白銀の塩
「村長、実は相談があるのですが。」
零は言いながら、アイテムボックスのように見せて、粒子から白銀の塩100グラムを取り出した。
「おお、アイテムボックスをお持ちですか。」
村長グスタフが驚いて言った。
「これを売りたいのですが。」
零が塩を差し出しながら言った。
「これはなんですか?白い粉のようですが…まさか塩?!」
村長グスタフがまた驚いて言った。
「はい。」
零が答えた。
「この様な白い塩を何処で手に入れたのですか?」
村長グスタフが聞いた。
「それは…その…旅の途中で手に入れまして…」
零は答えにくそうに言った。
「そ、そうですね、これほど貴重な塩の仕入れ先を簡単には話せませんよね。」
村長グスタフが少し慌てる様に言った。
「ではギルドで買取らせましょう。カイト皆さんをギルドにご案内差し上げて。」
村長グスタフが言った。
カイトが立ち上がって零の方にいった。
「わかりました。カイトさんよろしくお願いします。僕達はこれで失礼します。」
零は言って立ち上がった。
「零様、又村が魔物に襲われた時は何卒お力添えを。」
村長グスタフが立ち上がって頭を下げながら言った。
「はい。」
零が笑顔で応えた。
冒険者カイトと零達は会議室を出た。
「あの護衛の2人、ただ者ではありません。」
零達が部屋を出てから隊長イグニスが言った。
「イグニス、おぬしより強いか。」
副村長レイモンが言った。
「比べるレベルではありません。王都の騎士団でもあのレベルの強者は見た事がありません。しかも2人ともに強い。」
隊長イグニスが言った。
「そんなに強い者が護衛につくとは。白銀の塩を持っていた事と言い、あの零という少年、余程高貴な方なのでは。」
副村長レイモンが言った。
「凄い治癒魔法を使ってましたし、意識もなく、瀕死だったサラも助けてくれました。本当に凄い治癒魔法でした。」
冒険者ガルスが言った。
「瀕死の者を治す治癒魔法?それでは女神の奇跡ではないか。」
隊長イグニスが言った。
「その上壊れた馬車を直してくれました。修復魔法だと思いますが、俺は初めて見ました。」
冒険者ガルスが言った。
「…やはり零様は高貴なお方であろうな。」
村長グスタフが言うと皆が頷いた。
「何らかの理由で護衛と共に旅をしておられるのだろう。」
副村長レイモンが言った。
「皆で出来るだけ零様に滞在してもらうように、村をあげて歓迎するのだ。」
村長グスタフが言った。
皆が頷いた。
零達が村長の家を出る時、別の部屋のドアの隙間から村長の娘のリーネとコットが零を見ている。
『また見られてる…』
零は思った。
村長の家を出た零達は冒険者カイトの案内で村のギルドに向かった。
零達が歩いていると村人が声をかけてくる。
「あんた達がミラやサラを助けてくれたんだってなぁ、ありがとうなぁ。」
老婆が零達に言った。
「たくさんのゴブリンを退治してくれたんだって。助かったぜ。」
農夫のような男が言った。
色んな村人が声をかけてきた。
作物を分けてくれる村人もいる。
冒険者ミラとサラがゴブリン襲撃の事を村人に話したようだ。
『主、下等な人族にしては良い村ですね。』
フェスが少しご機嫌になって念話で零に伝えた。
『うん、そうだね。』
零が念話で応えた。
『零様、先程何故バイコーンの素材を出さなかったのですか?』
リラが念話で伝えた。
『この村の人はFランクのゴブリンを倒す事が出来ない。ランクCのバイコーンの素材なんか出したら大騒ぎになるかと思って、とりあえず様子見かな。』
零がリラに念話で答えた。
村のギルドに着いた。
「カイト!無事で良かった。」
ギルドの受付のリネットが言った。
「ああ、この3人のおかげで生き延びる事が出来たよ。」
冒険者カイトが言った。
「あっ、村長の奥様や皆を助けてくれてありがとうございます。」
受付のリネットが零達に頭を下げた。
「皆さん無事で良かったです。」
零が言った。
「実は、零さんが売りたい物があるって、村長からギルドに案内する様に言われたんだ。」
冒険者カイトが言った。
「そうですか、それで何の素材ですか?」
受付のリネットが言った。
「塩です。」
零が言いながら塩をカウンターに置いた。
「えっ、この白い粉が塩?」
受付のリネットが袋の中を確認して驚いて言った。
「コチラにお越し下さい。」
受付のリネットが零達を応接室に案内した。
「こちらで鑑定が終わるまでお待ち下さい。」
受付のリネットが言って塩の袋を持って出て行った。
暫くして女のギルド長カトレアが入ってきた。
「ギルド長のカトレアです。この度は村長の奥様と娘さんと我がギルドの冒険者を救って頂きありがとうございます。」
丁寧に頭を下げてお礼を言ってから椅子に座った。
零が粒子で鑑定したら、ギルド長カトレアはランクCだった。
隊長イグニスより強い。
「お預かりした塩の鑑定をさせて頂きました。」
ギルド長カトレアが言った。
「この塩の結晶は全て均一で純度100%です。当ギルドはこの塩を金貨1枚で買取らせて頂きたいのですが。」
ギルド長カトレアが続けて言った。
金貨1枚は10万円である。
『凄いなぁ、粒子の鑑定と同じ金額だ。この村の鑑定能力は高い。』
「わかりました。金貨1枚でお売りします。」
零が言った。
「ありがとうございます。ではこれを。」
ギルド長カトレアが言いながら、金貨1枚を差し出した。
「ありがとうございます。」
零が言いながら金貨1枚を受け取った。
「商談成立です。これだけの純度の高い塩を何処で手に入れられたのか。まさかこの村の近辺でしょうか?」
ギルド長カトレアがカマをかけながら零の顔色を探った。
「ははは…」
零は笑って誤魔化した。
「まぁ、仕入れ先を明かす商人などいませんね。…それにしても護衛のお2人、恐ろしく強いですね。」
ギルド長カトレアが言った。
フェスは無関心でヒマを持て余している。
リラは目をつむっている。
「はい。2人とも頼りになる仲間です。」
零が言った途端、フェスとリラが歓喜の目を零に向けた。
「本当に良いお仲間ですね。」
ギルド長カトレアが少し笑いながら言った。
【次回予告 】
やさしい村の子供たちとフェス。
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