転移門商売
「ははは。」
零は笑って誤魔化した。
「あんた、相変わらずバカね。あれは理論上の魔法で、実在しないわ。」
黒魔法士クラリッサが呆れて言った。
「やっぱり零殿もあれを使えるのか…」
近衛騎士達は真剣な顔で零を見た。
近衛騎士達はシルビア王女の魔族化の件で認識分岐魔法が実在する事を知っている。
「え、実在するの?」
黒魔法士クラリッサが戸惑った。
「でも転移門を無料でというわけにはいきません。」
零が話を戻した。
「でしような。で、料金は?」
ギルド長ザルツが聞いた。
「それはギルドが決めてください。」
零が言った。
「は?…どういう事ですか?」
ギルド長ザルツが驚いて言った。
「転移門の運営は全てギルドにお任せします。料金も、条件も。儲けは全てギルドに差し上げます。ウライア王都は売上の1割と儲けの4割を税として頂きます。」
零が答えた。
ギルド長ザルツが目を丸くして零を見た。
「どうでしょうか?」
零が笑顔で聞いた。
「ギルドにとって良い事ばかりです。本当にそんな条件でいいのですか!?」
ギルド長ザルツが興奮して言った。
「はい。」
零が答えた。
イザベラ王女は零をじっと見ている。
「是非協力させてください。」
ギルド長ザルツが言った。
「ありがとうございます。では早速設置します。行きましょう。」
零が言って立ち上がった。
「おい、あれ零君じゃないか。」
「騎士がたくさんいるぞ。」
「あ、あのお姫様、シルビア王女かも。」
零達と王女達が1階に降りると冒険者達が騒ぎ出した。
「この辺りでいいですか?」
零が言った。
零はそこに転移門の扉を作った。
突然扉が出来たので、冒険者達はどよめいた。
「じゃギルド長、試してみてください。」
零が言って扉を指した。
ギルド長は恐る恐る扉を開け、向こう側のウライア王都に行った。
零達も後に続いた。
なぜか冒険者達も後に続いた。
「これは、ウライアなのか?この間まで戦争していたはずだ。」
ギルド長が透明なガラスの壁から外を見て驚いて言った。
ガラスの外から子供達がこちらを見て笑っている。
その奥には美しい公園や教会、銭湯や出店や飲食店、宿泊施設等が並んでいる。
冒険者達も驚いている。
「じゃこっちに帝都ギルドの扉を作りますね。」
零が扉を作り、帝都ギルド側にも扉を作った。
王都ギルド長ザルツが扉を開けて帝都ギルドの玄関前に出た。
冒険者達も後に続いた。
「帝都ギルドだ!」
帝都ギルドに行った事のある冒険者が言った。
王都ギルド長ザルツが帝都ギルドの中に入った。
カウンターにたまたま帝都ギルド長ルナリスがいた。
「ザルツギルド長!どうしたのですか?…イザベラ王女!!」
帝都ギルド長ルナリスは慌ててカウンターから出て片膝をついた。
零達は転移門の商いを帝都ギルド長ルナリスにも説明した。
「じゃルナリスさんも転移門でウライア王都に行きましょう。」
帝都ギルド長ルナリスを転移門でウライア王都に連れて行った。
「ウライア王都の中央地域のこの建物の中に、王都ギルドと帝都ギルドの作業場を作って、作業してください。」
零が言った。
「今度は王都ギルドに。」
両ギルド長と冒険者達と皆で王都ギルドに戻った。
「これは素晴らしい。零国王、是非とも我が帝都ギルドにも転移門を設置してほしい。この事業に参加したい。」
帝都ギルド長ルナリスが喜んで言った。
零達は転移門で両ギルド長とウライア王都に戻り、事業の打ち合わせをした。
その後、ウライア王宮に戻った。
「零様、どうして儲けをギルドに渡す事にしたの?」
イザベラ王女が聞いた。
他の者も感じていた事だ。
「あぁ、僕達がやると多くの人材が必要になるでしょ。今のウライアに各ギルドを管理できるような人材はいないし。ギルドや冒険者との間に食違いが起こったり、何か問題が起こったら、事業が軌道に乗りにくくなってお金が入りにくくなるし。」
零が苦笑いして言った。
「そんなの抑え込めばいいじゃない。」
イザベラ王女が言った。
「人を抑え込んで働かせるより、のびのび働いてもらう方が儲けは大きくなるんじゃないかなって。」
零が苦笑いで言った。
「儲けって商人みたい。」
イザベラ王女が言った。
「ははは。ギルドが儲かる方が、つまり民が潤う方が国は栄えるから。」
零が言った。
「民が潤えば国が栄えるのですか?」
シルビア王女が聞いた。
「はい。民は裕福になればお金を使うし、幸せになれば子供を産んでくれて民が増える。増えた民がまた幸せになってお金を使ってくれれば、商人は儲かって、国は税収が増える。つまり民が裕福になれば僕達は儲かるんですよ。」
零は笑顔で言った。
「零国王、儲かるって、もう少し言葉を選んでいただかなくては困ります。」
騎士ルティナが言った。
「あ、はい、すいません。ははは…」
零はごまかして笑った。
「もう悪どいんだかなんだかわからないわね。」
カタリナが呆れて言った。
「…なるべくして国王になられたのか。」
セレスティアが呟いた。
数日かかったが、王都ギルド長ザルツと帝都ギルド長ルナリスの協力で、王国と帝国の全領地のギルドに転移門が設置できた。
【次回予告 】
アサランド共和国が動き出す。
物語を読んでいただきありがとうございます。
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