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村から領都

昼頃。

村長グスタフの家には領主の使者バルトロがいるので、村長はギルドに村の主だった者達、副村長レイモン、守備隊隊長イグニス、ギルド長カトレアを集めた。


村長グスタフは村の税が上がる事と零達を領主のもとに差し出す事を使者バルトロから命じられたと伝えた。


「そんな、税が上がるって、今は零様達のおかげで一時的に栄えてますが、いつまでも今の様な訳にはいきません。」

副村長レイモンが言った。


「しかも村の恩人である零殿を領主に差し出すなど、あり得ない。」

ギルド長カトレアが言った。


「どうすればよいか、皆の意見を聞きたい。」

村長が言った。


零は粒子でこの集会の内容を観ていた。


その内容をフェスとリラに共有した。


集会が終わって、村長グスタフは零の家を訪れた。


「どうしました、村長。」

零が言った。


「実は…」

村長グスタフは領主の使者バルトロの話を零に打ち明けた。


「村としては…」

村長グスタフが集会の結果を苦しそうな顔で話そうとした時、零がそれを遮った。


「わかりました。領主の所に行ってきましょう。」

と零が言った。


「えっ!?」

村長グスタフは零の対応に驚いた。


村長達の集会は増税の件は了承して、零達を領主のもとに送る事は拒否するとの結論だった。


拒否した事による領主からの制裁は恐ろしいが、村の恩人である零達を領主に差し出すのは恩を仇で返す事になると、皆が一致して拒否の結論に至った。


零はそれを知っていたが、領主の所に行く事にした。


その日の夕刻。


『カトレアさん。お仕事中すみません。実はお願いがあります。』

ギルド長カトレアの頭の中で零の声がした。


ギルド長カトレアはギルドの自分の執務室で書類作業をしていた。


「れ、零殿?」

ギルド長カトレアが手を止めて周りを見渡した。


『僕は家にいます。カトレアさんに念話で話してます。お願いと言うのは…』


零はお願いする内容をギルド長カトレアの頭の中に時間をかけて丁寧に伝えた。


ギルド長カトレアは顔色を変えた。


『それは、本当なのですか。零殿は本気で…』

ギルド長カトレアはもう言葉に出来ず頭の中で零に訴えた。


『はい。』

零はギルド長カトレアの頭の中へ答えた。


『…もし零殿の言う事が本当なら私は零殿に協力しなければなりません。しかしあまりにも…』

ギルド長カトレアが頭の中で答えて、絶望したように顔を覆った。


『ご協力ありがとうございます。よろしくお願いします。』

零が念話でギルド長カトレアの頭の中に伝えた。


ギルド長カトレアは書類を前に絶望的な顔のまま暫く考え込んだ。


3日後、領主の使者バルトロが護衛の冒険者達と零達を馬車に乗せて村を出発する事になった。


バルドー村の村人は別れを惜しんで皆見送りに来た。


「フェスさん気をつけてね。」

村長の娘リーネが涙を浮かべて言った。


「あぁ。」

相変わらず無愛想にフェスが言った。


「帰って来る?」

村長の娘コットも涙を浮かべて言った。


「主のお心次第だ。」

フェスが無愛想のまま言った。


村長の娘リーネとコットが零の方を見た。


「帰ってくるよ。」

零が笑顔で2人に言った。


「本当!?」

リーネとコットが笑顔になった。


「本当だよ。」

零が言った。


それを見ていた使者バルトロが口元だけで嫌味に笑った。


領主の使者バルトロと護衛の冒険者ジェイス、バザル、ボルグ、零達の7人を乗せた馬車は村を出発した。


村人は口々に零達にお礼を言いながら手を振って見送った。


ギルド長カトレアと隊長イグニスの姿はそこにはなかった。


馬車は村を出て森に入った。


馬車の中で零の粒子の防犯カメラが反応し、粒子画面を見た零が少し笑顔になった。


リラの目が鋭く微動したがすぐに緩んだ。


ミストウルフ達が森の中に姿を隠して馬車を見ていた。


村の子供達に助けられたミストウルフの子供もいる。


気配を察していたフェスの口元が笑っていた。


「しかし本当に魔物を300体も倒したのかねぇ〜しかもハイレベルの魔物を。」

馬車の後方を見張っているボルグが言った。


「眉唾ものだな。」

馬車の御者をしているバザルが大声で言って笑った。


『主のお許しを頂けたら、今すぐこいつを殺します。』

フェスが零に念話した。


『やめなさいって。』

零が念話で応えた。


「お前達は領都に着いたら領主様の為に働くのだ。心しておけ。」

使者バルトロが零達に言った。


『零様、1人くらい殺しても問題ないのでは。』

リラが零に念話した。


『だから、やめなさいって。』

零が念話でリラを止めた。


夕刻、馬車から出て夕食をとった。


零達は零がアイテムボックスから出すふりをして、粒子からワイバーンの肉を、スキレットにオリーブオイルをひいて、塩をふって、ステーキにして焼いて食べた。


フェスとリラは少し機嫌良くなった。


使者一行は干し肉をかじっている。


「何ていい匂いだ、何だあの肉は?」

冒険者ボルグがよだれを垂らしながら言った。


「おい、お前達、私にもその肉を食べさせろ。」

使者バルトロが言った。


「断る。」

フェスが言って笑った。


「ぐっ、き、貴様〜」

使者バルトロが怒りながら言った。


その後、使者一行の悪態は酷くなった。


領都まで馬車で数日かかる。


このまま悪態が続くとフェスやリラが本当に誰かを殺しかねない。


『うるさいからちょっと静かにさせるか。』

翌日の夕食の後、零が念話で2人に伝えた。


『はっ、では我が奴らの顎の骨を砕いて喋れなく…』

フェスが念話で応えた。


『やめなさいって。』

零が念話で制した。


『何をされるのですか?』

リラが念話で零に聞いた。


『森の魔獣を転移させるね。』

零が念話でフェスとリラに伝えた。


零の意識が一瞬飛んだようになったが、すぐ戻った。


粒子の探索では、別の場所の魔獣を転移させる事はできないので、一旦魔獣の場所まで零自身が転移して、今の場所に魔獣ごと転移してきた。


零達の野営地の前に魔物の森の深域の最強種魔獣の炎虎が現れた。




【次回予告 】

零の3人目の従者?


物語を読んでいただきありがとうございます。

これからも面白い物語に育てていきます。


「面白い!!」「続きが読みたい!!」と思っていただけたら、

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また読んでもらえることを楽しみにしています。

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