今と過去
1週間後。
「病気引退だと。あのケンデラル子爵がか?どういう事だ。」
ギルド本部長ダイラルク子爵が言った。
マドニラル領ギルド本部の本部長執務室で筆頭秘書官のディゴラスが報告していた。
「詳しくは調査中です。未確認ですが、跡を継いだルドリス殿とケンデラル子爵派の3ヶ国の領主がウライアに向かったようです。」
「ウライアに?何だそれは?」
本部長ダイラルクは聞いた。
「本部長!本部玄関にウライア王国の零国王がおみえになりました。」
ギルド本部職員が言った。
「な、何!」
本部長ダイラルクはギルド本部玄関まで迎えに出て、ギルド本部応接室に零達を迎えた。
「はじめまして。ウライア王国の国王の零です。こっちは仲間のフェスとリラです。こちらはグランバルト王国の近衛騎士セレスティアさんとカタリナさんです。」
零が言った。
「マドニラル領主でギルド本部長の子爵ダイラルクです。」
本部長ダイラルクは魔法鑑定で何も無い零とフェスとリラを驚いた目で見ながら言った。
「早速ですが、今日はギルドの話で来ました。現在イタリウス帝国とグランバルト王国の全ギルドとアサランド共和国の教会のヘルーナス領やモフトネロ領等10ヶ国のギルドとが、ウライアギルドと転移門で結ばれています。是非ギルド本部にも転移門を設置させて頂きたいのですが。」
零が笑顔で言った。
「教会が!?枢機卿は了承されたのですか?」
本部長ダイラルクは驚いて筆頭秘書官ディゴラスを見た。
悪魔クライシスに憑依されていた枢機卿ジートスは反ウライア王国の急先鋒だったからだ。
筆頭秘書官ディゴラスも驚いている。
「はい。あ、ちょうど枢機卿ジートスさんがウライア王都の教会に来ています。行ってみましょう。」
零は言って、そこにいた皆でウライア王都の教会に粒子で転移した。
ウライア王都の教会の礼拝堂。
枢機卿ジートスと教会の関係者が話をしていた。
「何が起こった?ここは!?」
本部長ダイラルクが驚いて言った。
「これは零国王。それにギルド本部長ダイラルク子爵ではありませんか。」
枢機卿ジートスも驚いて笑顔で言った。
「枢機卿!?ではここはヘルーナス領なのですか?」
本部長ダイラルクが言った。
「何を言うのです。ここはウライア王都ですよ。」
枢機卿ジートスが言った。
「何ですって!この美しい礼拝堂が!?ここかウライアなのですか?」
本部長ダイラルクが驚いて言った。
「外に出てみましょうか。枢機卿、お邪魔してしまいました。僕達は失礼します。」
零が笑顔で言った。
枢機卿ジートスが笑顔で頷いた。
「これは…」
本部長ダイラルクが外に出て見た光景。
笑顔で歩くウライアの民。
公園で遊ぶウライアの子供達。
荷を運ぶ多くの商売人。
綺麗に整備された緑溢れる街並み。
笑顔で銭湯に出入りする人々。
活気ある出店。
あの紛争が始まって以来、本部長ダイラルクが夢にまで見た王都ウライアである。
本部長ダイラルクは、20年前ウライア前国王と共にウライアを出国した元ウライア近衛騎士ブライレルである。
そしてこの20年、戦争で荒廃してゆく祖国を悲痛な思いで見続けてきた。
「零国王、ここは、本当に、あのウライアなのですか?」
本部長ダイラルクは涙を浮かべて聞いた。
「確かめてみましょうか。」
零は全員でゆっくり上昇した。
「こ、これは!浮遊魔法か!?」
筆頭秘書官ディゴラスが叫んだ。
「あちらが帝国で、あちらが王国で、あちらが共和国です。」
零が説明した。
本部長ダイラルクはウライア王都を上空から見て涙が溢れ出た。
「ダイラルクさんが想像してたのと違うウライア王都かもしれませんが、僕なりに良い街をと願って作りました。」
零が言った。
本部長ダイラルクは涙が止まらず言葉が出ない。
「では、ウライアのギルドに行きますね。」
零はまたゆっくりギルドの建物の前に降りた。
「この建物がウライアギルドなのですか?」
本部長ダイラルクは全面ガラス張りの5階建ての建物を見て驚いた。
建物は出入りする人々であふれている。
「入りましょうか。」
建物の中にも人々が溢れかえっている。
「零国王、それにギルド本部長ではないですか!?」
たまたま来ていた王都副ギルド長シアルスが驚いて言った。
「シアルスか、久しぶりだな。」
本部長ダイラルクが落ち着きを取り戻して言った。
零達は本部長ダイラルクと筆頭秘書官ディゴラスにギルドの建物の5階まで順に案内した。
その後、粒子の転移でマドニラル領ギルド本部に戻った。
「どうでしょうか。ギルド本部として正式に各ギルドの転移門を承認して頂き、ここにも転移門を設置させて頂きたいのですが。」
零が言った。
「承認も何も、ギルドにとって素晴らしい事ばかりです。こちらから、是非お願いしたい。」
ギルド本部長ダイラルクは答えた。
「良かったです。」
零が笑顔で言った。
「それで、零国王からギルド本部に何を要請されるのですか。」
ギルド本部長が笑顔で言った。
「え?」
「これだけの事をギルドにして頂いて、何も無しでは筋が通りません。」
ギルド本部長ダイラルクが言った。
「ははは。実はウライアではまだまだ人材不足で。ご子息のベリラスさんをウライアのギルド本部長と兼任して王宮の秘書官として来て頂きたいのですが。」
零が笑顔のまま言った。
ギルド本部長ダイラルクの顔が氷ついた。
【次回予告 】
ウライアの真実と帝国の思惑
物語を読んでいただきありがとうございます。
これからも面白い物語に育てていきます。
「面白い!!」「続きが読みたい!!」と思っていただけたら、
【ブックマーク登録】
【評価(★★★★★)】
をいただけると励みになります。
また読んでもらえることを楽しみにしています。




