粒子の保存
【次回予告 】
領都からの使者バルトロの要求。
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翌日。
村人総出で魔物の解体作業が始まった。
隊長イグニスから魔物を200体もらえると聞いて、村長グスタフは大喜びで零にお礼を言った。
「僕達は森の中の様子を見に行ってきます。帰りは夜になります。」
零が村長グスタフに言った。
零達は森の中に入ると転移して森の深域の魔豹族の集落に戻った。
「ガダン、お土産だよ。」
と零は言って魔物部隊の本隊の350体の魔物の肉を魔豹族長代理のガダンに渡した。
大喜びの魔豹達と皆で焼いて食べた。
「このような魔物はこの辺では見かけません。」
魔豹達が口々に言った。
「弱い魔物だから、深域では生存できないからな。」
リラが答えた。
魔豹族はたくさん食べたが、それでも大量の肉が余った。
「冷蔵庫を作ろう。」
と零が言って、洞窟の中に粒子で冷蔵庫を作った。
冷蔵庫はこの異世界の最北端にある氷の地域から、粒子の転移で零が作った粒子の保存倉庫に冷気を送り、中が冷えるようにして、治癒の能力で素材の腐蝕を防いでいる。
夕方には牙狼族の集落に行って同じように、350体の魔物の肉を渡して冷蔵庫を作った。
同じく肉を焼いて牙狼達と夕食を食べた。
「暗くなったから村に戻ろうか。」
零はフェスとリラに言って、村に戻った。
宿泊先の村長の家に戻ると、村長の娘リーネとコットが迎えに出た。
「フェスさん、皆さんおかえりなさい。」
娘2人が零達に言った。
零とリラは「ただいま帰りました」と応えたが、フェスは無愛想に「うん」とだけ返した。
零とリラは笑いをこらえながら部屋に戻った。
零達は当初の予定より長く村に滞在する事になった。
実際は村と森の深域を粒子の転移で行き来していた。
村に任せていた魔物の解体が終わった。
「魔物の肉が大量になってしまいましたね。肉を保存しておく冷蔵庫を作りましょう。」
零が言って牙狼族や魔豹族の集落に作った粒子の冷蔵倉庫を村にも設置した。
ギルド長カトレアは最初驚いたが、もう零なら当然なのかと思うようにした。
「零殿、重ね重ねありがとうございます。」
ギルド長カトレアは零に言った。
これで村の食料や素材は長期間安定する。
「零様!食料を保存する倉庫を作っていただき、ありがとうございます。」
村長グスタフは大喜びした。
『冷蔵庫を作れるのを見せてしまったから、家を作れるのを見せてもいいだろう。』
零は思った。
「村長、村の空いてる土地をお借りして僕たちの家を作りたいのですが。いいでしょうか。」
零が言った。
「本当ですか!是非ともそうしてください。どこでも好きな土地をお使いください。」
村長グスタフは歓迎した。
村長の家の裏に空いた土地があったのでそこを借りることにした。
「賃料などいりません。魔物の素材や保存倉庫を作っていただきましたし。無料でお貸しします。」
零が土地の賃料を聞いたら村長グスタフが言った。
「いや、そういうわけには…」
零は困った顔で言った。
「その代わりできる限り長くここにお住いください。」
村長グスタフが言った。
「はぁ。」
零は苦笑いで言った。
『村の護衛とでも考えているのでしょう。』
リラが念話で零に伝えた。
『あはは…そうだね。それに僕たちの魔物の素材も村の商いになるだろうし。』
零が念話で応えた。
『まぁ、主の言うように、この村に住むのもよいではありませんか。』
フェスが念話で伝えた。
零とリラは笑顔でフェスを見た。
家を作った日の夜、零がベッドに入ったら、粒子のステータス画面が開いた。
『おっ、新能力の追加か?』
ステータス画面を見ると粒子の無限分散は相変わらず継続中で、【保存】の能力が追加されている。
『保存かぁ、今まで肉とか素材とか、真空にして治癒で痛むのを防いで保存してたから助かるよ。』
零が思った。
粒子が真空で保存している肉や素材を保存の能力の保存場所に入れ替えた。
『保存の能力の保存場所は異空間にあるのか。保存容量無限って凄いなぁ。…保存は便利な能力だけど…』
何か変だと零は思った。
肉や素材を保存するのなら、保存の能力がなくても粒子の能力を工夫すれば保存できる。
『何か別のものが保存できるのか?』
零は考えた。
『もしかすると…粒子、迅鹿の探索、映像に出して。』
迅鹿の3頭が映像で映し出された。
『粒子、保存。』
5分程その様子を観ていた。
『粒子、保存終了。粒子、保存した映像を再生。』
粒子画面が開いて、さっき観た迅鹿の映像が映し出された。
『やっぱり!データの保存もできるんだ。これも便利な機能だ。』
零は喜んだ。
保存の能力に納得して寝ようとした。
『待てよ、データを保存できるなら…粒子、王国の図書館を探索。』
粒子画面に王国の図書館が映し出された。
『よし、ここに転移して…いや、監視カメラみたいなものがあったらこの姿を映されてしまうな。粒子、王国の図書館の罠や防犯の魔法を探索。』
粒子画面が開いて罠や防犯の魔法を映し出した。
『ひぇ~罠だらけ。調べて良かった〜。よし、粒子、光学迷彩で宙に浮いたまま王国の図書館に転移。』
零は王国の図書館に転移した。
光学迷彩で宙に浮いているので、魔法の罠や防犯カメラにひっかからない。
『粒子、本の中身の全てを鑑定して保存。』
零は3時間程で図書館の本の中身の全てを鑑定保存した。
『よし、帰ろうか。』
零は転移し村の家に戻った。
その日から零は粒子に保存した本の内容を一冊ずつ脳の海馬から大脳皮質に記録させた。
半年で王国図書館の半分の本を記憶した。
そして帝国図書館や共和国図書館の本も粒子で保存し記憶した。
村で事が起こったのは、零達が森の深域とこの村を行き来する暮らしが始まってから、半年後だった。
「零様達が魔物を倒してくれてから半年になるなぁ。」
村の入り口を警備する守備隊の隊員が言った。
「そうだな。魔物の素材が増えたおかげで、買付けの商人の出入りが多くなった。」
別の隊員が言った。
「あの冷蔵庫とか言う倉庫のおかげで魔物の素材が新鮮なまま取引きされてるからなぁ。」
「しかも村の周辺の魔物も減ったから安全になったしなぁ。出入りの商人は増えるばかりだ。」
「零様のおかげだ。」
守備隊員は笑顔で言った。
村に領主の使者バルトロと言う者がやって来たのはそんな時だった。
「村長、村の益々の発展、喜ばしい事です。」
使者バルトロが言った。
村長グスタフの家の応接室で領主の使者バルトロが村長グスタフと話している。
「これは、バルトロ殿。わざわざのお越しありがとうございます。」
村長グスタフが言った。
使者バルトロは領主の意向を村長グスタフに伝えた。
「なんですって!?」
村長グスタフが驚いて言った。




