↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Nice Fight!〜違う道が1つになって同じ夢を見ていた〜  作者: livingdead


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
55/105

はじめまして?〜その1〜

国際教育大学附属国際高校ボクシング同好会第1回懇親会が和やかな時間を過ごしている中、同好会メンバー6人たちは会場内の手頃なテーブルで江波一成(えばいちなり)こだわりの水炊き鍋を囲んで普段の練習の話とか国体の感想とか来たる対キューバチームとの対抗戦に関する話とか、とにかくよもやまな雑談で盛り上がっている。


客野太郎(きゃくのたろう)、地御前栄代(じごぜんえいしろ)の軽量級コンビはその細くて小さい体のどこにそれだけ入るのかというぐらい、鍋の中身を次々とパクつき、次々と追加の具材を鍋に投入していた。


その体格の割に少食な江波はゆっくりと食事をしながら、こだわりの水炊きについて蘊蓄を述べている。


曰く


「厳選した素材を丁寧に下処理してあるから、旨味がしっかり出てタレをつけなくても美味しいんだよ」


とのこと。


「ホントだね。旨味が出て美味しい!体作りのためにもしっかりと食べておかないとね」


宮内白塔(みやうちはくと)がそう言って野菜や鶏肉を美味しそうに口に運ぶ傍らで井口崇通(いぐちたかみち)と銀山御幸(かなやまみゆき)が話し込んでいる。


「急にじいさんから『全員集合!』なんてLINE が来たから何かと思ったら・・・」


「キューバ戦前の壮行会とでも思っておけばいいんじゃないか?」


しっかりと食べながら戸惑いを口にする井口に対して、銀山はそう答え、


「しかし、あいつらの身体のどこにあれだけ入るのやら・・・」


視線の先には次から次へと水炊きの具を夢中で口にしている客野と地御前の姿。


「本当にね、あの2人の食欲はすごいや」


宮内も呆れた表情を浮かべ同意している。


それをよそに井口と江波は対キューバ戦の話を始めている。


「ねえねえ井口くん、キューバともなればヘビー級の選手も相当いるよね?」


「そりゃもちろん。そもそも競技人口自体が全然違うからな。UJ のワールドカップに出た時なんだけどキューバチームの選手団以外にサポートメンバーだけで日本チームの倍以上はいたっけな」


井口がさらりと口にした驚きの過去に目を丸くして江波が驚愕する。


「井口くん、ワールドカップなんか出てたの!?」


「・・・・・・・・・・」


一瞬


『しまった!』


という表情を浮かべた井口は、食い気味に来る江波を手で制して


「黒歴史だから俺個人に関しては何も聞かないでほしい」


「え〜〜〜〜〜〜」


などといったやり取りをボクシング同好会のメンバーがしていた最中のことである。


懇親会会場のどこかからか、薙沢県ボクシング連盟医事委員長の外薗峰允(ほかぞのみねなり)が実に落ち着きのある紺色のワンピースに身を包んだスレンダーな和風美人を連れて現れた。


「あ、外薗先生こんにちは・・・って、うわぁ・・・」


挨拶もそこそこに江波の目は、その和風美人に釘付けになっていた。


さらに客野、銀山も頬を赤くしてため息をつき、井口でさえ目を見開いて小さく息を漏らすほどであった。


ただ、約2名だけ反応が他のメンバーとは異なっていた。


その女性を目にした瞬間、顔面が蒼白となり、冷や汗まみれとなって、ガタガタと震え失神状態に陥った宮内。


瞳から光が消え、全身が総毛立った様子になり、軽く威嚇のオーラをまとい始めた地御前。


そんな様子に気づいた外薗は気まずそうな表情でボクシング同好会のメンバーに紹介を始めている。


「紹介しよう。僕の妹でね。最近、薙沢県(ここ)に引っ越してきたんで顔繋ぎもかねて兼ねて今日参加させてもらったんだ」


「みなさま、弥能礼文(みのうれいぶん)と申します。初めまして

」


微笑みかけられながら、そう挨拶されて特に江波と客野は


『ほややや〜ん』


などと妙な擬音が聞こえてきそうな空気に包まれている。


「絶対違う。絶対に初めまして、じゃない。怖い、怖い、怖い、怖い・・・ヒィィ」


「ウ~~ッ!シャ~~ッ!!」


宮内と地御前はそれぞれ恐怖に震えたり威嚇したり、その異様な光景を見た井口と銀山は何が起こってるのか、いまいち理解が追いつかず


「外薗先生の妹さんと宮内って会ったことあるのか?」


至極もっともな疑問を口にする銀山と地御前の威嚇する様子を見てやや焦る井口。


「まずいな・・・国体の時みたいな騒ぎにならなければいいんだが・・・」


外薗も妹に対する宮内と地御前の反応を見て冷や汗が止まらず焦っている状態。


そんな時、なんとも剣呑な空気を打ち消す声が。


「外薗先生、今日はお忙しいのにご足労いただいてありがとうございます」


そう言って近づいてきた国際教育大学附属国際高校ボクシング同好会顧問であり、薙沢県ボクシング連盟会長の西木匠教諭。


その姿を見た瞬間のことであった。


突然


『ぼふん!!』


という擬音と同時に頬を真っ赤に染め上げ弥能礼文が俯いてしまったのである。


次の瞬間、宮内の顔に血色が戻り、震えも収まって


「ハッ!?僕は今まで一体・・・」


と、呆然となっていた。


そして地御前からも威嚇のオーラが消え、瞳に光が戻り、普段通りの落ち着いた表情に戻り首を傾げていた。


外薗は、ほっとした表情をして西木に礼文を紹介。


「前にちょっとだけ話したと思うのですが最近薙沢県に引っ越してきました妹です。礼文、挨拶を・・・・あら?」


礼文に自己紹介を促した外薗が目にしたのは頬を真っ赤にして両手で顔を覆い手近にあった椅子にへたり込んでいる妹の姿だった・・・・・・

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。