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孤児院

零達と筆頭財務官バルトロは馬車でセドリック男爵の屋敷を出た。


馬車の中で筆頭財務官バルトロは町の商いについて話している。


『粒子、この町の孤児を探索。』


筆頭財務官バルトロの話を聞いてる振りをして、零が頭の中で粒子に命じた。


零の前に粒子画面が現れ複数の青い点が散在している。


その中にまとまった数の青い点も表示されていた。


『ここは…』


粒子画面に映し出すと町の孤児院だった。


『孤児院があるのか。』


映し出されている孤児院の建物は小さく、古びてボロボロである。


『子供の人数と比べて、だいぶ狭い。建物の立て直しも必要だ。』

と零は思った。


「バルトロさん、町を見て歩きたいので、ここで降ろしてもらえますか。」

零は筆頭財務官バルトロに言った。


「は!?ここで降りるのですか?」

不思議そうに筆頭財務官バルトロが言った。


馬車が止まって零達が降りた。


「ありがとうございます。」

零は筆頭財務官バルトロに言って路地に入って行った。


「お、お待ち下さい!」

筆頭財務官バルトロは言って、慌てて馬車を降りて零達の後を追った。


「れ、零様…」

筆頭財務官バルトロが路地に入ったら、零達の姿はなかった。


零達は粒子の転移で孤児院の前にいた。


「酷く荒れた土地だね。人もだれも住んでいないようだし。」

零が周りを見て言った。


「この干からびた土では誰も住まないでしょう。」

リラが土を触りながら言った。


「なんだこの小屋は、古くてボロボロではないか。」

フェスが孤児院を見て呆れて言った。


零が孤児院のドアをノックした。


暫くするとドアがゆっくり少しだけ開いた。


「零と言います。領主のセドリック男爵の命令を受けて来ました。」

零が言った。


「えっ!?」

ドアが急に開いて中からシスターらしき人が出てきた。


シスターの名前はマリア、年齢は33歳、その服も傷んでいる。


「どうぞ、お入り下さい。」

シスターマリアが言った。


中を見たリラとフェスの目に怒りが現れた。


中にはボロを着た5〜10歳くらいの子供が10人いて、その中の3人が寝たままになっている。


「あの子達は体調が悪いのですか?」

寝ている子供達を見て零がシスターマリアに聞いた。


シスターマリアは黙って頷いた。


零はすぐに粒子の治癒でその3人の子供達を治した。


子供達は苦しさが急に消えて、不思議そうに起き上がり、笑顔になった。


シスターマリアが元気になった3人の子供達に駆け寄った。


「こ、これは、女神様の奇跡…」

シスターマリアが涙を浮かべて言った。


「皆、ご飯食べようか。」

と零は言って外に出た。


外に出て、粒子で大型の鉄板を作り、オリーブオイルで細切れにしたワイバーンの肉を塩をかけて焼いた。


零は粒子で10メートル四方のウッドデッキと20人座れるテーブルと椅子、コップに水、フォーク、ナイフ、皿を作った。


零が粒子で作るのをシスターマリアと子供達は驚いて見ていた。


「出来たから食べよう。」

零が焼いた肉を皿に盛った。


リラとシスターマリアが料理を子供達に配膳していった。


「お前も手伝わんか。」

椅子に座って誰よりも目を輝かせて零の料理を見ていたフェスにリラが言った。


「さあ食べよう。」

零が言った。


「女神様と零様に感謝を捧げていただきましょう。」

シスターマリアが言った。


「女神様に感謝を捧げます。零様ありがとうございます。いただきます。」

と子供達は言って食べた。


「美味い!!主、この細い肉も美味しいです!」

フェスが一番に言った。


「でしょ〜」

零が嬉しそうに言った。


子供達とシスターマリアはフェスを見て笑った。


食事が終わって子供達は走り回って遊んでいる。


「子供達があんなに明るく走っているのは初めてです。」

シスターマリアは目に涙をためて言った。


「子供達が元気になって良かったです。」

零が子供達を見ながら言った。


「こんな聞き方をしたら失礼なのですが、零様はここへ何をしに来られたのですか?」

シスターマリアが不思議そうに聞いた。


「実はシスターに相談があってきました。」

零がシスターマリアの方に向き直って言った。


「相談…孤児院廃止の件ですか?」

シスターマリアが言った。


「廃止?そんな話が出ているのですか?」

零が少し驚いて聞いた。


「はい。町からの補助も3年前から停止されています。今は心ある町の人達の寄付で何とかしのいでいます。でももう限界でやっていけなくなるのは時間の問題です。」

シスターマリアが言った。


フェスとリラの目に又怒りが宿った。


「そうですか…僕の相談は、皆さんに協力してほしい事があるのです。」

零が言った。


「協力?こんな私達が零様のような方に何か協力できるのですか?」

シスターマリアが驚いて聞いた。


零達はシスターマリアに内容を話し協力を依頼してから、筆頭財務官バルトロの屋敷の近くの人けのない所に粒子で転移した。


筆頭財務官バルトロの屋敷の門番に零の名前を言うとすぐに中へ通された。


「零様、よくお越しくださいました。」

筆頭財務官バルトロが玄関から飛び出して来た。


「バルトロさん、ちょっと話があって。」

零が言った。


応接屋に零達は通された。


「バルトロさん、領地の南東の土地を商いで使わせてほしいんですけど、いいですか。」

零が言った。


「領地の南東ですか…あそこは土地が干からびていて何もない所ですが…あ、いや待てよ、確か孤児院がありました。どうぞ、どうぞお使い下さい。孤児院のような生産性のないもの、すぐに撤去しますので。」

筆頭財務官バルトロが言った。


フェスとリラが殺気立って筆頭財務官バルトロを睨んだ。


「ひぇ、な、何か粗相でも。」

怯えながら筆頭財務官バルトロが言った。


「孤児院はそのまま残します。では、あの周辺の土地を商いの目的で使わせてもらいますね。」

零が言った。


【次回予告 】

孤児院を新しくして商いに役立てる。


物語を読んでいただきありがとうございます。

これからも面白い物語に育てていきます。


「面白い!!」「続きが読みたい!!」と思っていただけたら、

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