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33:+放浪記02:西フランカリマへ

放浪記・西部諸国編突入です。

<帝国統一暦1702年・涼温風の月・第7日>


 …帝国の知識制覇は終わった。帝国の歴史書やら寄贈された魔術書も

全て読んだし、世界を知るには関係ないが興味深い内容のものは外部記憶にも

突っ込んでおいたし…しかしあれほどの広さを誇っていた割には

読むに値する書物の少ないこと少ないこと…まぁ、それだけ帝国民は

金にならぬものに興味が無いのだろう。拝金主義者どもめ…こんな国民性では

仮に未来で社会共産主義などの国粋主義よりも危険な実際は宗教と

変わらん実態の癖に他宗教を否定する砂漠の唯一神教と同様の

社会になったとしても…いやそんな社会になったらもっと酷い拝金主義が

生まれて育まれて確実に帝国は崩壊するだろうな。


「まぁ、良いわ…帝国の未来など儂の知ったことではない」


 しかし…これで完全に帝国に留まる理由は無くなったのだが…

何故だろうか…未だここを離れるのが惜しいと思う儂がいる。


「一部を除いて畜生レベルな帝国民が犇く地に何の未練があるというのか…」

「トマ様?」


 少し懊悩してしまった儂を心配そうに覗き込むライラ。

しかしライラが道連れで良かった気がする。性格が少々難儀で、

儂に対して敬っているのかどうなのか怪しい瞬間も多々あるが、

実際死ねと言えば躊躇いなく自らの首を掻き切ろうとするほどの

忠誠心は健在であり、ちゃんと儂の心配をしてくれる時はしてくれる。

やはりライラを選んだ儂の審美眼はそこまで曇ってはいなかったようだ。


「大丈夫だライラ。少々感傷に耽っておったのだ」

「トマ様が感傷などと…」

「さて、ここに留まる理由も無くなった。そういうわけだからライラよ。

ここから出て、とりあえず西フランカリマ王国へ向かうぞ」

「西フランカリマでございますか? 途中にも中部フランカリマ、

東フランカリマとあるそうですが…何故に?」

「簡単だ…今の儂が知っている仏蘭狩魔フランカリマ語が西部語フランカルムだからだ」

「そういうことですか」

「それに儂の顔立ちはどうにも西フランカリマ人と

日輪皇国人の混血らしいのでな…目立たずにいきやすいというのと…

…儂の本当の家族の手がかりもあるやも知れぬ」

「………成程…愚問でしたトマ様。お許しください」

「うむ、許そう」


 親を亡くしたライラには何か思うところがあったようだ。西部行の

ほんの理由付けのつもりだったが、思いのほか余計なダメージを与えたか。


「さぁ、次も久しぶりの飛行だ。ついでにお前の飛行魔術の練習も兼ねてやる」

「え…!? で、できればトマ様に掴ってイキたいのですが…」

「お前…野良ワイバーンに遭遇したら即行で囮として放り投げるぞ?」

「そ、それはご勘弁を…! せめて大集団相手に自爆攻撃させてください…!」


 儂の為に簡単に滅びを選ぼうとするのも矯正していく必要があるな。

覚悟があっても安易な滅びは好かぬ。



<帝国統一暦1702年・涼温風の月・第10日>


 やはりこれに備えての練習は必要だった。

飛び上がって数分でライラは地面に急降下してしまうのだから。


「……おそらはみるものであってひとりでとぶものではないとおもいます」


 色々そつなくこなせたライラだが、どうにも飛行魔術は苦手らしい。

あまり無理にやらせて高所恐怖症になっても面倒だったので、

間に休憩を挟みつつ少し緩く飛んで三日ほど進んでから、

見つけた街道沿いに歩を進めていくことにした。どうせなら地図でも

