戦いの狼煙(3)
火野龍巳。高校二年。自宅がある立月市の隣町、麻布田市にある麻布田高校に通っている。基本的に成績は優秀な方で勉学、運動共にそれなりの自信はある。
龍巳はいつもの変わらない街の風景を妙な気分で歩いていた。
そんな中、しばらく足を進めていると向こうで何かを探している二人組が目に入る。
「お~い、タマちゃんや~い。どこにいますか~」
「はぁ、真まことさん。もっとしっかり探してくださいよ~」
そこそこの年をしたソフト帽をかぶる男性が立って覇気のない声で呼びかけている。それに対し植木の中を覗きこむ、メガネでセミロングの茶髪をもつ小柄な女性が文句を言っている。と、男性の方がこちらに気づいたのか、走り寄ってきた。
「君、この街の子だよね?」
「え? はい……」
『何なのこの人?』
『知るかよ』
忘れかけていたドラゴンの存在を嫌でも思い出させられ、適当に促す。すると男性はポケットから名刺を取り出し、こちらに渡してきた。
「俺は志染真。市民を脅かす謎を追いかける街探偵とはこのわたしのこ」
「恰好つけなくていいです」
後ろから女性がやってきて真とか言う人を制すると一枚の写真を龍巳に見せてきた。
「この猫、わたしたち探しているんです。見た事ありませんか?」
女性が見せた写真は恐らく、タマと言う名前を付けられた猫の写真。迷子のペット探しらしい。だが、その猫は見た事無い。まず、いちいち街を徘徊する猫なんて見ない。
「いいや、ちょっと分からないです」
「そうですか。ご協力ありがとうございます。もし、この猫を見つけた等、ありましたら名刺にあります、こちら、志染探偵事務所までご連絡いただけたらと思います。失礼しました」
その女性は、ぺこりと頭を下げると「ほら、行きますよ」と、真の耳を引っ張りながらその場をさっさと去っていった。




