第4話 : 黒薔薇の洗礼
知らない天井の下で目が覚めた。死んだわけではなさそうだ。
「あの、あの……起きましたか?」
あどけない声で俺の安否を尋ねてくる、可愛い少女の声に安堵した。
「ここは……どこだ?」
問いかけてはみたものの。
「あ、あの……私たちの家です……」
人の家だと知り、俺はガバッと跳ね起きた。
「元の場所に戻る道はわかるか?」
「よくわかりません……」
その時、少女の父親らしき人が入ってきた。
「どうだ、体調は少し良くなったか?」
「ええ……」
気まずそうに答えた。まずは家に帰らなければならないのに。
「あの……私たちの家に行く方法をご存知ですか?」
「あぁ、カナーマンの家か?」
そうして家に帰ることができた。もう朝か。カナーマンとシルフィアは心配して待っていた。やはり予想通りだ。俺はカナーマンとシルフィアに、昨日の件について詳しく説明した。それにしても、あの少女が言っていた言葉が思い浮かぶ。
『今日、2時に木の下の丘に来て!』
あそこは魔物の地域だから危険なはずなのに。まぁ、逃げ出せば関係ないか?
午後2時、約束の時間になった。はぁ、行くのは面倒だが、可愛い少女との約束を破るわけにはいかない。到着してみると、すやすやと眠っている少女の姿を、木が優しく包み込んでいた。俺は思わず、観賞モードに突入した。
「ふむ……」
光り輝く白い鎖骨と首筋、そして脚が俺の視線を奪った。その時、少女が目を覚ました。
「う~ん……あれ、パルク?」
咳払いを一つして、俺はとぼけた。
「パルクって誰だ? サシャか? それともソフィアか?」
「そ、その……私の名前は」
「あぁ、俺はユウカだ。何か俺に用でもあるのか?」
少女の顔が赤くなった。
「あ、いや……その、あの……魔法を教えてくれない?」
俺はまた告白でもされるのかと思ったが、勘違いした俺の恥ずかしいミスだった。それはともかく、彼女の鎖骨のあたりに挟まっている白い髪の毛が気にかかる。
「魔法?」
俺はわざと聞き返した。
「うん、教えてくれたら嬉しいな……?」
控えめに、そして可愛らしく頼み込んでくる彼女を見て、断ることができなかった。特に断る理由もないし、まぁいいか。




