魔智の仲間(3)
一晩ぐっすり眠るとデビルに早速ライオン探しを始めて貰う。心地いい風が吹き、そんな風に微塵たりとも動じることなく集中するデビルを壁にもたれかかるように座りながら見る。髪やワンピースの袖が風に従うように揺れるが尻尾は風に逆らうかのようにぴくぴく動き続ける。しばらく、時がたったが振り返るデビルは首を横に小さく振った。
「駄目。見つからない。もしかすれば、アウディーターと同じで元の人間の姿にも戻ることが出来るのかも。多分、その人間時の姿ではアウディートに似た力は出ていない」
「よく分からんけど、つまり、あの化物姿になっていないと探しようがないと?」
デビルはそれに対しただ、淡々と頷く。そしてまた、向こうを向いた。
「もう少し探してみる。いつ力を使うかもわからないし」
「そうか、悪いな。そんなに根詰めなくてもいいぞ」
「分かった」
結局見つかる事はなくバイトの時間も迫った事もあり、一旦中断することになった。
まあ、そんなに急ぐ事も無い。時間はたっぷりある。
『ごめん』
『気にするな』
デビルの頭に流れる声に軽く返事をかますとバイト先のコンビニに向かって歩く。それからしばらく歩いていると向こうに眼鏡をかけた小柄な女性が何か不自然に辺りをきょろきょろと見渡しているのが見えた。茶髪のセミロングを揺らしながら木の影とかを覗いたり、塀の上を見上げたりしている。特に気にせずその隣を歩くと丁度のその女性が声を掛けてきた。
「あの、ちょっと時間いいですか?」
声を掛けられて無視するのは流石に感じ悪いと思うので振り向き、頷く。すると、女性はおもむろに名刺を取り出すと笑顔で渡してきた。
「わたくし、志染探偵事務所の未来鈴と申します」
随分、丁寧なその素振りに思わず恐縮しながら「探偵か……」と思いそれを受け取る。と、同時に鈴と言う女性は一つの写真を見せてきた。
「今、この猫を捜索していまして。ご存じないでしょうか?」
猫? なんだ、ただの猫探しか。
鈴が見せてくる猫の写真を見て別に知る由もないと首を横に振る。
「そうですか。貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。もし、この猫を見かけた等がございましたら、ぜひ、事務所までご連絡いただければ幸いです。では」
鈴は最後にそうぺこりと頭を下げるとまた、あちらこちらを見渡しながら去っていく。
その姿を見送るまでもなく、再びコンビニへと歩き始めた。
『よく、喋らなかった』
『探偵だろ、流石に面倒になりそうだなと思ったからな。自分が共通語を話せていないと分かった以上、方言特定されたらアウディーターとしても一つ不利になりかねない』
『魔智、意外に賢い……』
『意外って何だべ!? 意外って!?』
今は姿が見える訳では無いが、仮にも小学生みたいな姿をした奴にバカにされている自分って……、何て考えてしまう。が、かといって魔智自身、賢いとは思っていないし、むしろ少しでも頭に血が上れば冷静な判断が出来なくなってしまう。
『普段から冷静な判断は出来ないほう』
『…………、結構さらっと酷いこと言うよな、デビル』
『心配せず、バイトに専念してくれて結構。ライオンらはわたしが探しておく。どうせ魔智、二つの事、一度にできるほど器用じゃない』
『…………、本当にためらいなく、言ってくれるな』




