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34:数奇なるニホンジン族

最後に一本どうぞ。

 馬車から降りたトマの目に留まったのは、全央帝国とはまた違う

異国情緒エスニックが満載な街の様相だ。


「ふむ…瓦ではない作りの屋根だな…」

「あれか? ガーティック様式って言うんだぜ」


 一枚にまとまっているように見えるのである種の機能美を感じるが

穴が開いたときの修理が瓦屋根に比べて大変そうだなと思うトマ。


「さーて…んじゃ皆いつもの酒場に行こうぜ!」

「そうね。もしかしたら…いえ、たぶん今日も酒豆さんは居るでしょうし」

「あの人のルーチンワークは家→ギルド→酒場って決まってるからな」

「そうそう…適当な依頼を一気に五件くらい片付けて、エルフ商人や

貴族に豆を沢山卸して…」

「お金稼いで、酒飲んで。だろ?」

「そうそう! 魔物倒して、酒飲んで」

「豆を卸して、酒飲んで」

珈琲カフェ飲んで、酒飲んで」


 何だか酒豆イホッシーの話題ばかりな「平原の双剣」メンバーたち。


「思っていたより早くイホッシーなる人物に会えそうだな」

「そのようですねトマ様」


 ふと、思うことがあってトマはガウェインに聞く。


「聞き忘れたんだが、イホッシー殿の種族は何だ?」

「そういえば…何だったけシド?」

「いや、俺より鑑定魔術高いエルジェに聞いてくれよ」

「エルジェ殿。イホッシー殿の種族は分かるのか?」

「…どうなのかしら…昔許可を取って鑑定してみたんだけど…

種族:人間(多分)・日本日本日本にほんにっぽんひのもと族って出てたのよ」

「その(多分)は兎も角ニホンニッポンヒノモト族とは…?」


 かつて前世でも聞いたことの…というか戦ったことのある死狂いの怪人、

サムライオブシマズの勇者も日本ヒノモトという国の出身だったので、

ついトマはエルジェに食って掛かる勢いで彼女に近づくトマ。


「わ…! っとそんなに食いつくの? 残念だけど私も聞いたことが無いわ。

歴史あるエルフたちの知書にすら載ってなかったくらいだし」

「噂じゃ海も越えた遥か極東の果てにあるイノワだかフィノワっていう国が

凄く似てるらしいけどな…本人も"いや、似てるけど絶対違う"って言ってたし」


 これはちょっとトマも無視できない。

もしもトマが知っているヒノモトの民であれば、

前世かつてのトマにしても異世界の者だったので滅ぼすことは無かったが

出会ってきたものは全てが驚異的な能力者だったので

もしもイホッシーがそのヒノモトの民であるならば

一度は会って見なければならないと思うトマ。


「それではその酒場に急ごう。何なら奢りなど不要だ」

「いやいや、助けてもらった礼くらいはさせてくれよ」

「そうだとも。お陰で誰も死ななかったのだからな」

「そうね。でも、トマくんったら相当気になるのね?

やっぱり強者のうきんの性かしら」

「エルジェ殿、今強者の言い方に引っかかるものがあった気がするんだが?」

「何が引っかかったの?」


 キョトンとするエルジェにトマは「流石は老獪…心を隠すのが上手いな」

と思ったらちょっと悪寒が走った。


「ねぇ、何か凄く失礼なこと考えてなかった?」


 エルジェは笑顔だが、シドとガウェインは青い顔だ。


「はて? そんなこと考えた覚えは無いのですが?」

「ふーん…?(何かこの子…年下に思えないわ…まるで長老様みたい)」

「っと! とにかくいつもの酒場! 『麦酒団長ビエアテトゥ』に!」


 エルジェとトマはシドたちに押されるようにその麦酒団長とかいう酒場へ

連れて行かれた。


> > >


 トマが『麦酒団長』に足を踏み入れたとき、この世界では始めて感じた

久しぶりの超強者の魔力の波動に思わず身構える。


「え、ちょ…どうしたんだトマ?」

「……成程…あのカウンターの端にいる男が…噂の酒豆か」

「え」

「マジか…」

「一発で見抜いた…!」

「普通絶対真ん中のエミル(巨漢の戦士)が勘違いされるのに…」

「やべぇ…トマって…そんな若さで本物の武芸者だ」


 ライラですら震えて此方に引っ付くのだ、分からないはずが無い。


「うぇい…?」


 そんな魔力の波動なんて微塵も感じさせない…服装はその辺の

町人にちょっとした金属装備をさせて…だが腰には余りにも不釣合いな

凶悪レベルの魔力を纏ったどう見ても魔剣か邪神剣と思われる剣を

腰に差して単なる酔っ払いにしか見えない男…イホッシーが此方を見る。


「およ…? 鑑定さん仕事してな…うぎょぉあ!?」


 トマを見てしばらくぶつぶつ言ってたイホッシーが驚いたかと思えば

思わず飛びのいて腰の剣を抜いて構える。これには酒場にいた全員が固まる。


「え…魔岩金剛が…滅茶苦茶怖がってる…!?」

「おいおい誰が…ゲッ!? 何だあの少年!! 仙格位レベル測定不能!?」

「はぁ!?」

「おいおいそんなの聞いたこと…うわぁあ!?」


 何人かの者たちは鑑定の魔術が使えるようで、トマを見ては

偽装しているはずなのだが皆が驚いている。


「な、なななな何なんだアンタ!? 邪神か?! まさかもう邪神が

刺客を!? おいマジかよ早過ぎるって!!」

「何の話だイホッシー殿。僕は貴方のことはシドらから聞いたばかりで

…というか神とか下らない連中と一緒にされると少々不愉快なんだが」

「うわあああ待ってくれ! ここで戦うのは勘弁してくれ! ここのビールは

マジで上手いんだから!! あと俺イホッシーじゃなくてヒロシだから!!」

「『おいオッサンwww名前はどうでも良いだろwwwww』」

「黙れサトシ! テメェのほうがジジイの癖に!! どうせ自分は無事だから

タカくくりやがって!!」 


 両手を合わせて勘弁してくれとしたかと思えば、どうやら

インテリジェンスウェポンだった魔剣サトシと口論を始める

イホッシーことヒロシ。


 これがトマが今生の生涯で何回か出会うことになる日本人ニホンジン族との

最初の出会いである。


35:に続く

それでは不定期モード…突入…申し訳ありませぬ!!

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