用意しておけばよかったかもしれない。


「かと言って感知能力では今の儂の脳髄で処理できる情報にも限界がある…」


 昔ならば銀河の端から端までのチリ一つも用意に見渡せたが、今は

精々が50里(約200km)かそこらだ、近くに街が見えれば良いが。

広大な砂漠などではあまり役に立たないのが問題である。

集中するとどうしても動きも止まってしまうし。日夜続けている肉体強化術式で

無理なく全盛期の肉体に持っていこうにも百年単位で待つのはどうにも

今の肉体では気が遠くなってしまう。


「トマ様。やはりスノリフレキも同道させた方が良かったのでは?」

「いや、だからそれだと町などに入る際にだな…」


 ふと感知に引っかかった気になる反応を見てみれば、

ここから2里ほど離れた場所で戦闘が起こっていた。


「ライラ、戦闘を確認した。準備だけはしておけ」

「承知いたしました」


 ライラが儂の影に潜り込んだのを確認した後、儂は戦闘中の場所へ向かう。


 四半里(約1km)ほどの距離にあった木陰で今一度感知を行い

戦闘の詳細を見る。


 戦闘していたのは馬車を引く者たちを護衛する多くが人間種アントロポスで、

日焼けなのか地肌なのか不明なのでどちらか定かではないエルフに

これは奴隷以外では初めて見た気がする獣人の武装した者たち数人。

対するは毒々しい真紫色の肌をしたホブゴブリンの集団である。


「メヌキリューユ! メルキャプチュド! メルハック!」

「メヌキリューユ! メルハック!」

「メルハック! プレガハランミガクィ!」

「プレガハランミガクィ! ヴェーハハハ!!」


 そこそこ仲間が殺されている割には相変わらず下品な言葉を叫びつつ

笑って戦闘を続けるホブゴブリンどもである。魔物の言葉は多くが

共通しているので連中の言葉は理解できるがあまりに酷いので

訳して書くのが嫌なほどだ。


「くそっ!! 全然逃げる気配がないぞ!?」

「広域攻撃魔法はまだか!!」

「詠唱がまだかかりそうだ!! もうしばらく耐えてくれ!!」

「げっ!! こいつら刃物に糞を塗ってやがる!!」

「回復魔術は余裕が無いから急いで傷口を洗え!! 病気になるぞ!!」


 人勢はそこそこ戦えるようだが、いかんせんまだ

ホブゴブリンたちの方が多勢に無勢だ。一応詳細を確認し、

それが双方とも儂の脅威ではないと確認したので

このまま放置しようかと思ったのだが、この辺で馬車を引いているということは

近くに街なりセーフハウス等の何かしらの拠点があるということなので、

合理的に行くべく、人勢に加勢…も面倒なのでとっとと

ホブゴブリンどもを殲滅して彼らに近くの街への情報ないし

そこまでの同道をさせてもらおうと動くことにした。


「使う属性は何が良いだろうか…?」


 体術だけでも良かったのだが、一辺倒では流石に格上っていうか

脳筋すぎるのでスマートに行きたい儂は魔術を織り交ぜた

殴り術師こと魔法闘士風のスタイルで行くことにした。

そんなわけなので以前メイユィンシン殿下との試合で使った

手甲を刃こぼれして拷問用にしか使えないミスリルダガーや

いつかの皇帝襲撃事件で粉々にしてしまったものの何処かで使うかもと

保管しておいたっていうかこれで東部フランカリマから来たとでも

良い訳に使えそうな精霊山銅アールヴキプファー製のボロ防具を使って、

ちょっとやそっとの力で壊れてしまわぬよう超剛強化術式を重ねて作った

少しばかり謹製の魔法金属合金手甲…折角だから名付けて

ディスジルベリオンとでもしとくか…ともかくそれを即興で作成して装備し、

