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戦慄のアウディート  作者: 亥BAR
第二章 戦いの狼煙
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戦いの狼煙(4)

 麻布田高校。自分の教室に入ると窓際にある席に荷物を置き座る。正直、この自分に寄生したアウディートとやらをどうにかしないといけない。このままって訳にはいかないだろう。何があるか分からない。ここまで平然と来たが、内心は相当不安だった。


『別にそんな心配することないよ。龍巳は普通に過ごしていればいいんだから。勿論、アウディーターとして力を使うのも全然ありよ』

『まさか。使う訳無いだろ?』

『え? なんで? はっきり言って、今のあんた、地球人最強よ』

『最強って……、つまり化物じみた力って事だろ? それがどれほどの力かなんて知る由もないが、とにかくそんな力、この世の中が許さないに決まっている』


 そうさ。アウディーターが何なのか知らないが、もし、人間外の力を持ったりしたら、一瞬で警察……、いや政府によって捕まえられ、人体実験、解剖。はたまた、有無言わず人知れず、この世から存在を消されるかもしれない。そんなリスク追ってまで力を使う理由などどこにもありやしない。大体、その力をどこにどう使うと言うのだ。


 そんな事よりも、何とかしてドラゴンに出ていってもらう事が最優先だ。本当はそのことをいろいろ考えていたかったが、それは友人、一夜秋角いちやあきすみによって封じられた。


「よう、おはよう! タツ。朝のニュース見たか? コスプレの奴」

「お、よう、アッキー。それな。見たけど、下らんニュースだよ」


 結構昔からの仲。龍巳は正直なところ、ネットに関してはかなり疎い。機械系にも疎く、スマホでネットやらまともにできないタイプ。勉学とは違ってからっきし。でも、そんな事に困る事は無かった。この秋角がとにかくネットバカで、ほとんどのネット情報は耳に入ってくるのだ。


「それがそうでもないらしいぞ、このコスプレ野郎。結構ネットでも噂になっているからな。掲示板でお祭り状態だよ。しかも、一部の人はこれがただのコスプレじゃないとかほざくし。人間じゃないよとか、宇宙人の侵略だとか下らない闘論までおこっちまってよ」

「自分でも下らんっていってるじゃねえか」

「う、……まあ、そうだけどよ。議論する内容も内容だからな。ただ、語る奴はやたらと真剣で。なんかこれ、僕も本当にただのコスプレに見えなくなってきたよ、ハハッ」

「知らねえよ。何だろうと俺にとっちゃ周りに迷惑を掛けるただのクソゴミ悪党だよ」


 龍巳にとってこれは決して笑えるものでは無かった。こんな非常識な奴がいるから世の中、悪党が生まれるのだ。そんな目でしか、この変態コスプレを見ることは出来なかった。

 秋角が見せるスマホに移る画像がそのコスプレ野郎。全体的に、と言うか顔以外すべて真っ黒。確かにクオリティは高いのかもしれないけど……。ん?


『なあ、ドラゴン? 聞きたい事がある』

『ん? 何?』


 この写真を見てふと疑問に思ってしまい、無意識に近いレベルで内にいるドラゴンに問いかけていた。返事が返り、聞いていたことに気づき、また意識をドラゴンに向ける。


『アウディートってお前以外にも地球にいたりするのか?』

『う~ん、居てもおかしくはないわね。まあ、あたしは気配でアウディートが近くに居るかどうかぐらいしか分からないんだけど。どうして?』

『いや……』


 少し深く考えようとしたが、教室に担任、獅蛇京介しだきょうすけが入ってきたことにより、秋角のスマホから視線を外し、席に座りなおす。


「出席取ります。一夜秋角君」

「はい」

 そしてどんどん呼び出され、「火野龍巳」の名前が呼ばれるといつも通り「はい」と返事した。



 あれから放課後。帰る身支度を済ませた秋角が帰宅をさそってきたのだが、龍巳は担任の獅蛇に提出物もあって、下手すれば少し時間がかかるかもと思い、秋角には先に帰って貰った。普段は同じ立月市に住むと言う理由もあって一緒に帰っている仲ではあるが。


 職員室のドアをくぐり、獅蛇に提出物を済ます。獅蛇はトレードマークとも言えるチャーミングな笑顔でそれを受け取ると目を通し始めた。その後龍巳は、言われた作業をこなすと後は帰宅するだけだったのだが、その時不意に止められた。


「火野君。丁度いいです。ちょっとお願いがあるのですが、こちらの荷物、教室まで運んでもらえます?」

「はい。分かりました」

「ありがとうございます。その後、帰宅して頂いて結構です。お疲れ様」


 素直にその荷物を受け取ると教室にそれを運ぶ。正直、面倒でしかなかったが、特に用事がある訳でも無いし、指示通りに動く。教室のどこに置けばよかったのか聞いてなかったのでどこに置いておこうか迷いはしたが、教卓の上に置くと学校を出た。

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