全国高等学校ボクシング選抜沿岸ブロック予選1回戦
【ピン級】
相良直紀(信徳学院)ー客野太郎(国教大附属)
開始早々両選手とも鋭い左ジャブの差し合いになったが、客野が大胆にステップインを繰り返し、左ストレートのようなジャブで相良をのけぞらしている。
相良も冷静にポジショニングを行い、客野が狙っているであろう左ジャブからのつなぎの右に対する射程距離から離れて客野の打ち終わりに右のロングから左アッパーを非常にタイミングよく返している。
何度目かの似たようなせめぎ合いの後、客野が右サイドに上体を沈めると同時に左のロングフック、さらにピボットターンして向き直ると同時に左のロングアッパーを放つと、一瞬反応が遅れた相良にクリーンヒット。
ロープ際に退いた相良に客野が追い打ちのワン・ツースリーストレートの波状攻撃で防戦一方に追い込み、レフェリーがダウンカウントを宣告。
カウント8で再開後1R終了。
客野の絶好調と急激な成長に会場がざわめく中で第2R開始。
開始早々、客野が左ジャブを連発して相良の顔面を跳ね上げ、距離を取るべく相良がバックステップをしたタイミングを得たりとばかりに、客野がリーチをフルに活かした右ストレート。
避けきれず、まともに打ち抜かれてふらつきながら後退した相良にレフェリーが2度目のダウンカウント宣告。
カウント8で再開後、客野が相良をコーナーに追い詰めてワン・ツースリーストレートから左ボディ左フック、右アッパーをつるべ打ちにして猛攻。
防戦一方の相良に、再度カウントが入り、8カウント後にレフェリーが試合をストップ。
いきなりの大波乱で客野太郎、初戦を突破した。
「ただいまの競技の結果をお知らせします。2R1分17秒青コーナー薙沢県、国際教育大学附属国際高校、客野太郎選手のRSC勝ちです」
◯客野太郎(国教大附属)【RSC2R1·17】相良直紀(信徳学院)⚪️
【ライトフライ級】
嶋崎陽次郎(唐河中央)ー地御前栄代(国教大附属)
長身の嶋崎がスタートから軽快なフットワークを使い左ジャブを放つ。
それに対して地御前は例によって両拳を胸の前に、ちょこんと置いた独特の構えで上体を揺らしてタイミングを図っている。
嶋崎は積極的に左ジャブから右ストレートを繋げ、返しの左フックから切り返しの左アッパーなど、多彩な攻めを見せ、地御前はこれらの攻撃を上体の動きと絶妙な足さばきで空転させている。
いつになく序盤から積極的に応じる地御前が何度目かの、嶋崎からの攻めを外すと、ふっ、と上体を下げるや否や右ストレートを放ち、嶋崎の鳩尾にヒット。
いつも使う縦拳ではなくしっかりとナックルを返したストレートだった。
フットワークが乱れ、上半身が軽く前に崩れかけた嶋崎に、地御前は肩関節を、ぐるり、と回すような打ち方で左のショートフックを放ち、それが嶋崎の右耳下辺りにヒット。
ぐらり、と嶋崎は上半身が前に崩れ両手両膝をキャンバスに落とすと、そのまま体を半転させて大の字に。
両眼を開いたまま大の字になってピクリとも動かない嶋崎を見てレフェリーはノーカウントで即座に試合をストップ。
地御前は軽く一息をつくと青コーナーに戻っていった。
場内沈黙。
「ただいまの競技の結果をお知らせします。1R55秒青コーナー薙沢県、国際教育大学附属国際高校、地御前栄代選手のKO勝ちです」
◯地御前栄代(国教大附属)【KO1R0·55】嶋崎陽次郎(唐河中央)⚪️
【バンタム級】
◯伊丹升明(唐河中央)【4−1】三木重光(信徳学院)⚪️
【ライトウェルター級】
田尻夏彦(信徳商業)ー井口崇通(国教大附属)
ゆったりとアップライトスタイルに構える井口に対して果敢に向かっていく田尻。