影に潜んでいるライラには儂が一匹を粉砕したと同時に飛び出して

適当にゴブリンどもと遊んでやれと命令して掛かることにした。


> > >


 ☆6のパーティ「平原の双剣団」で自身も☆6の請負人ワーカーである

まだまだ若さ溢れる世代の男、双剣士シドは

膠着する戦闘状態に嫌な予感を感じるようになっていた。


「こいつら…唯のゴブリンじゃねぇ!!」


 毒々しい肌色なのはまぁ魔物だからそういうものだろうと思っていたが、

こいつらは他のゴブリンと違ってそこそこ仲間が殺されているのにも関わらず

不気味な魔物語を言いつつ下品に笑いながら戦闘を続けているのだ。


「やっぱり女達がいるからなのか…!?」


「平原の双剣」は中堅パーティの中では稼ぎが良いほうだし

パーティリーダーでもあるシドの人望も手伝ってか構成員の二割以上が

女性という中々恵まれたパーティである。つい最近は

王都の有名な酒飲み請負人から取り持ってもらいつつ

珍しくパーティメンバーの結婚式なんかを行ったから。ますます女性メンバーの

加入も多くなるので順風満帆前途揚々で先ほどの酒飲みからは

「リアジュウ爆発しろ」とやっかまれるほどだった。


「ギャハハハハ! ジェノサドメヌ!!」

「ちぃっ!!」


 前線からすり抜けてきた一匹のシーフみたいな格好をしたゴブリンが

糞か毒かあるいは両方を塗りつけたナイフでこちらを狙ってくる。


「調子に乗るんじゃねえこの糞ゴブが!!」

「ギョヘッ!?」


 シドはパーティ名の由来で象徴でもある愛用の双剣で

シーフ(ホブ)ゴブリンの首を見事に跳ね飛ばす。


「後衛!! まだか!?」

「ダメ!! 何か詠唱がうまくいってないみたいなの!!」


 後衛の術師達を守りつつ前衛をサポートする中衛メンバーが一人、

日焼けした肌と浅黄色の髪が特徴なハーフエルフ弓使いエルジェが詠唱で

答えられない彼らに代わって答える。


「ってことは!!」


 シドはゴブリンどもの後方を見る。するとやはり何かゴニョゴニョやっている

(ホブ)ゴブリンメイジらしき者を発見するも、その周りには

一際体格の良い(ホブ)ゴブリンソルジャーが陣取っている。


「く…ゴブリンの癖に詠唱妨害とは…!!」

「キエエエエエエ!!」

「しつこいッ!!」


 やはり刃に糞か何かを塗りつけている(ホブ)ゴブリンウォリアー一体が

前衛を潜り抜けてシドを亡き者にせんと襲い掛かってくる。


「こいつら…俺がリーダーだってわかってやがるのか!?」


 疑問が出たが、まずは目の前のゴブリンの武器もちの手を切り落とし、

その後掠らせるように喉を切り裂くシド。

 今はまだ前衛たちが頑張ってくれるから時々一体ずつしか来てないが、

前衛たちの体力が無くなって来ればこいつ等が今度は多人数で

自分を狙うのではないかと悪寒が走ったものの、戦線が中衛サポートありきで

膠着しているため迂闊な命令は下せない。今の状態での状況悪化は

どこで戦線崩壊を引き起こすか分かったものではないからだ。


「畜生…こんなことなら酒豆さかまめさんに大枚はたいてでも

ポーターで同行してもらえば良かったか!!」


 今更どうにもならないことだと思ったシドだったが、


「打つべし! 打つべし! 打つべッ」

「ボギョァ!?」

「エゲァ!?」

「アベシィ!?」


 何処からともなく現れた、顔面包帯グルグルに見慣れない東方っぽい

服装に両手に装着された鑑定眼にはあまり不得手であるシドでも

ただの業物じゃなさそうだとわかる魔法金属製の手甲を装備した

少年と思われる背丈の者が、左翼方面後方から現れて一瞬で

