近衛騎士の銭湯視察
隊長オーエンの言う通り説明がつかない。
「ボルター卿、勝手してすまなかった。オーエンに話があるので外してもらえぬか。」
セレスティアが言った。
領主代行ボルターはホッとしながら一礼して応接室を出た。
「ユーリ王子は本当に王宮に帰られたわ。私も見たから間違いない!」
カタリナが言った。
「カタリナ様が見た!?カタリナ様はここにおられるではないですか。どのように見られたのですか。」
隊長オーエンが言った。
「あ〜も〜うるさい奴ね。私の魔法で転移してもらったの。高度な魔法の事をお前に説明してもわからんわ!」
カタリナが半分キレて言った。
「転移魔法ですか。さすがはカタリナ様です。私には魔法の事はわかりませんが、カタリナ様がそうおっしゃるのであれば、そうなのでしょう。」
隊長オーエンはようやく納得した。
「オーエン、カタリナの転移魔法は近衛騎士団の極秘の魔法だ。決して口外してはならん。よいな。」
セレスティアが言った。
「はっ、わかりました。」
隊長オーエンが言った。
「オーエン、下っていいよ。」
カタリナが言った。
隊長オーエンは一礼して部屋から出て行った。
セレスティアとカタリナはホッとした。
「これで私の仕事は終わり。」
カタリナは笑顔で言った。
「本気で言っているのか。」
セレスティアが少し驚いて言った。
「えっ?王様はユーリ王子がここから消えた説明に行くように言ってたでしょ?」
カタリナが不思議そうに言った。
セレスティアはため息をついた。
「騎士長があなたを選んだのは、あなたが近衛騎士団で最も優れた魔法士だからでしょ。」
セレスティアが言った。
「お〜セレスティアわかってんじゃない!」
カタリナが喜んで言った。
「それで、何かわかったの?」
セレスティアは少し呆れて聞いた。
「何が?」
カタリナが聞き返した。
「何がって、あの零が使った転移魔法の事。」
セレスティアがまた聞いた。
「あぁ…最初、魔法を隠蔽させてるのかと思ったわけよ。でもね、隠蔽魔法も突き詰めれば魔法なわけで、解析すれば魔力の欠片みたいなのが出てくるわけ。」
カタリナが言った。
「何かわかったのか!?」
セレスティアが明るい顔で言った。
「いや、何もわからなかった。」
カタリナがしれっと言った。
「おい!」
セレスティアは少し怒って言った。
「転移魔法なんて大魔法なのよ。近接転移ならまだしも、ここから王宮までなんて、しかも魔力を隠蔽させてって、そんな事できるの大賢者くらい。」
カタリナが言った。
「大賢者!?」
セレスティアが言った。
「相手が大賢者だったら私なんてただの魔法少女なわけ。勝てるわけないし、大賢者の魔法なんてわかるわけない。」
カタリナが呆れて言った。
「…報告があった零の情報の中に大賢者や女神の使徒ではないかと言う記述があった。」
セレスティアが言った。
「えっ!本当!?」
カタリナが驚いて言った。
「ここからユーリ王子と転移する時も、王女を助けてほしいと言っただけで、王女の名前や病名や余命まで言い当て、そのまますぐに転移したのだ。」
セレスティアが言った。
「えっ〜何それ!何でここにいて王宮の事が一瞬で分かるのよ。王女は今日が山場って言われたわ。でもそれって今日言われた事なのよ。病室だって近衛騎士団で超極秘扱いだったのに。しかも行った事のない王宮の病室に転移するなんて。魔法理論的にもあり得ないから。」
カタリナが言った。
「零は本当に大賢者なのか…」
セレスティアが言った。
ノックがあって王国からの使者の文官が、2人が話している部屋に入って来た。
「カタリナ様が居られると伺って参りました。」
文官が言った。
「どうしたの?」
カタリナが言った。
「来て頂きたい所があるのですが。」
文官が言った。
カタリナとセレスティアは顔を見合わせた。
文官が2人を連れて行ったのは孤児院周辺の開発地だった。
「ここには学校があるのか?」
セレスティアが零の作った学校を見て言った。
「へぇ〜訓練施設もあるじゃない。」
冒険者施設を見たカタリナが言った。
孤児院の宿泊施設や100棟以上の建物、飲食店や宿屋まである。
そして緑豊かな正確に区画整理された農地が限りなく広がっている。
「素晴らしいな。」
セレスティアが笑顔で言った。
「セレスティア様、カタリナ様、こちらです。」
文官が言った。
「何ここ?銭湯って?」
銭湯の建物の前に来てカタリナが言った。
銭湯の入り口に筆頭財務官バルトロが迎えに出ていた。
「この様な所までお越し頂きありがとうございます。さっ、どうぞ、こちらです。」
筆頭財務官バルトロが言って銭湯の中に案内した。
セレスティアとカタリナは銭湯の給水口の裏側に案内された。
「これです。」
文官が言った。
文官が指し示したのは給水口の裏側に設置された大きな箱の中身だ。
「これは…まさか白銀の塩か!?」
セレスティアが驚いて言った。
箱の大きさからすると1トン、軽自動車1台分くらいの量だ。
「こんな大量の白銀の塩って、ここで作ってたの!」
カタリナが目を輝かせて言った。
「これは零様の魔法で作られていて、毎日この箱に一杯の白銀の塩が作られます。」
筆頭財務官バルトロが笑顔で言った。
「毎日?」
セレスティアが言った。
【次回予告 】
カタリナとフェスの戦い。
物語を読んでいただきありがとうございます。
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