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男爵と魔族

零は魔王軍大隊長エレクトラを一瞬で倒す方がよいと判断した。


魔族エレクトラは町の各所に潜伏している魔族兵達と常に念話していた。


魔族エレクトラの正体がバレた事を潜伏している魔族兵に知られると、各所で魔族兵が暴れだす可能性があったからだ。


筆頭財務官バルトロは椅子から転げ落ちて床で腰を抜かして、言葉にならず口をアワアワさせている。


セドリック男爵も冷や汗を流しながら目を怯えさせて、口が開いたままになっている。


「男爵、自分が何をしたかわかっているのか。」

零が怒りの目で睨みつけて言った。


零の言葉でセドリック男爵は正気に戻った。


「何を、お前達は何者なのだ。」

セドリック男爵が言った。


「男爵、お前は貧困の領民を拉致し、魔族にする実験をしていたな。」

零が言った。


「な、なぜそれを!?」

セドリック男爵は驚いて聞いた。


「実験体にされた人達を保護したのは僕たちだ。」

零が言った。


零はバルドー村でセドリック男爵の事を調べた時、男爵が魔族と組んで貧困者を魔族にする実験をしている事を知った。


零達は村を出る前に粒子の転移で、領都バルセーヌからその人達を救出した。


「実験体を檻から奪い去ったのはお前達だったのか!実験体をどこへやった。」

セドリック男爵が叫んだ。


「被害者達は信頼出来る人達に預かってもらっている。」

零が答えた。


零達が保護した被害者達は粒子の転移でバルドー村のギルド長カトレアの元に預けられていた。


「預けただと、そんな事をすればあ奴らは死んでしまうぞ。」

セドリック男爵は嘲笑う様に言った。


実験体にされた人達の中には体の一部が魔族化した人も多くいた。


魔族化した者は魔族化の薬を与え続けなければ死んでしまう。


「魔族化した人達は既に治療して魔族化を取り除いた。」

零が言った。


零は実験された人達を救出した時に魔族化した人達を粒子の治癒で人間に戻している。


「そんな事、できるはずがない!」

セドリック男爵が言った。


「証拠を見せようか。」


零が粒子の能力で、自分の傀儡を残してバルドー村に転移し、事前に打ち合わせていた領都の執政長官ボルターと転移してセドリック男爵の屋敷に戻った。


「ボルター!貴様どうして!?」


執政長官ボルターは3ヶ月前にセドリック男爵と筆頭秘書官エレクトラの陰謀に気づいた為、捕らえられて無理な実験で瀕死状態になっていた。


「私は死を待つだけの時、零様に助けられました。男爵あなたのした事は絶対に許されません。」

執政長官ボルターが怒りに満ちて言った。


「助けられただと…零、お前は一体何なのた!」

セドリック男爵が恐れおののいて言った。


「男爵、お前は生かしておかない。」

零が怒りに満ちて言った。


「何を言うか!私の力を見せてやる。」


セドリック男爵はひと回り大きくなり、左半分が魔族となった。


「この力は魔王様から授かった力だ。」

セドリック男爵が叫んで、両手を上げて零に襲いかかった。


しかし、その姿のまま、動かなくなった。


「何だ?なぜ動けない?」

セドリック男爵が戸惑って言った。


「男爵、覚悟しろ。」

零がそう言うとセドリック男爵の頭から胸まで真二つになった。



「ボルター様、ご無事で何よりです。」

状況が飲み込めず暫く茫然としていた筆頭財務官バルトロが、悪夢から目を覚ましたように、はっとして執政長官ボルターに言った。


執政長官ボルターは3ヶ月前に男爵に捕らえられて以来失踪扱いになっていた。


「ふむ、バルトロ心配かけた。」

執政長官ボルターが笑顔で言った。


「しかし領主である男爵が魔族に組みしていたとは。」

筆頭財務官バルトロが言った。


「男爵は2年前に盗賊に襲われて、溺愛していたご子息様と奥様を喪われてから人が変わってしまわれた。」

執政長官ボルターが残念そうに言った。


セドリック男爵の事情を聞いて、零の目が少しの驚きの後曇った。


『どんな理由があるにせよ、主のやった事は間違ってません。』

フェスが念話で伝えた。


『零様はされるべき事をされたのだと思います。』

リラも念話で伝えた。


零は、はっとして2人を見た。


フェスとリラは笑顔で零を見た。


『2人ともありがとう。』

零も笑顔で念話で返した。


「ボルターさん、領都の防衛の臨戦体制を整えてください。」

零が言った。


執政長官ボルターは、はっとした。


「魔王軍の大隊長エレクトラの部隊の残党ですか。」

執政長官ボルターが言った。


「はい。エレクトラは大隊長ですから、その配下に小隊があると思います。その小隊が攻めてくる可能性があります。」

零が執政長官ボルターに言った。


「フェス、リラ、領都の魔族兵を全部始末するよ。」

零が2人を見て言った。


「はっ!」

フェスとリラが答えて、零達は粒子の転移で消えた。


零達は領都の各所に潜伏していた魔族兵を全て始末した。


3日後。

この3日間で孤児院の周辺の開発は大きく進んだ。


孤児達の数は300人を超えた。


今迄は孤児院の食堂で勉強を教えていたが、専用の建物を作ったら学校の様になってしまった。


荒廃した広大な農地候補は2000人を超える貧困者達が耕している。


銭湯も人が多くなったので、湯船を大きくして、お金持ちの為に高料金の高級な湯船のある特別室も作った。


そして魔族にも動きがあった。


大隊長エレクトラの配下の小隊長3人が領都近郊の森の中に集まっていた。


「もう3日も連絡がないのだぞ!」

小隊長ダロックが苛立って言った。


「町に潜入している大隊長エレクトラ様だけではない、他の兵士からも連絡がない。」

小隊長ナスロバが言った。


「何かあったと判断していい。」

小隊長グラハが言った。


「大隊長の命令通り、3日連絡が途絶えたから、明日総攻撃を仕掛ける。」

小隊長ダロックが意気込んで言った。


「異論はない。」

小隊長ナスロバが口元を笑わせて言った。


「承知。」

小隊長グラハが不気味に笑いながら言った。


魔族の小隊長たちの会合を、零は粒子の探索で見ていた。


「魔族は明日総攻撃のようだ。」

冒険者の訓練施設の様子を見ながら、零がフェスとリラに言った。


【次回予告 】

魔族との戦いが始まる。


物語を読んでいただきありがとうございます。

これからも面白い物語に育てていきます。


「面白い!!」「続きが読みたい!!」と思っていただけたら、

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また読んでもらえることを楽しみにしています。

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