ゴブリン三匹を頭を粉砕、胸ないし腹に綺麗な風穴を空けて撃破したかと思えば

少年の影からこれまた顔面包帯グルグルで此方は遥か遠き東方に

居るとされる魔術も駆使して高速戦闘を可能とする凄腕の武芸者

「シノビアサシン」なる者みたいな格好をした黒エルフと思われる少女が

流れるように次々とゴブリンたちを血祭りに上げていく。


「ウガアアアアアアア!! ナメーィクニムゲガクィ!!」


 少年に襲い掛かる丸太みたいな棍棒を持ったゴブリンウォーリアーだったが、


「邪魔だ…炎の第一層術式:ファイアボルト」


 美しい旋律のように唱えたが、どう見てもそれはファイアボルトじゃない

真っ青に燃え盛る第八層術式の蒼天炎弾スカイブルーアモだろうと

突っ込みたくなる火炎弾で跡形も無く焼き潰した。


「義によって助太刀いたす! 僕はこれから敵の大将を殺してくるので

それまで前線を持たせてくれ!」

「え、ちょ、待っ…!」


 シドが声を掛けるまもなく、声で確定した顔面包帯グルグル少年は

あっという間に他のゴブリンをグチャボコにしながら、

ゴブリン含め多くが手を止めて呆然とする中、奥へ消えていった。


> > >


「ワツ!? ワツフロンツリインブレク!?」

「ルーラ! エマジェンス! レフィイングズヌゥエネ―「打つべし!」―


 自陣の前線がおかしいと思ったリーダーのホブゴブリンロードが

やってきた伝令と思わしきゴブリンソルジャーから情報を聞こうとしたが、

それは背後から来たトマの喜色混じりの掛け声からの一撃で

頭を吹き飛ばされたので適わぬものとなった。


「『糞が! 何だ貴様!! この俺を誰だと思ってやがる糞が!

この俺がロード種と知ってのクソ狼藉かこのクソったれが!

たかがクソ人間のクソガキのくせにクソ生意気だぞ!!』」

「『本当に貴様らの言葉はクソクソクソクソ…クソと言わねば死ぬ病気なのか?

きちんと喋れば歌なんかに良さそうな声だというのに…』」

「『?! き、貴様俺達の言葉を喋れるだとクソが!!』」

「『はぁ…やれやれ…』」


 やはりクソクソ煩いのでトマはそれ以上は話すのもやめて

軽く走ってホブゴブリンロードとの距離を詰めていく。

最初は動揺していたホブゴブリンロードだったが、

トマが妙に軽快に向かってくるので怒りと侮りの入り混じった語調で


「『クソ馬鹿が舐めるなよ!! 接近戦でさっきみたいにこの俺を

クソみたいに殺せるとおもウベシァ!?』」


トマを斃さんと両手の獲物を振り上げようとしたまま一撃粉砕される。


「最後までクソたっぷりだな…ゴミが」


 あまりにもあっさりな決着で、ホブゴブリンの群れが

瓦解し全滅するのは時間の問題だった。


> > >


 トマとライラは「平原の双剣」の馬車に揺られていた。


「改めて礼と紹介を。俺はシド・ロマン=ド=ミード。闘気双剣士だ。

長いしドが付くが、貴族だったのは三代前の話で、今はしがない

☆6のパーティ「平原の双剣」を率いる☆6請負人さ」

「ふむふむ」

「んでこっちが凄く若くて綺麗だけどハーフエルフなんで実は結こうをわ!?」


 シドを掠めるように弓矢を討ったのはエルジェだ。


「シドくぅぅん? 女性の年齢を何だと思ってるのかしらぁ?」

「うわ…! すまんすまんエルジェ!! 何かこのトマ少年が

他人とは思えなくてつい酒豆さかまめさんに言う気分でやっちまったんだ!

悪気はないから許してくれ!」

「悪気が無くてもダメよ!!」

「うわぁ待って待ってお嬢さんんん!!」

「何よ我らが全エルフの永遠英雄神要塞卿ギヨーム様みたいな事を言ってぇ!!

