ギルドと転移門
「ウライアの民にも転移門を使えるようにするのですか?」
リラが聞いた。
「う〜ん、ウライアの民と言うか、ギルドの登録者に。まずは王都ギルドと帝都ギルド。」
零が答えた。
「え、なぜそんな事をするのです?」
セレスティアが聞いた。
「ウライアには今商いの流れがないので。貨幣もないし。商いを流通させるには、他国の商人や民が行きするようにならないと。」
零が答えた。
「確かに。今ウライアの民はウライア王都内だけの物々交換だから。」
黒魔法士クラリッサが言った。
「そうなんです。物々交換でもやっていけるとは思うのですが、貨幣を流通させて、他国との商いの繋がりを強めた方が、国としてもっと繁栄できるから。」
零が言った。
「本当に宰相みたいな事を言うわね。」
カタリナが言った。
「ははは、国王になってしまいましたから。じゃ、中央地域に転移しますね。」
零が笑って言った。
零達と王女達は粒子でウライア王都の中央地域に転移した。
公園や銭湯の周辺を歩いていたウライアの民が驚いてどよめいた。
「お、おお。領主様じゃ。」
年老いた民が驚いて言って跪いた。
「ああ、すみません。驚かせちゃって。」
零が苦笑いで言った。
「領主ではない!国王であらせられる。」
フェスが仰々しく大声で叫んだ。
「フェス、やめなさい。」
零がフェスを止めた。
「国王様。」
公園や銭湯の周辺にいた人々も口々に言って跪いた。
「あ、いや、そういうのいいですから。」
零が困って言った。
「零様、国王なのだから、これでいいのよ!民の声に手を振って応えてあげなさい。」
イザベラ王女が言った。
「え、はい。」
零はぎこちなく手を振った。
民達から声援が上がった。
「ちょ、ちょっとやる事があるので…」
零は民にそう言って、中央地域の空いた土地に壁が透明なガラスになっている大きな建物を作った。
突然建物が出来たので、民からどよめきが起こった。
「この建物をウライアギルドとします。じゃ中に入ろうか。」
零達と王女達は建物の中に入ろうとした。
民がぞろぞろとついて来ようとした。
「皆の者!これから王は崇高な魔法を使われる。ここで待つのだ。」
フェスが声高に言った。
「フェス、やめなさい。」
零が呆れてまた言った。
「お〜」
民はどよめいた。
「あの、みなさ~ん。今から色々仕事があって、時間がかかるので、ここにいても何もありませんから。解散してくださ〜い。」
零はそう言って王女達と中に入った。
フェスは残念そうな顔をした。
「皆の者、解散…」
フェスが元気なく言って中に入った。
零は建物の1階に転移の扉を作った。
「今から王都のギルドに行きますね。」
零達と王女達は王都のギルド長の執務室の前に粒子で転移した。
「入っていいぞ。」
ドアがノックされて、部屋の中のギルド長ザルツが面倒そうに言った。
ギルド長の部屋には副ギルド長シアルスもいた。
「失礼します。」
零が先頭で、王女達も入って来た。
「零殿、いや、零国王。噂は聞いてま、す、…シルビア王女!!」
ギルド長ザルツは叫んで、副ギルド長シアルスと共に片膝をついた。
「驚かせたようで申し訳ありません。突然の訪問になりました。」
シルビア王女が笑顔で言った。
「はっ、王女様には、ご、ご機嫌麗しく…」
ギルド長ザルツが口籠りながら言った。
「ギルド長様、そんなに畏まらないでください。それではお話しができません。楽にしてください。」
シルビア王女が笑顔で言った。
「はっ、ははっ!」
ギルド長ザルツはゆっくり顔を上げて、様子を見ながらゆっくり立ち上がった。
「ここに座るわよ。」
イザベラ王女が言って来客用のソファに座った。
「零殿、あの方は?」
ギルド長ザルツが小声で聞いた。
「あぁ…あちらは帝国のイザベラ王女です。」
零が答えた。
「え〜」
ギルド長ザルツと副ギルド長シアルスは又片膝をつこうとした。
「零様が話を出来ないわ!ギルド長、そこに座って。」
イザベラ王女が言った。
「シルビア王女、私の隣にどうぞ。」
イザベラ王女がシルビア王女に笑顔で優しく言った。
「イザベラ王女、ありがとう。」
シルビア王女が笑顔で座った。
零が苦笑いしながらイザベラ王女の隣に座った。
ギルド長ザルツはその向いに座った。
「実はお願いがあって来ました。転移門を王都ギルドに置かせてほしいのです。」
零が言った。
「転移門?」
ギルド長ザルツが聞き返した。
「はい。転移門でここからウライア王都まで行けます。そこから、例えば、帝国の帝都ギルドまで、ウライア王都にある転移門で行けるようになります。」
零が説明した。
「王都ギルドから帝都ギルドまで今まで片道2ヶ月、早馬でも10日かかっていたものが、数分で着いてしまう、と言う事ですか。」
ギルド長ザルツが聞いた。
「はい。」
零が答えた。
「零国王、確かに王国、帝国の民にとって便利になる。しかし冒険者達は仕事を失ってしまう。」
ギルド長ザルツが言った。
「転移門を使えるのはギルドに登録している冒険者だけです。」
零が言った。
「え?」
ギルド長ザルツが驚いた顔をした。
「商人や民が転移門を使いたい時は冒険者に同行してもらわないと通れません。」
零が言った。
カタリナがはっとした。
「零、それって認識分岐魔法?」
カタリナが真顔で聞いた。
【次回予告 】
零国王の国運営の考え方
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