学園の正体
3年生セレーナの後から数人の女生徒がシルビアを守る様に立ちはだかった。
零が粒子で鑑定すると3年生セレーナは近衛騎士セレスティアの姪にあたり、騎士団候補生として既に騎士団と学園を行き来している。
「ちっ、セレーナ先輩ですか。別に王女様にご挨拶しただけですよ。」
2年生ギルバートが忌々しそうに言った。
「僕達は零君に話があって。」
別の2年生男子生徒が言った。
「君、大丈夫か?」
3年生セレーナが言った。
「はい。大丈夫です。シルビア王女を頼みます。」
零が答えた。
「零様、私もお供しましょうか。」
ロアンが少し怯えながら言った。
「様って、零でいいから。危ないかもしれないから来なくていいよ。」
零が苦笑いしてロアンに言った。
零と2年生男子生徒達は剣技訓練場に行った。
「お前、編入試験の時、卑怯な手でウォルターに恥をかかしたそうだな。」
木剣を持った2年生の男子生徒が言った。
別の2年生生徒が零に木剣を投げた。
「卑怯な手は使ってませんが。」
その木剣を受け取りながら零が答えた。
「うるさい!これは卑怯なお前に俺達が稽古をつけてやるのだからな。」
と言いながら、別の2年生が後から木剣で打ちかかった。
零がそれを避けた。
「貴様!」
また別の2年生が木剣で襲いかかった。
零はまた避けた。
他の生徒も襲いかかったが、零は粒子の能力で、2年生男子生徒の木剣が自身の体に当たる寸前に、当たらないように体を動かす命令をして、全て避けた。
全員で打ちかかっても、1回も当たらず、20分近く何度も空振りしてるので、2年生の生徒達は息を切らして動けなくなった。
『零殿、王女から聞いた。大丈夫だとは思うが、どうなっている。』
セレスティアから念話があった。
『あんた、まさか相手にケガさせたりしてないでしょうね。』
カタリナが念話した。
『ご心配かけてすみません。僕は大丈夫です。誰もケガしてません。フェスとリラには言わないでくださいね。』
零が念話で返した。
『主、騎士どもがざわついてますが、何かありましたか?』
フェスが念話で聞いた。
『あはは、大丈夫だよ。』
零が念話で答えた。
『零様、何かあればいつでもお呼びください。』
リラが念話で伝えた。
『そうね、その時はお願いするから。』
零が念話で答えた。
「あの、先輩達、今日の所はもう帰っていいですか?」
零が2年生の生徒達に気遣う様に言った。
2年生の先輩生徒達は座り込んでハァハァと言いながら頷いた。
放課後。
「何をしているのですか?」
魔法学部の教官の部屋で零が言った。
魔法学部の教官の1人、グローリ教官は自身の部屋で書類に目を通していた。
「おや、君…驚いた。…誰だね。どうやってここに入ったのかな。」
グローリ教官は少し笑って言った。
「だいぶ長くからいるようですが、いつからここにいるのですか?」
零がグローリ教官に聞いた。
「…放課後からだよ。」
グローリ教官は零の顔を見ながらゆっくり言った。
「貴方がいつから学園を支配しているのか、その事を聞いているのです。」
零が言った。
「…支配?私が?」
又少し笑ってグローリ教官が言った。
「不思議ですね。学園内は魔法が使えないはずなのに、教官の魔法は使えるんですね。」
零が言った。
「おや…なぜわかるのですか。私には君の事がわからないのに。」
グローリ教官は又笑って言った。
「鑑定魔法、状態異常魔法、結界魔法。結界魔法は学園全体に張ってあるのと同系ですね。」
零が粒子でグローリ教官が発している魔法を鑑定して言った。
「驚きですね~。学園の結界で魔法は使えないはずなのに、鑑定魔法を使っているとは。もしや貴方が零君ですか。」
グローリ教官が目を大きくして言った。
「はい。そうです。何故、悪魔が学園で魔法教官をしているのですか。」
零が聞いた。
「…私の正体まで知っているのですか。益々興味深い。」
悪びれる事もなくグローリ教官が言った。
「…不思議なんです。魔族と違って人族に危害を加えてるようでもなく、でも王族に変な嫌がらせの様な事はしてるし。一体ここで何をしているのですか?」
零が言った。
「…6元素魔法を使い、古竜以上の魔力を持つ。答えを知っているかのように調整して平均90点の成績で編入。貴方の事はじっくり研究しようと思っていたのに、初日からいきなり、私の正体を知っててやってくるとは。貴方は噂通り本当に大賢者ですか?」
又笑いながらグローリ教官が言った。
「違いますよ。…悪魔って見破ったのに何故僕を殺そうとしないのですか?」
零も笑って聞いた。
「ふふふ…それは、私にも色々あるのです。私の事を話すには時間がかかります。今日は忙しいので、またあらためてという事で。」
グローリ教官がニコリと笑って零の前から消えた。
学園の屋上。
グローリ教官が魔法学部の自身の部屋を屋上から見ている。
『零か…私の結界内で魔法が効かないとは…零の事をもっと調べなければ。』
グローリ教官は思った。
「わかりました。人に危害を加えない限り、僕は手を出しません。またあらためて話を聞きに来ます。」
グローリ教官の背後に粒子で転移した零が言った。
グローリ教官は驚いて振り向いた。
「では失礼します。」
零が笑顔で言ってグローリ教官の前から粒子の転移で消えた。
『何故、私の結界の中で、私の転移先を追ってこれるのか…』
グローリ教官は茫然と立ち尽くした。
【次回予告 】
悪魔が支配する学園の影響。
物語を読んでいただきありがとうございます。
これからも面白い物語に育てていきます。
「面白い!!」「続きが読みたい!!」と思っていただけたら、
【ブックマーク登録】
【評価(★★★★★)】
をいただけると励みになります。
また読んでもらえることを楽しみにしています。




