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最強タッグ



 「ほらよ剣崎、お前の武器だ。」


 手配人からの攻撃を受けて三十分のペナルティの後、デスポーンした剣崎は、天鷹城まで命からがら逃げ帰った火室から自身の武器を受け取った。


 「それにしても、なんだあの手配人の強さ。今行けばもう一回位は戦えると思うが、明日早いからな……お前はどうするんだ剣崎?」


 「隼を誘ってもう一度行ってみようかな……」


 「いいんじゃないか?……お前と隼のタッグと戦うとか考えたくもないな。んじゃ、俺、落ちるは」


 剣崎はログアウトする火室を見送った後に隼へと連絡して、小鴉城前で待ち合わせをした。


 「聞いたぞ剣崎。お前マジクエの黒騎士倒したらしいじゃないか。」


 「左近から聞いたのか?」


 「ネット記事の初クリア者の名前にケンザキって書かれてたからな。結構話題になってるぞ?」


 剣崎は剣道以外のことでネット記事に名前が載せられたことに若干の違和感を感じながらも、隼に対して手配人の情報を共有した。


 「居合ね……通り過ぎざまならともかくとして、実践に使えるようなもんなのか?」


 隼の疑問は正しい。居合とは本来、不意打ちに対する対抗手段として使われるもの。互いに向かい合い、立合う場合に使われることは少ない。


 そんな居合を実践レベルまで磨き上げた……ではなく作り上げたmillionwarsの開発陣営に剣崎は心から感謝していた。


 「いたぞ。」


 橋の上で佇む手配人、その足元には小鴉城のプレイヤーの物と思われる装備が所狭しと転がっている。。剣崎は二振りの刀を握り構え、隼は一振の打刀を片手で握った。


 「ほぅ……一度殺したはずの少年が、またしても前に立つか。どうやら彼岸を渡るには、あの一太刀では足りなかったようだ。」


 手配人の鞘を握る手に力がこもる。


 「橋から降りてこいよ。装備が邪魔だろ。」


 「ふむ……それもそうだな。」


 剣崎と隼が橋から距離をとったことで、手配人は装備の散らばった橋から降りて剣崎たちの前へと立った。


 「さて、戦いの場も整ったところで。早速始めようか。」


 そう言うと手配人は自分から距離を詰めて、剣崎たちの虚を衝いた。


 「……これは!」


 しかし、虚を衝いたはずの手配人の体に幾本もの棒手裏剣が突き刺さっていた。


 「ナイスだ隼!」


 対抗戦の日から小鴉城の三上に弟子入りをして習った棒手裏剣。剣崎から『天才』と称される隼は一週間とかからず棒手裏剣をマスターした。


 そんな隼が習った棒手裏剣は手配人の虚を衝き返し、隙を突き剣崎が手配人へと切りかかった。


 「甘いな……」


 剣崎の一振り目が鞘に収められた刀で受け止められ、二振り目の攻撃は横に飛び退くことで回避された。


 「ごっつぁん!」


 しかし、手配人の飛び退いた先には隼が待ち構えており、隼の一撃が手配人の脇腹を切り裂いた。


 「……驚いたな。こんなに息のあった連携は生まれて初めてだ。」


 二人の天才による連携。剣崎の堅実な攻撃が敵に選択を迫り、隼の自由な攻撃が敵の選択肢を減らす。朱羅との戦闘での敗北から成長した二人の連携は、今では朱羅にも届きうるものとなっていた。


 「……まずは飛び道具を潰すか」


 手配人が隼へと一歩で距離を詰める。同時に抜刀……!


 「……!」


 手配人の抜かれた刀は完璧な間合い、完璧な狙いで隼の喉を捉えていた。しかし、隼は上半身を後ろに仰け反らせることでそれを回避。


 「……お返しだ!」


 プロボクサーである鳴海から教わった『スウェー』を使い紙一重の回避をして見せた隼は、鞘を帯に固定するための下緒と呼ばれる紐に備えておいた棒手裏剣を抜き取り、手配人の体へと投げた。


 「……ッ!」


 当然、その隙を剣崎が見逃すことはない。両の手に握られた大小異なる刀が手配人を襲う。


 (このまま押し切る!)


 息付く暇のない連続攻撃。右手の刀を防いだと思えば、左手の刀が襲いかかる。左手の刀を受けたと思えば、右手の刀が襲いかかる。手配人は鞘から刀を抜く暇を与えては貰えなかった。


 「な……ッ!」


 だが、ここで手配人の神業が光った。右手の打刀の攻撃を防いだ瞬間、強く握られていた鞘から力は消え、緩められた手のひらは滑るように移動して柄を握った。


 柄を握った手配人は力なく空中に置かれた鞘から一気に刀を抜き、剣崎を切りつけた。


 まさに一瞬の出来事だった。突然放たれた斬撃は剣崎の腹部を切り裂き、致命傷を与えた。しかし……。


 「ガッ……!」


 右手に握られた打刀の攻撃が防がれた瞬間振るった、左手の脇差が腹部を切り裂かれると、ほぼ同時に手配人の首を突いた。


 「見事……」


 致命傷を受けた手配人は装備と大量の金銭だけを残し、剣崎が意識を手放すよりも早く姿を消した。


 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

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