでもらえることを楽しみにしています。




