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領都の使者

「ですから村長、領主様がおっしゃるには、この村の税率を1割上げて6割にするとの事なのです。」

使者バルトロが言った。


「そんな無茶な!!」

村長グスタフが言った。


「無茶?それは領主様に対する造反と言うことですか?」

使者バルトロが言った。


「そっそんな事は…」

村長グスタフが口ごもった。


「今一つ、この村を発展させた者達がいるようですね〜その者達を領主様のもとに連れて来る様に言われております。」

使者バルトロが言った。


「えっ、何故?」

村長グスタフが目を丸くして言った。


「何故って、この村をここまで発展させた者達に、領主様のもとで、領内全ての発展に貢献してもらわねば。そうであろう?」

使者バルトロが薄笑いを浮かべて言った。


「そっ、それは…」

村長グスタフは言葉を詰まらせた。


「村長、良いな。」

使者バルトロが席を立ちながら言った。


使者バルトロが部屋を出た後も、村長グスタフは苦しげな顔でうつむいていた。


その日の夜、村長グスタフは領主の使者バルトロの事を妻のマーサに話した。


「そんな、零様達は私や娘達の命の恩人です。恩を仇で返す様な事はできません。」

妻マーサが強い口調で言った。


村長グスタフの様子が変だったので娘のリーネとコットは心配して2人の会話を盗み聞きしてしまった。


翌朝。

村長の娘リーネとコットは零の家にやって来た。


リーネとコットは零が村に家を作ってから毎日のように遊びに来てフェスに話をしている。


「おはよう、リーネ、コット。今日は早いね。」

零が言った。


「お兄ちゃん、フェスさん、村から逃げて。」

リーネが零達に言った。


『粒子、探索。』

零はすぐさま粒子で周囲10キロを探索した。


元々この村に来てから粒子で周囲5キロに防犯カメラを設置している。


その防犯カメラには何も反応していない。


周囲10キロにも角兎以外反応はない。


「どうした、何があった?」

フェスが2人に聞いた。


「領主様が皆を連れて行こうとしてるの。」

村長の娘リーネが言った。


『粒子、この村の領主の関係者を探索。』

零は村長の娘リーネの話を聞いてすぐに調べた。


粒子画面が現れて4箇所に青い点が現れた。


2つは村長グスタフの家のようだ。


あとの2つのうちの1つは村の中を移動している。


1つはこの家の近くで止まっている。


『なんだ?見張っているのか。』

零が粒子画面を見ながら思った。


『粒子、鑑定。』


零は見張っている男を鑑定した。

男はボルグと言ってランクDの冒険者だ。


『そんなに気にする必要はないなぁ。』

と零は判断した。


『粒子、村長の家の客室にいる男達の音声を。』


村長グスタフの家の客室には領主の使者らしき男と護衛らしき男がいる。


この2人も鑑定した。


1人は領主の使者バルトロで、領地の筆頭財務官をしている。


『筆頭財務官…確か税と商人たちを取り仕切っている経済関係の部署の責任者か。』


零は粒子の保存の能力で王国図書館のほぼ全ての本の内容が頭に入っている。


もう1人は使者バルトロの護衛でジェイスと言い、ランクCの冒険者である。


『粒子、領主の使者と冒険者の4人の顔の画像を保存。』


「私には信じられません。たった2人で300もの魔物を倒すなんて。」

冒険者ジェイスが言った。


「うむ、その事も含めてバザルに色々調べさせておる。」

使者バルトロが言った。


「もし本当ならその2人は勇者に匹敵する強さなのでは。」

冒険者ジェイスが言った。


「ふふふ…だとすれば領都に多大な利益をもたらす。セドリック男爵のご命令通り必ず連れて帰るのだ。」

使者バルトロが言った。


『領主はセドリック男爵って言うのか。』


零が家で村長の娘リーネやコットが領主の使者バルトロの事をフェスに話しているのを見ながら、頭の中で呟いた。


『粒子、セドリック男爵を探索。』


粒子画面が零の前に現れた。


粒子がセドリック男爵を映し出した。

『粒子、鑑定。』


鑑定結果

セドリック男爵

体力1500/1500

魔力2000/2000

剣技500/500

備考・グランバルト王国の貴族…以下省略。


セドリック男爵の粒子画面を読み進めた零が愕然とした。


『なっ…こいつ…』

零の目には怒りが宿った。


リラとフェスが零の異変に気づいた。


『主、どうしました?』

フェスが念話で聞いた。


『あぁ、ごめん、ちょっと領主の事を調べてて。』

零がまたいつもの笑顔に戻り念話でフェスとリラに伝えた。


『粒子、男爵の顔を画像で保存。』


零はセドリック男爵や使者バルトロと護衛の冒険者達の事を調べた内容と、使者と冒険者の4人の顔の画像をフェスとリラとに念話で共有した。


『これは絵ですか!?生きているような。』

『色の付いた絵をいつ描いたのですか!?』

画像が頭の中に表示されたフェスとリラが念話で驚いて零に聞いた。


零は苦笑いした。


画像は粒子の転移の応用を使い、画像データを2人の脳内の視覚野に転移させた。


セドリック男爵のデータを見たリラの目が鋭く殺気立った。


『こ奴は始末せねばなりませんな。』

念話で伝えながら、フェスの目にも怒りが満ちた。


【次回予告 】

村から領都への旅。

現れる最強種魔獣。


物語を読んでいただきありがとうございます。

これからも面白い物語に育てていきます。


「面白い!!」「続きが読みたい!!」と思っていただけたら、

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また読んでもらえることを楽しみにしています。


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