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呂布が行く  作者: あひるさん
第5章

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34/36

第34話 入れ違い

ご覧頂きましてありがとうございます。

ご意見・ご感想を頂ければ幸いです。

差し支え無ければ誤字・脱字の指摘もお願い致します。

 洛陽を離れた戯志才は馬を走らせて駐屯地に到着すると郝萌に対面した。


「郝萌殿、老将軍は来られたか?」

「昨日到着されたぞ」

「どちらに居られる?」

「直ぐに洛陽へ向かわれた。呂布殿の滞在場所を聞いていない事を伝えたら、ここで待っていても意味がないと」

「そうか…」

「洛陽で何かあったのか?」

「その通りだ」


 袁紹が配下を使って何進の身内を拐かそうとしている事と呂布が宮中に乗り込む準備をしているから動けない事を郝萌に説明した。


「淳于瓊と何茂の二人がどれ程の者か分からないが邪魔をするのは自分でも出来る」

「助かる」

「その間に何進を屋敷から逃がすなり手を打ってくれ」

「心得た」


 一足先に離れた戯志才に続いて郝萌は一部の兵士を率いて洛陽に向かった。洛陽には河南尹の警備兵が居るはずなのでその連中を巻き込めばそれなりの戦力になるという考えがあった。


*****


 せっかちな高順は早足で道中を駆け抜けと戯志才が駐屯地に到着するのと同じ頃に洛陽へ到着した。


「御大将、もうすぐ到着致します」

「そのようだな」

「ご存じでしたか?」

「一度招かれただけであまり覚えていない。だが、あれを見れば一目瞭然だ」


 高順が視線を向けた先には周囲と比べて明らかに浮いている集団が屯していた。平服を身に纏っているが全く汚れていない上に軍で使うような言葉遣いをしているので何進に危害を加えようと企んでいる勢力であるのは明らかだった。


「確かに」

「何進にとって害になる存在」

「直ぐにでも取り押さえましょう」

「待て。面白味がない」

「まさか…」

「儂にやらせろ」

「御大将には指揮を」

「それくらいお前にも出来るだろうが」


 高順は止めようとした補佐役を制すると何食わぬ顔で怪しい集団に近付いて指揮を執っている者に声を掛けた。


「お主ら何をしている?」

「爺さんには関係ない。引っ込んでろ」

「それは無理な話だ」

「何?」

「儂はこの屋敷の主人と顔見知りでな」

「何進と知り合いだと!?」

「お主らのような連中が居たら困るのだ」


 高順は表情を一変させると男の肩を鷲掴みにした。


「痛い目に遭いたくなければ手を引け」

「爺、調子に乗るなよ!」

「物分りの悪い奴だ」


 高順は男の顔面に頭突きをかまして怯ませるとそのまま投げ飛ばした。男は咄嗟の事で身構える事も出来ないまま気を失った。あっという間の出来事に何も出来なかった部下と思われる者たちが我に返って高順に近付こうとした。


「我々も動くぞ」

「おう!」


 焔陣営の兵士が物陰から現れて高順を囲むようにして立ちはだかった。兵士たちは倒れている指揮官を助けようとする者たちを次々と無力化していった。


「御大将、この男が頭のようです」

「そいつには聞きたい事が色々ある」

「縛り上げておきます」

「監視も怠るな」


 しばらくすると騒ぎを聞きつけて屋敷の中から人が出てきた。それを見た高順は衣服を整えると家人の前に立った。


「儂は幷州の高順と申す。何進丞相に取り次いで頂きたい」


*****


 高順は何進に対面すると呂布の滞在先を聞き出して直接訪ねてきた。


「爺さん、来てたのか!」

「郭嘉に命じられて先程到着した」

「それなら何進に挨拶した方が」

「既に終わっている」

「どういう事だ?」


 高順は呂布の居場所が分からないまま洛陽に来たので何進に尋ねたら何らかの情報が手に入ると考えて屋敷を訪ねた事を説明した。


「申し訳ございません。某の失態」

「案ずるな郭図。そのお陰で思わぬ獲物が手に入った」

「獲物と申しますと?」

「袁紹の配下だ。何進の屋敷前で屯っているのを見掛けてな」


 高順は淳于瓊と何茂の二人を数十名の兵士ごと捕らえて敷地内に連れてきた事を説明した。


「少し痛い目に遭わせたら直ぐに白状した」

「連中の目的は?」

「何進の身内を拐かして脅迫する算段をしているようだ」

「袁紹は馬鹿なのか?成功したところで何進が従うなどあり得んぞ」

「最初は渋っていたらしいが、配下の説得と我々の存在が切っ掛けで強硬派に転じたと聞いている」


 淳于瓊と何茂は袁紹から指示を受けたが酷い内容だったので断ろうとした。しかしそばに居た許攸から受けなければ袁家との縁が途切れるぞと脅されたので渋々従った経緯も高順に語った。


「呂布、袁紹は生かしておけば碌な真似をせんぞ。お前が動く時に合わせて儂が殺ってやる」

「それは俺の役目だ。爺さんに損な役目を任せるわけにはいかん」

「ならば儂は何をすれば良い?」

「老将軍は袁術に対応して頂きましょう」

「袁術?出来損ないの片割れだな」


 郭図は洛陽での権力掌握に端を発した袁家の内輪揉めで幷州が迷惑を被った事を名目にして袁術を脅迫する予定だった事を説明してその役目を高順に任せたいと伝えた。


「面白い。その役目引き受ける」

「呂布殿と老将軍が同時に動く事で片方が有利になる状況が生じなくなります」

「都でひと暴れするのは本意ではないが何進に転けられたら厄介な事になるからな」

「儂も焔陣営の訓練になるなら不満はない」


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