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鳴海の槍と二振りの剣



 鳴海の本業はプロボクサー。本業の合間にmillionwarsで息抜きと同時に鍛錬を積んでいる。さて、ここからが問題だ、プロボクサーを本業とする鳴海の槍は果たして強いのか否か。


 「どうした!どうした!避けてるだけじゃ勝てねぇぞ!」


 (速い……!!踏み込む速度以上に突きの速度が尋常じゃない!)


 当然強い。ジャブやストレート、フックにアッパーなどのボクシングの基本の四つのパンチを繰り返し鍛えたプロのボクサー。ジャブやストレートは突き、フックで払い、アッパーで跳ね上げる、全ての動作が槍にも応用が可能。


 NPC兵士と練習をするよりもプレイヤーと打ち合った方が練習になると考えた剣崎だったが、現役プロボクサーを前に、自分の戦い方を見つめ直す余裕もないまま圧倒されていた。


 「辞めだ、辞め!今のお前じゃスパーの相手には役不足だ。」


 避ける、防ぐばかりで、反撃すらしてこない剣崎に呆れ。鳴海は戦闘を中断して、槍を肩に担いで、尋ねた。


 「それで?何をそんなに悩んでるんだ?」


 剣崎はNPC兵士との特訓により、ぶつかった問題について鳴海に説明した。


 「なるほどな……中段に構えると攻撃が疎かとなり、上 段に構えると防御が疎かになるか……」


 「……鳴海さんだったらどうしますか?」


 「俺?うーん……俺は剣なんてほとんど使ってこなかったしな……」


 鳴海の答えにあからさまに落ち込む様子を見せる剣崎に、鳴海は慌てて自分なりの考えを聞かせた。


 「ま……まぁ、俺だったら、どっちかなんて考えずに両方選ぶだろうな!」


 ボクシングとmillionwarsを両立している鳴海らしい、答え。だが、その言葉が鳴海も予期しなかった成長を剣崎にもたらした。


 「両方……」


 剣崎は訓練場に並べられた武器へと近づき、おもむろに小刀を手に取り、再び鳴海の前に立った。


 (左手に持った短い木刀を中段に……右手に持った木刀を上段に置くように構える……)


 剣崎が武器を構えると、賽山流において『上下太刀の構え』と呼ばれている、誰もが一度は目にしたことがあるような構えとなった。


 「剣崎、お前……いいじゃねぇか……!ラウンド二だ!こんどは楽しませろよ!!」


 お互いがジリジリと詰め寄り、距離を測る。いつもは嵐のように攻撃を仕掛ける鳴海も防御と攻撃、違う役割をそれぞれ担う武器を手に持つ剣崎を前に慎重にならざるおえずにいた。


 たがやはり、先に攻撃を仕掛けたのは鳴海だった。


 「シュッ!」


 突きと同時に短く息を吐いた。ボクシングで養ったステップと神速の突きが剣崎を襲った。


 (こっち……)


 短い方の木刀を左手で中段に構えたことにより、鳴海の槍の攻撃が通る範囲は狭まり、的の大きな右腹部、短い木刀により守られていない左肩、そして足に絞られる。


 剣崎は体への到達の速い突きのみを警戒していたお陰で、攻撃を避けることができ、右手上段に構えた木刀で反撃をした。


 「おっと!危ない、危ない!深く踏み込んでたら間違いなく致命傷を食らってたな……」


 剣崎にとって二刀流は未知の戦い方。手探り状態の剣崎から振り下ろされた木刀は鳴海を完璧に射程内に踏み込ませることができておらず、空振りで終わってしまった。


 鳴海と剣崎の特訓は二時間に及んだ。


 「鳴海さん、すいません。今日はここまでで……」


 「そうか、お疲れさん。それにしても二刀流……おっかないな……」


 「まだまだ形になってませんけどね。現に、最初の一振以降は鳴海さんに一方的に打ち込まれ出ましたし。」


 「ともあれだ!自分なりの答えに辿り着いたんだ!よかったな、剣崎。」


 「はい!特訓に付き合っていただき、ありがとうござました!」


 剣崎は鳴海にお礼を伝え、訓練場を後にして、天鷹城に滞在するレアNPC『鍛冶師 一鉄』の元へと向かった。


 「一鉄さん、新しく大小二振りの刀を願いします!長さは………………」

 

 

 


 

 

 

 

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