国体を観よう!〜その6〜
『徳と信用 信徳国体!』
結構な異常事態が発生している様子です。
金曜日の授業が終了後、学校の公用車であるハイエースを飛ばして、なんとか日付が変わるギリギリに信徳県に到着いたしました。
国際教育大学附属国際高校ボクシング同好会顧問を務めさせてもらっています、西木匠です。
試合会場である信徳総合武道館にほど近い場所にある宿舎にてボクシング同好会の6人と合流しました。
そこでまず最初に、生徒たちの面倒を見てくれていた他県の先生方にお礼を言い、地御前くんが起こした騒ぎについても謝罪。
お騒がせして誠に申し訳ありませんでした。
「事情は聞いた。気持ちはわからなくもないが、とにかく周りに心配をかけないこと」
地御前くんにも指導。
しょんぼりするんじゃない。
ところで、さっきトーナメント表を見たんだけど、なんかすごいことになってるね。
「僕たちもびっくりしています。まさかここまでとは・・・」
江波くんが宿舎のロビーの壁に貼られている大きめのトーナメント表を見ながら言いました。
まぁ明日の準決勝の試合、結果次第で少年の部全階級9階級のうち、5階級で沿岸ブロック同士の決勝戦になる可能性があると・・・・
沿岸ブロック、すごすぎないですか?
開催県である信徳県が気合の入った強化をして参加全階級の選手が準決勝まで残り、さらに高南県も参加全階級の選手が準決勝に進出。
中でもライトフライ級の山田くん、バンタム級の梶川くん、そしてミドル級のインターハイチャンピオン伊南口くんが安定の強さで勝ち上がって、さらに驚いたのがフェザー級の護山くん。
彼はこれまで沿岸ブロックの大会にも出たことがなかったと聞いていましたが、高南県の関係者たちからの評価は前々から高かったようです。
以前の合同強化練習の練習試合での経緯もあって、ピンチヒッターとして国体メンバーに大抜擢をされたのですが、それこそ相手を寄せ付けない技巧と安定感で当たり前のように準決勝にまで勝ち上がってます。
「そして意外や意外!信徳県にも伏兵と言うか、秘密兵器と言うか隠し玉がいたんですよね」
その護山くんが例によって軽い調子で声をかけてきました。
「ミドル級の堂園ね、中学出て進学せずに和菓子屋で修行してるって言ってましたっけ。UJ の頃は井口みたいに『天才児』って呼ばれた選手ですよ」
へえ!
それで結局高校には進学せずに和菓子職人の修行に入ったと・・・
「結構スカウトされたと思うんですけど、まぁ本人じゃないとわからん事情があるんでしょうな」
それで地元のジムで練習しながら今回選ばれたっていうわけだね。
「まあ、あのジムも全国的にかなり有名なアマチュアジムですからね。堂園もちょいちょい国体予選や沿岸ブロック大会に出てはいたんですけど、ここ2年信徳県はブロック予選突破できてませんでしたから」
なるほど・・・・まさしく伏兵だね。
「面白い選手がいますね。1度試合してみたいかな?」
銀山くんが興味津々なようです。
「残念!あいつこの大会で引退するって言ってたから」
「え〜〜〜っ。それは残念ですね」
心底残念そうな銀山くんに1人の選手が不意に声をかけて来ました。
「興味を持ってくれて嬉しいです。ジムでの練習は続けますから、いつかスパーでもしに来てくださいよ」
ものすごく礼儀正しく柔らかい物腰で。
かなりの高身長、185cm はありますね・・・・
そして国教大附属チームのイケメン、宮内くんと同系等の相当なイケメンぶり。
「地元の女子からの声援がすごいんすよこいつ。それで試合の度に同じ信徳県チームのみんなから『お前だけずるい!』って、小突き回されてるんだよな」
護山くんに突っ込まれると照れくさそうに笑う笑顔がまた爽やかですね〜〜
「明日勝って決勝戦で伊南口くんと試合したいですね。これまでブロックで2回当たってるんですけど、1度も勝ててなくて。今回が最後ですから頑張りますよ」
他県の選手もしっかり前を見据えて頑張ろうとしています。
参加選手全員そうなんでしょうね。
「明日頑張ってください!そしていつかよろしくお願いします!」
銀山くんにそう言われると照れくさそうに微笑んでポツリと
「うん」
と返事して堂園くんは、その場を離れました。
「あぁ、あいつの働いてる店、この会場に出店してますから、お土産買ってやってくださいね」
護山くん・・・
その情報は後でも良かったんじゃないかな?




