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陰謀

アサランド共和国モフトネロ領の領主ケンデラル子爵の屋敷。


子爵ケンデラルの執務室。


「元Bランク冒険者のベロリラスです。」

筆頭秘書官マートスが言った。


元冒険者ベロリラスは人を殺した事で冒険者資格を剥奪され、王都ギルドから指名手配されている。


「ランクB…近衛騎士レベルか。」

子爵ケンデラルが呟いた。


「どの様な仕事ですか。」

元冒険者ベロリラスがニヤリとして聞いた。


「暗殺だ。できるか?」

子爵ケンデラルがまた聞いた。


「はい。で、誰を殺しますか?」

元冒険者ベロリラスがニヤリとして聞いた。


「ウライア王国の零国王。」

子爵ケンデラルが答えた。


「ウライアの国王?ウライアの戦争は終わったと聞いていましたが、もう国ができたのですか?」

元冒険者ベロリラスが驚いて聞いた。


「私も見たわけではない。国と言っても、おそらく村の様なものだろう。だから、殺るなら今のうちだ。」

子爵ケンデラルが言った。


「なるほど。国を作っている今なら、よそ者の俺が行っても怪しまれないか。」

元冒険者ベロリラスが笑って言った。


3日後、元冒険者ベロリラスは8人の手下を連れて子爵ケンデラルのモフトネロ領を出立した。


モフトネロ領からウライア王都迄は北クチロア領を越えて行くのだが、冒険者の足でも5日はかかる。


ウライア王都城壁門前に元冒険者ベロリラスが到着した。


「これは…これがウライアか!?」

元冒険者ベロリラスが驚いて言った。


高さ約30メートル、マンション10階の高さの城壁が見渡す限り続いている。


「ここまで城壁が作られているのか。」

元冒険者ベロリラスが言った。


「城壁だけではないぞ。」

元冒険者ベロリラスの背後で木剣を持ったフェスが言った。


元冒険者ベロリラスが振り向くと、フェスは一瞬で8人の手下を木剣で倒した。


「貴様、何者だ!?」

元冒険者ベロリラスが剣を抜いて叫んだ。


しかしそのまま倒れた。


後に回っていたリラが木剣で元冒険者ベロリラスの後頭部を打ち据えていた。


「皆の者!連れて行け!」

フェスが叫んだ。


「はっ!」

ウライア王都の門内から衛兵20人が飛び出して来て、元冒険者ベロリラス達を運んで行った。


リラはクスッと笑った。


翌日の昼。


モフトネロ領、子爵ケンデラルの屋敷の執務室。


子爵ケンデラルと筆頭秘書官マートスが話している。


執務室の扉がノックされた。


「入れ。」

子爵ケンデラルが言った。


「失礼します。」

扉を開けて零達が入ってきた。


「何だ貴様ら!どうやって屋敷に入ってきた!?」

子爵ケンデラルが叫んだ。


「はじめまして。ウライアの国王の零です。僕の仲間のフェスとリラ、グランバルト王国の近衛騎士セレスティアさんとカタリナさんです。」

零が言った。


「零国王!?それに王国の近衛騎士だと!?」

子爵ケンデラルが驚いて言った。


「元冒険者ベロリラスと手下8人を捕まえました。」

零が言った。


「な、何!」

子爵ケンデラルは驚いた。


「僕の命を狙いましたね。」

零が怖い目を作って言った。


「私は知らん!」

子爵ケンデラルはしらを切った。


「ここに供述調書があります。ベロリラスはとても協力的ですよ。筆頭秘書官マートスさん。あなたがケンデラル子爵に紹介したそうですね。」

零が供述調書を筆頭秘書官マートスに見せながら言った。


「私は…私は子爵の命令で…」

筆頭秘書官マートスが動揺して言った。


「マートス!」

子爵ケンデラルが叫んだ。


「そうですか、子爵の命令だったんですね。」

零が言った。


「私は知らんぞ!ウライアの国王だと!わが共和国は認めておらん!」

子爵ケンデラルが言った。


「イタリウス帝国とグランバルト王国が認めていて、同盟も結んでいるんですよ。あなたの独断で帝国と王国をはっきり敵に回していいんですか?」

零が悪い顔を作った。


「う〜…とにかく、私は零国王を暗殺などしていない!」

子爵ケンデラルが言った。


「そうですか。クノスバ!」

零が言うと子爵ケンデラルのすぐ横から魔導士クノスバが現れた。


「ひえ〜!」

子爵ケンデラルが叫んで椅子から転げ落ちた。


「クノスバ、あれを聞かせて。」

零が言った。


「はい。零様。」

魔導士クノスバが言って、手の平に玉を作った。


その玉から声が聞こえてきた。


「ランクB…近衛騎士レベルか。」

「どの様な仕事ですか。」

「暗殺だ。できるか?」

「はい。で、誰を殺しますか?」

「ウライア国王の零国王。」


その場の全員が聞き入った。


「な、何だこれは…なぜあの時の声が聞こえるのだ…」

子爵ケンデラルが震えながら言った。


「会話と供述調書は一致します。あなたは知らないだけで、クノスバは全部聞いていましたよ。」

零が悪い顔のまま言った。


「これは…何の魔法だ…」

子爵ケンデラルの震えは止まらない。


「ケンデラル子爵、だいぶ体調が悪いようですね。引退する事をお勧めします。引退されるのでしたらこの供述調書と声は公開しません。どうします?」

零が聞いた。


「…引退する。」

子爵ケンデラルは気を取り直して立ち上がって言った。


「そうですか。ただ命を狙われた僕もあなたを信用することはできませんから。引退するまで監視をつけます。クノスバ、お願いね。」

零が言った。


すると執務室の中に10人の魔導士クノスバが現れた。


魔導士クノスバの4人は宙に浮いていて、3人は子爵ケンデラルを囲んで、3人は部屋の隅にいる。


「ギャ〜!」

子爵ケンデラルは腰を抜かし、カタリナと同時に悲鳴を上げた。


セレスティアは驚きながら剣を握った。


フェスとリラは満面の笑みで部屋中を見回した。


「ケンデラル子爵、いつでもクノスバがあなたを見ていますからね。」

零がまた悪い顔を作って言った。


この2日後、子爵ケンデラルは病気引退し、子息ルドリスが家督を継いだ。


子爵ルドリスは家督を継いだその日に、ケンデラル子爵派の3ヶ国の領主と共に、自領を出立し、ウライア王都に出向き、ウライア王国との同盟契約を結んだ。


即日、零はモフトネロ領とケンデラル子爵派3ヶ国の全ギルドと転移門を繋いだ。


【次回予告 】

ギルド本部長とウライアの過去


物語を読んでいただきありがとうございます。

これからも面白い物語に育てていきます。


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