第四章:河川敷の午後
父:佐々木 大輝(37歳)
特徴: 宏樹と同じ不動産デベロッパーの同僚。
母:佐々木 真由美(30歳)
特徴: 専業主婦。
娘:佐々木 杏(9歳)
特徴: 知花と同じクラス。知花の動画の熱心な視聴者であり、一番のファン。
月に一度、二家族は河川敷でバーベキューを楽しんでいた。
炭火を囲み、子供たちの笑い声が川面に響く。
「大野さんの動画、また再生数更新したんだって? 本当にすごいよ!」
大輝は心からの笑顔で、宏樹の背中を叩いた。
「俺も見てるけど、あの編集、前より格段にプロっぽくなったな。知花のダンスのキレも最高だ。あいつは本当に努力家だよな」
宏樹は少し照れくさそうに笑う。
「いや、大輝が『ここのカメラワークはこうした方がいい』ってアドバイスしてくれたおかげだよ。お前がいなきゃ、ここまで続けられなかった」
二人は仕事の悩みを打ち明け合い、お互いの背中を押す。
それはまさに、戦友に近い信頼関係だった。
その隣で、真由美と京華もグラスを手に、穏やかに語り合っている。
「知花ちゃん、最近本当に人気者ね。でも、あんまり忙しくて倒れたりしないか心配になっちゃう」
真由美は京華の手を握り、心から案じるような顔をする。
「私でよければ、いつでも真人の面倒見るから。京華ちゃんもたまには休まなきゃだめよ」
「ありがとう、真由美ちゃん。本当、あなたとこうして話してる時が一番ホッとできる」
子供たちも同様だ。
「ちかちゃん、ここ危ないよ!」と杏が手を引き、知花が「ありがとう、杏ちゃん」と微笑む。
真人は「あんねえちゃん、お肉もっと!」と甘え、杏はそれを楽しそうに世話している。
大野夫婦にとって佐々木夫婦は、この激流のようなネット生活の中で、唯一地に足をつけて「ただの自分たち」でいられる、かけがえのない安全地帯だった。




