ラストバトル開始
九条陣営が鷲宮城を陥落させてからすぐのこと、朱羅は今後の戦いに参加しないことを発表した。
朱羅陣営のプレイヤーたちの中には、朱羅の決定に納得がいかず、別の陣営に移るものもいたが、ほとんどのプレイヤーが朱羅と共に強くなることを選択し、次のシーズンに向けて技を磨くことを選んだ。
一方、鬼塚と御影は最後の戦いに向けて準備を進めていた。
「まさか三度の飯より戦いが好きな朱羅が、一番最初に戦いから離脱するとはな……どういう心境の変化だ?」
「朱羅が城主をしていた鷲宮城が落とされたんだ、NPCの友好度が下がりに下がった状態では勝ち残れないと考えたんだろうさ。そんなことよりも、俺たちが考えないといけないのは九条のことだ。」
他の陣営と比べ圧倒的な軍事力、財政力を誇っていた九条陣営だったが、協力関係を結んだ、鬼塚、御影のペアと大差のないほどに衰えていた。
「軍事力や財政力が並んだとはいえ、九条陣営の厄介な点は高い友好度を活用したNPC兵士による数の暴力。正面から戦って勝てるのは朱羅の陣営くらいのもんだ。」
「だったらどうするんだ?向こうの友好度を下げるために火攻めでもするのか?」
「ダメだな。そんな普通の戦略なら、間違いなく九条は対策を打ってくる。」
「だったらどうや……ッ!」
鬼塚は刀を御影の首元に押し付けた。
「いいか……前回の戦いで九条と朱羅に負けたのは、お前のところのプレイヤーが勝手なことをしたからだ。次に余計なことをしたら、次のシーズンはマトモに遊べないと思え。」
「わかった…………」
鬼塚は刀を収め、millionwars内の地図を取り出した。
「今から伝える内容を城主たちに伝えろ。」
天鷹城 御殿
「なるほど……そうきたか」
御影、鬼塚の陣営に潜り込んだ九条の陣営のスパイからのメールで相手の作戦が明らかになった。
御影と鬼塚は所有する合計百の城から、二千人の部隊を出撃させた。プレイヤーとNPC兵士からなる二千人の部隊は、それぞれ別々に行軍し、現地での合流を目指す。
(問題はどの城を狙って、どこで合流して、いつ攻撃を仕掛けてくるか分からないこと……後手に回らざるおえないな……)
九条は信用のおけるプレイヤーに連絡をとり、相手の合流地点を探らせた。
翌日
猪ヶ倉城前には総勢二十万を超える御影、鬼塚の兵士たちが集結していた。
「戦力差は歴然……籠城して時間を稼ぐつもりですが、援軍まで間に合うかどうか……」
プレイヤーからの報告で相手の合流地点を知ることができた九条だったが、援軍よりも早く敵軍が猪ヶ倉城へと到着してしまった。
しかし、九条も策を打っていない訳ではなかった。
「大丈夫だ陽飛。籠城なら俺たちに任せておけ。」
九条は狙われる可能性の高い城に予め、籠城に慣れている天鷹城のプレイヤーを配置した。
猪ヶ倉城へと配置されたのは戦場の指揮に長けた天鷹城副城主の勇と起用万能な隼。
millionwarsの天下をかけた最後の戦いが今、始まろうとしていた。