子孫は子孫でもほぼ外戚のくせにいいいいいいいいい!」

「知らないよそんなのおおおおおわあああああああ?!」


 シドはエルジェに関節技をめられている。


「あんたがギヨーム様の言葉を紡ぐなんて三世代早いのよおおおおお!!」

「それ俺死んでるじゃん酷すぎるううううううう!」


「賑やかだのぅ…」

「ハーフエルフだと白でもそんなに腹立たしくないですねトマ様」

「それは知らん」

「えぅ…」


 何だかコキコキとそろそろやばそうな音をし始めているシドを見ながら

ライラの歪んだエルフ観を興味ないと切り捨てるトマ。


「いや…リーダーとエルジェさんがすまんな」

「いいえ、僕は楽しそうで良いと思いますよ」


 副リーダーでシドの従兄弟だというガウェインと会話するトマ。

他にも馬車に人はいるが、多くが先ほどの戦闘でヘトヘトであるため

思ったより騒がしくない。


「しかし…あんたは凄いなトマ…殴り術師でそこまでの腕前は酒豆さん以外で

ほとんど見たことが無いよ」

「サカマメ?」

「ああ…そういえばトマは東部から着たから知らないのか…」


 ガウェインから酒豆さかまめことイホッシーなる男は何者かと説明されるトマ。


 曰く、大体いつも酒飲んで豆を食ってるから酒豆と呼ばれ、


 曰く、中部エーターリェフランカリマこと別名:正統アウグストゥス共和王国の

エルフたちが珍重するエルフ豆各種に見たこと無い豆を

取り扱うから万豆屋ジミレアヒコと呼ばれ、


 曰く、その凄まじき頑丈さから死神泣かせカヒィモールフと呼ばれ、


 曰く、それ故に☆8どころか人外の領域たる☆9や☆10にもなれるというか

実際少し前に立てた武勲で☆8認定を受けるはずだったのに

「そんなことより酒とツマミくれません?」と普通に蹴ったので

それじゃ困るとばかりにベタ惚れな枯れ専疑惑の第三王女と侍女団がつき、

そんな彼の生き方に何かを感じた老練のを含め請負人たちが相次ぐ

「俺をあんたの弟子にしてくれ事件」を起こしたりと、

聞いていくうちにちょっと興味が沸いてしまったトマ。


「そんなに硬いのか? そのイホッシーなる男は」

「硬いってもんじゃない…あの人はこの間王都に襲ってきたドラゴンでさえ

硬すぎて噛めないが為に他のワーカー連中に討伐されたくらいだ」

「本人の成果が面白すぎるな」

「あの人の話はエルフがらみの面白い話もあるんだよ…」

「白エルフどもが惨たらしい目に合う話ですか?」

「いや…そんなのは無いよ」

「ならどうでもいいです」

「トマ…彼女に何があったんだ?」

「彼女は東南のオストルチ大王国の元・奴隷だ」

「それは…すまんな」

「大丈夫だ。ライラもそこまで気にしていない。白エルフが相手じゃなければ」

「だとすれば中部を通るとき大変じゃなかったか?」

「街は極力避けてたのでな。第一僕は中部語は分からないし」


 トマの発言におや? といった顔をするガウェイン。


「それだけ流暢な西部語フランカルムを喋れるんなら語族が独立している東部ケルマーナはともかく

中部とは方言程度の違いしかないから離せなくても酷く訛った

西部語に聞こえるはずなんだが…?」


「そ、そうなのか…いや、こう見えて僕はもっと東部の出なもので…」

「へぇ…となるとポルラ王国か、あるいはエゥーゴスラヴァ連盟国かい?」

「いや…その…」

「ガウェイン。そういうのはワーカーのモラル違反だぞ」

「シド…生きて帰ったか」

「ちょっとガウェイン君? それじゃまるで私が殺し損ねたみたいじゃない」

「すまんエル姉…」


 にゅっと入ってきたシドと不機嫌なエルジェに謝るガウェイン。


「三人がパーティ創設時からのメンバーだったか?」

「厳密に言うとこのパーティは結構歴史が長くって襲名なんだよね」

「そうね…公式記録では認められてないけど、もう2000年近く前…

我らが全エルフの永遠英雄神要塞卿ギヨーム様を信奉するエルフ達の

一人で初代パーティリーダーのセレンディーナ様のころから

脈々とエルフないしギヨーム様の子孫って言っても殆ど血の繋がってない

人間種の一族に受け継がれ続けて今に至っているわ」

「ちなみにエル姉は先々代のパーティリーダーなんだよ」

「ちょっと!! そんなこと言ったら年がバレるじゃないの!!

先々代って何十年前のことだと思ってるの!!」

「完全な自爆なのにあんまりだ!!」


 またもコントみたいな事を始めるエルジェとシド。


「やれやれ…まぁ、こんな感じで楽しくやってるし、

さっきはトマのお陰でまた暫くこのメンバーで楽しくやれそうだ。

ありがとう(メルスィー)」

「こちらこそ面白い話をメルスィー」


 まだシドの「ご無体いいいいい」とかが聞こえる馬車は

そろそろ西フランカリマの王都:グランカリマ近郊に到着しようとしていた。


34:に続く

今後は不定期+ケータイ投稿が主になると思われます…ごめんなさい。

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