援軍と挑戦
国際教育大学附属国際高校ボクシング同好会の面々と薙沢県立中央病院、外薗峰允Drを乗せたハイエースが西木匠の運転によって、薙沢県への帰路についている。
今回の
『沿岸ブロック5県強化合同練習』
への参加は、生徒たちはもとより指導者である西木匠や薙沢県ボクシング連盟の医事を担当する外薗にとっても、実に実りある経験となっていた。
唐河中央高校ボクシング部監督黒木達也監督が
「これで今回の合同強化練習全ての過程を終了します。今後とも諸君は懈怠すること無く、日々研鑽に励みその成果をリング上で発揮してくれることをを期待します!」
と〆て一同解散となり、西木と外薗、そしてボクシング同好会のメンバー6人たちは他県の関係者達や拳を交えた選手たちと、それぞれ挨拶を交わしたのだった。
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ども、今回はみなさんおつかれっした!
裏方を担当してました護山蒼次郎、高南学院3年生っス!
え?
お前、
『モブ山モブ次郎』
だろう! って?
何をそんな・・・・あのような天上人と間違われるなんて、なんと畏れ多い!
まぁそれよりも・・・
実はですな、いま薙沢県に向かって車を飛ばしているであろう国教大附属チームの西木先生に、先ほどちょっとした挨拶をしておいたんですよ。
俺が言ったことを聞いて西木先生、目を白黒させていましたっけ。
「薙沢県ボクシング連盟に参加したい?」
そうッス!
俺、元々薙沢県出身だし、来年卒業なんで、そしたら薙沢県戻って就職予定なんスよ。
なんか、聞いた話だと薙沢県ボクシング連盟、西木先生と外薗先生だけで回してるって・・・
流石に今後を考えたら人増やさんとヤバいッスよね?
「確かにね。ただ、薙沢県ボクシングは今が初めてだから、県内に対応できる人材がいなくてね」
そこで、俺ッス!
あと、俺と同じ薙沢出身で来年卒業の連中で薙沢県に戻る予定のヤツには声かけますわ!
薙沢県ボクシング、どんどん発展させて薙沢県スポーツ難民なんてのを過去の存在にするのが俺の願いですから!
「素直にありがたいよ。始まったきっかけを思えば、こんな方向に展開していくとは予想外だった。嬉しい誤算だね。卒業待っているよ」
西木先生、俺の援軍申し出に素直に感謝してくれました。
世間知らずのガキの戯言、と、流さない先生だからこそ、あの井口も懐く訳ですわ。
それと、もひとつ。
次回の公式戦のこと。
高校選抜ブロック予選、あのチビくん。
地御前くん、出るとしたらライトフライですよね?
実は俺と梶川で、とある選手に地御前対策を特訓つけてぶつけるつもりなんで・・・・ええ、これは挑戦状です!
試合にはその選手のセコンド俺がつく予定なんで、よろしくお願いします。
地御前くんにも伝えておいてくださいね。
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「・・・と、護山くんが言ってたからキミもそのつもりでいるように」
「ええええええええええ!?」
これまでの話を西木先生から聞かされて困惑気味に地御前が声を上げている。
「すげぇじゃん!高南県の実力者2人からの挑戦状だってよ!?」
客野がそう煽ると、井口も笑いを堪えつつ、
「梶川さんのパンチを『全部外したつもり』なんて言ってのけたんだから挑戦されるのもありだよな」
と続け、地御前はオロオロするばかり。
その、あまりの無自覚さが更に周囲の笑いを誘い、帰路の車内は終始賑やかだった。