がっちりとガードを固めてクラウチングスタイルから左右のオーバーハンドを振るう。
井口は余裕を持ってこれらを空転させると、左ジャブの3連打からさらに切り返して左フックをクリーンヒットさせると田尻の腰が砕けてレフェリーがダウンを宣告。
それと同時に田尻側の赤コーナーからタオルが投入され井口はABD勝ち。
「ただいまの競技の結果をお知らせします。1R37秒青コーナー薙沢県、国際教育大学附属国際高校、井口崇通選手のABD勝ちです」
◯井口崇通(国教大附属)【ABD1R0·37】田尻夏彦(信徳商業)⚪️
【ミドル級】
◯鞆光希(信徳)【3ー2】室口真杜(高南工業)⚪️
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【評】
初日から今の沿岸ブロックの混沌ぶりを象徴するような展開になってます。
この手の解説といえば私、国際A級審判員として活躍しております唐河中央高校ボクシング部監督、黒木達也です。
今日は新たに薙沢県の国教大附属チームが加わった5階級で1回戦が行われました。
そして第1試合目ピン級からいきなりの大波乱。
高校2冠王の相良直紀くんが進境著しい客野太郎くんに3度カウントを聞かされてストップされたのです。
国体観戦の時に客野くんが私に言っておりました
「沿岸ブロックの選手は全員同一レベルで横1列!」
が、いきなり証明されてしまいました。
高校王者だろうが何冠王だろうが沿岸ブロックの中に入れば初戦敗退もあり得る。
まさに恐るべし沿岸ブロックです。
信徳学院の相良監督も
「まさかここまで一方的になるとは・・・」
と、客野くんの成長速度に呆然としていました。
私も呆然です。
そしてさらにさらに、ライトフライ級に登場した異次元ボクサーの地御前くん。
うちの嶋崎くんには
「手数と出入りで揺さぶって崩していこう」
と作戦を立てていたんですが、こちらの予想以上に地御前くんの仕掛けが早かったのには驚きました。
いつもだったら対戦相手の動きを観察して、それを楽しむために結構じっくりと構えるはずなんですが、何か心境の変化でもあったのでしょうか?
試合後の嶋崎くん
「それほど強いパンチをもらったという感じはしなかったのに、まるで麻痺をかけられたみたいだった」
・・・怖・・・
さて、気を取り直して、バンタム級では国体準優勝の三木くんがうちの伊丹くんにポイントアウトされる波乱。
三木くん、国体の決勝で梶川くんに倒されたダメージが残ってたのか、ちょっと精彩がなかったですね。
うちの成長株、伊丹くんが先行逃げ切りに成功いたしました。
ライトウェルター級は・・・鉄板でしたね。
メンタルが安定してる時の井口くんからは強者の風格すら漂っています。
願わくばこのままメンタルの平穏を保ち続けて競技者生活を送ってほしいと思います。
ミドル級でも波乱が起こりました。
高南工業高校ミドル級の絶対エースだった伊南口くんの後釜として期待されていた室口くんが信徳高校の新人、鞆くんに競り負けたんですよ。
鞆くんは国体で優勝した堂園晴貴くんと同じ信徳島田ジムの子で見た目も堂園くんに似た、スラリとした体格。
長いリーチで遠い距離からポンポンと独特のタイミングでパンチを放っていました。
ミドル級は明日も注目の試合がありまして、うちの選手でインターハイウェルター級で優勝した川津くんがミドル級にあげて国教大附属の銀山くんと当たります。
普通に考えたらこれが事実上の決勝戦!
なんて言いたくもなりますが、冒頭の客野くんの言葉が効いてるんですよね。
「沿岸ブロックの選手は全員同一レベルで横1列!」
まだまだ波乱は起こりそうな予感がします。




