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一射集中



 「全軍突撃!!」


 太鼓の音を上回る御影の掛け声と共に、御影の部隊が槍衾へと襲いかかる。


 槍衾も中段に長柄鑓を構え、近づけさせまいと試みるが、御影の部隊は物量で押し切る。


 御影の部が通った道には、倒れた敵味方の装備だけが残っており、その様子は蝗害(こうがい)を彷彿とさせた。


 (これ、どうすれば……)


 至急、判断が求められ状況。勇の指示を待っている時間はない。隼は屋根の上から俯瞰することで、状況を冷静に俯瞰した。


 (鬼塚さんの陣営は、その戦い方から友好度が低く、NPC兵士が弱いことは有名だ。だからこそ本当は御影さんのNPC 兵士を消耗するのは本意ではないはず……)


 隼は一頻り(ひとしきり)考え終えると、すぐに行動に移した。


 (俺たちの目的は時間稼ぎ、そして相手戦力の消耗。御影さんのNPC兵士が消耗してくれるならそれでいい。俺は鬼塚さんの部隊を弱体化させる!)


 隼は狙いを定め、弓を引き絞り、矢を放った。


 「…………ッガ!」


 矢は鬼塚陣営のプレイヤーの体を貫通し、背後にいたNPC兵士の体へと突き刺さった。


 (……命中!)


 命中を確認すると同時に、隼は射撃ポイントを変え、再び鬼塚陣営のプレイヤーに狙いを定める。


 「うぉっ……!」


 しかし、何度も同じ手が通用する相手ではない。鬼塚は弓の得意なプレイヤーに指示を出し、屋根の上を見張らせていた。


 (まずはあいつらをどうにかしないとな……)


 隼は半身で弓を構えて体を晒した。


 「………………」


 隼に向けて大量の矢が放たれるが動じることなく丁寧に矢を放つ。


 「……ッガ!」


 半身で弓を構えることにより、矢の命中する部位を減らし、一射一射を集中して放つことで相手のプレイヤーを確実に仕留めていく。


 (……五人目。ここからが限界かな?)


 隼は屋根から屋根へと飛び移り、身を隠した。


 (この調子でプレイヤーを減らせば、少しは有利に戦えるかな?)


 両陣営合わせて二千人を超えるプレイヤーのうち、射抜くことができたのは六人。しかし、この六人の中には数百人のNPC兵士の指揮を任されていた者もおり、見た目以上の被害を鬼塚陣営隼受けていた。


 「あいつ……!鬼塚さん、俺がいって仕留めてきましょうか?」


 「行く必要は無い。NPC兵士を壁にしてプレイヤーは殺されないように気をつけろ。」


 「了解です!」


 鬼塚陣営の部隊は御影の陣営の部隊の後を追うのを辞め、その場で待機。NPC兵士たちで前方を固め、肉壁を形成した。


 (御影が天守の旗を挿げ替えれば、目の前の邪魔なNPC兵士たちはこちらの味方になり、NPC兵士を補充することで、後から来る九条たちの部隊に備えることができる。)


 鬼塚は御影が猪ヶ倉城を陥落させることを確信していた。敵だったからこそ分かる、御影陣営の結束力。一つの目標に向けて行動する御影陣営のことを止めることはできない。


 「……もう少し足止めできる予定だったんですけどね」


 天守前では陽翔と御影がお互いの配下を引き連れ向かい合っていた。


 「あなたが猪ヶ倉城 城主 陽翔さんですね。てっきり、ここで待ち構えているのは勇さんだとばかり思っていました」


 「ハハハハ!これでも城主なのでね 。この役割ばかりは他の人に任せられないですよ。」


 二人の城主は互いに武器を構えた。


 「鶴巻城 城主 御影。猪ヶ倉城 城主の陽翔に一騎打ちを申し込む!」


 「いいだろう、受けて立つ!!」

  


 

 

 

  

  

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