村と近衛騎士
騎士達も動揺している。
零もフェスもリラも開いた口が塞がらない。
「ろくでもない貴族の倅にシルビアを嫁がせるより、優しく、強く、頭の良い零殿に嫁がせる方が、シルビアも幸せになれるに決まっておる。」
アルベール国王が真剣に言った。
しかし騒ぎは収まらない。
「こ、国王、そう言う事は、シルビア王女のお気持ちもありますし、ここでいきなり決める様な事では…」
零が相当動揺しながら言った。
「私は零様で構いませぬ。」
騎士ルティナと騎士クノーラにつれられて、いつの間にか応接室に入って来たシルビア王女が言った。
シルビア王女は騎士ルティナから、先日零達がシルビア王女を魔族化から救った後、王族の秘密を守る為、近衛騎士団に襲われた事を知り、いてもたってもいられなくなり、零達のいる応接室にやって来のだ。
「いえ、私は命の恩人である零様と結婚したいです。」
シルビア王女が頬を赤らめて言った。
一同が静まり返った。
その静けさにシルビア王女の顔が真っ赤になった。
「シルビア、よく言った。それでこそ我が娘だ。ワハハ、これで王国は安泰だ。」
アルベール国王が叫んだ。
一同は唖然として静まり返ったままだった。
深夜に零達は粒子の転移でバルドー村に帰っていた。
セレスティアとカタリナもついて来たので、零の家を粒子で2部屋増やした。
朝になって早速村長の娘リーネとコットが訪ねてきた。
「フェスさん!おかえりなさい。」
リーネとコットが飛び込んで来た。
「フェス殿はまだ寝ておられる。どなたかな?」
首を傾げて一番に起きていたセレスティアが言った。
「お姉さん…誰?」
コットが不思議そうに言った。
「私はセレスティア。」
セレスティアが笑顔で言った。
「…キレイ。」
リーネが呟いた。
「なっ何を…」
セレスティアが赤い顔で動揺した。
「お前達何をしている。」
フェスが部屋から出てきた。
「あー、フェスさん!おはよう。」
リーネとコットが言った。
「あ、あぁ。」
フェスが無愛想に言った。
「リーネとコットか、おはよう。」
リラも部屋から出てきた。
「リラさんおはよう。」
リーネとコットが言った。
「あれ、子供がいる。どこの子供?」
カタリナが部屋から出てきて言った。
リーネとコットはカタリナの横柄な態度にちょっとたじろいだ。
「フェスさん、お兄ちゃんは?」
リーネが言った。
「主はまだ寝ておられる。」
フェスが無愛想に言った。
「あんた子供にも無愛想なのね。相手は子供なんだから優しくしてあげなさいよ。」
カタリナが言った。
「うるさい。」
フェスが言った。
「フェスさんは優しいのよ。」
リーネが少し怒ってカタリナに言った。
「なっ、…」
フェスが赤い顔になって何か言おうとした。
リラは少し笑った。
「え〜何!フェス、顔が赤くなってるじゃない。」
カタリナが意地悪な目で笑って言った。
「なってないわ。」
フェスが怒って言った。
「フェスさん、あの人は誰?」
リーネが言った。
「誰でもない。泊まる所がないから泊めただけだ。」
フェスが無愛想に言った。
「何よ、私は零の護衛よ。最初は形だけの護衛だったのに、本当の護衛になっちゃったけど。」
カタリナが最後はブツブツ言った。
「カタリナ、まだ極秘事項だ。」
セレスティアが言った。
「ふん、だいたい我より弱いお前に主か守れるのか?」
フェスがカタリナに言った。
「何で私があんたより弱いのよ。何なら試してみる?」
カタリナが挑発しながら言った。
「おもしろい。」
フェスがニヤリとしながら言った。
「フェスさんケンカしたら駄目だよ。」
コットがフェスを見つめて言った。
「あ、あぁ…」
フェスがコットを見て意気消沈した。
セレスティアは驚いてそれを見た。
リラは笑いをこらえている。
「あんた…どうしたのよ。」
カタリナが拍子抜けしてフェスに言った。
「どうもせんわ。」
フェスがつっけんどんに言った。
「フェスさん今朝ね…」
リーネがいつもの様に笑顔で取り留めのない話を始めた。
フェスは無愛想に話を聞いている。
リラはそのやり取りを面白がって見ている。
カタリナとセレスティアはそれを不思議そうに見ている。
ようやく零が起きてきた。
「皆、おはよう。あっ、リーネとコットも来てたんだね。おはよう。」
零が笑顔で言った。
「零様、今朝はごゆっりでしたね。」
リラが言った。
「色々考えてたら寝れなくなっちゃって。ハハハ。」
零が少し歪んだ笑顔で言った。
皆で朝食を食べ終わった頃、ドアがノックされた。
「零様、おられますか。」
村長グスタフが慌てる様に入って来た。
「あっ、パパ〜」
リーネとコットが言って村長グスタフに駆け寄った。
「お〜、リーネ、コット。」
笑顔で村長グスタフが応えた。
「おはようございます。村長どうしました。」
零が笑顔で言った。
「守備隊から聞いたのですが、高貴な騎士の様な方が来られていると、…もしやそちらのお2人が。」
村長グスタフが言った。
「あ、紹介します。王宮の近衛騎士団のセレスティアさんとカタリナさんです。こちらは村長のグスタフさんです。」
零がセレスティア、カタリナと村長グスタフを互いに紹介した。
「お、王宮?」
村長グスタフが驚いて聞き返した。
【次回予告 】
村での少しの休息から学園受験勉強へ。
物語を読んでいただきありがとうございます。
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