王女寝所
「シルビア王女の事か…あれは上手くいっていたのになぁ。途中で邪魔が入った。おかげで王女は死んでしまったがな。ワハハ。」
魔族デンドロが笑った。
「王女は生きているよ。」
零が言った。
「何!生きているわけがないだろう。」
魔族デンドロが焦って言った。
「幼い少女にあんな事をして、お前は絶対許さない。」
零が怒りの目で言った。
「こんなもので拘束したくらいで俺を捕らえたつもりか!」
魔族デンドロがカタリナの拘束魔法から姿を消した。
「逃さないよ。」
零が言って頭の中で粒子に命じて魔族デンドロを固めた。
魔族デンドロは執務室の窓付近で固まった。
「な、何だこれは!?」
魔族デンドロが言った。
「あの時は主の命令で見逃してやったが、今日はケリをつける。」
フェスが言って狼牙剣を出した。
「あの時、何の事だ、お前など見た事もな…」
零が粒子の固定を解除して、フェスが魔族デンドロの首を落とした。
「王宮の中に闇ギルドどころか魔族まで入り込んでいたとは…」
セレスティアが沈痛な面持ちで言った。
「セレスティアさん、まだやらなければならない事があります。」
零が言った。
「まだ闇ギルドや魔族が王宮にいるのか?」
セレスティアが零に聞いた。
「いいえ、王宮にはもういません。セレスティアさん、シルビア王女にお会いしたいのですが。」
零が言った。
「シ、シルビア王女に!?しかしこんな時間に…」
セレスティアは戸惑った。
「シルビア王女の魔族化はまだ解決してません。」
零が言った。
「あんた、治したんじゃないの?」
カタリナが驚いて言った。
「はい。一旦は治しましたが、放っとけばまた発症します。」
零が言った。
零達はシルビア王女の寝室の前に転移した。
「誰だ!」
寝室の入り口の夜の護衛の近衛騎士クノーラが剣を抜いた。
「クノーラ、私だ。」
セレスティアが言った。
「セレスティアか、それにカタリナも。そっちは…零と護衛か!?なぜここに?」
騎士クノーラが驚いて言った。
「シルビア王女は無事か?」
セレスティアが聞いた。
「なぜそんな事を聞く?セレスティア、何か知っているのか?」
騎士クノーラが動揺して聞き返した。
「やはり…零殿急ごう。」
セレスティアが言った。
零が頷いた。
騎士クノーラがドアをノックして開けた。
「ルティナ、セレスティアが零を連れて来た。」
騎士クノーラが言った。
「クノーラ、騒がしい。シルビア王女の寝所だぞ。」
シルビア王女が寝ているベッドの横で騎士ルティナが強く言った。
騎士ルティナがベッドの横にいるのに零は少し安心した。
シルビア王女の寝顔は安らいでいる。
「先程まで苦しんでおられたようだが、今は穏やかに寝ておられる。」
騎士ルティナが言った。
「穏やかなのはルティナさんが側にいるからです。そのままいてあげて下さい。」
零が言った。
「零殿、あれからシルビア王女の具合が良くない。何か知っているのか。」
騎士ルティナが言った。
あれからとは、魔族化が治ってから、ということだ。
「はい。シルビア王女が治ってから、僕はなぜ王女が魔族化したのか、原因を調べました。結論から言うと原因は取り除かれていません。王女が苦しんでおられるのはその為だと思います。」
零が言った。
「原因?」
セレスティアが言った。
「はい。僕は他にも魔族化した人達を知っています。その人達は薬で魔族化されてました。でも王女は違います。」
零が言った。
「当たり前よ、王女の口に入る物は、全部私達近衛魔法士が何重にもチェックしてるんだから。」
カタリナが言った。
「はい。だから奴等は厄介な魔道具を使って王女に魔族化の魔法をかけていました。」
零が言った。
「そんなのあり得ないわ。王女の身辺には魔道具なんて絶対置かないわ。」
カタリナが言った。
「あれです。」
零が王女の枕元の宝石を指差した。
「あれは、王妃様からの贈り物で魔道具ではない。」
騎士ルティナが少し怒って言った。
「あれは王妃様からの贈り物ではありません。すり替えられた偽物です。」
零が言った。
騎士ルティナが驚いて宝石を見た。
「カタリナ!」
セレスティアが小さく叫んだ。
「わかってる!」
カタリナが魔法で偽の宝石を王女から離そうとした。
しかし宝石が消えて、粒子の転移で零の手に移った。
「ちょっと!…まぁ王女から離したんだからいいけど…」
カタリナが不服そうに言った。
「すいません。これは魔法局などで解析した方が良いかと思って。」
零が苦笑いで言った。
「…まぁ、そうね。」
カタリナが言った。
「本物はこちらです。」
左手に粒子で転移させた偽物、右手には本物の宝石が現れた。
「これは…零殿、本物を何処で手に入れたのだ?」
セレスティアが言った。
「闇ギルドの魔族ランゴラルの部屋で見つけました。売られてなくて良かったです。」
零が言いながら本物の宝石を王女の枕元に転移させた。
「…零殿この偽物の宝石からは、何も魔力が感じられないのだが…」
セレスティアが言った。
「…待って、これ、認識分岐魔法!」
零の左手の平にある偽物の宝石の魔道具を解析していたカタリナが驚いて言った。
【次回予告 】
国王と再開する。
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