第7話 : 黒薔薇の洗礼
アレクシアと俺、こうして二人で浴槽に身を沈めている。同じ湯船でアレクシアの知りたくもなかった部分を見てしまい、俺はショックに打ちのめされていた。
「おい、お前なんで目を瞑ってるんだ?」
「あ、いや、その…」
俺は本意ではなく目を開けた。お湯がやたらと透明なせいで、丸見えなのだ。そんな衝撃的な入浴を終え、俺たちは湯から上がった。脱衣所で着替えていると、後ろからアレクシアの声が聞こえてきた。
「おい、ティアは俺のものだからな。手を出すんじゃねえぞ」
一体全体、何を頓珍漢なことを言っているんだ? 大人のティアが好きだって? まあ、そういうこともあるか。後でティアに年齢を聞いてみよう。できるだけティアとは関わらないようにしよう。
***
「ティア先生、もしかして何歳なんですか?」
「年齢、ですか?」
ティアの問いかけに、俺はコクンと頷いた。
「17歳です」
この世界では16歳が大人だなんて信じられないな。ちょっと待てよ、16歳だっけ、17歳だっけ…
「あ、私の名前はティア・バッツです。姓を除いて『ティア』とだけ覚えられているかもしれないので。バッツ家では3年を1年と数えるんですよ。私は17歳です。バッツ家では17歳ですね」
「なるほど。歳をとるのが遅いだなんて、不思議だな」
***
翌朝が訪れた。午後には冒険に出発するらしい。そろそろ荷造りをしなきゃな。俺はうめき声を上げながら、硬いベッドから起き上がった。
確かに気絶から目覚めた時はフカフカだったはずなのに、あの場所はたぶんティアの部屋だったんだろう。ひどい扱いだ。
「まずは何よりも先に、アイナが出発する前にくれた手紙を持っていかないと…あれ、どこだ?」
アイナの手紙が消えていることに気づいた俺は、地団駄を踏んだ。シルバ・アレクシア、あいつが持っていったに違いない。
「おい! アレクシア! お前、俺の手紙を持っていっただろ!?」
倉庫に入った俺は驚愕した。手紙を燃やしているアレクシアの後ろ姿が目に飛び込んできたのだ。
「何てことをするんだ!」
我慢できなくなった俺は、火魔法でやつの服を焼き払った。すると、やつの真っ白な肌が露わになった。カッとなって殴ってやりたかったが、チラリと見えたその姿はまるで美少女のようだった。
「お前が先にティアに近づいたんだろ」
大事な部分を隠しながら叫ぶアレクシアの姿は、ひどく無様だった。昨日、ティアが寝言を言いながら俺のベッドに潜り込んできただけなのに、本当に理不尽だ。結局、俺はティアにアレクシアの服を燃やしたことについて大目玉を食らった。




