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マジック&ソードクエスト



 「おーい、こっちだケンザキ!」


 マジック&ソードクエスト 通称マジクエ。王道のファンタジー世界でmillionwarsとは正反対のゲーム。剣崎はクラスメイトの左近に誘われ、早速購入してゲーム内で左近と合流した。


 「これが俺のパーティーメンバーのアリスとユウキだ。」


 「初めましてケンザキです。」


 左近はゲーム内の名前もサコンと表示させれており、その両隣には魔法使いの格好をしたアリスと、中世の鎧を身にまとったユウキがおり、剣崎は二人と軽く挨拶を交わした。


 「それじゃあ早速、ケンザキの装備を回に向かおう。」


 「俺はいいけど……金はないぞ?」


 「当然、装備を新調する金は俺が払う!手伝ってもらうわけだからな!」


 左近に頼まれた高難易度ボスについては少し調べた。どうやらスキルや魔法以上にプレイヤースキルが求められる相手のようで、俺に声をかけたらしい。


 「ここだ」


 ケンザキはサコンに連れられ『剣抜弩張(けんばつどちょう)工房』と書かれた看板の店に入った。


 「なんでも好きなものを選んでくれ。」


 店の中には大量の装備が置かれており、ケンザキは長い時間をかけて自分の装備を見繕った。


 「そんなのでいいのか?それに槍ってお前……」


 装備は軽装で剣ではなく槍を手に取ったケンザキに、サコンは心配の表情を浮かべた。


 「millionwarsでは長物も使うから安心しろ。なんなら乱戦以外で剣は殆ど使うことはない。」


 「お前がいいならいいんだが……それじゃあ早速、高難易度ボスの黒騎士を倒しに向かうか。」


 黒南の樹海。

 足元が定まらないほど光が入らない、鬱蒼とした樹海。ケンザキたち四人はアリスの魔法による光を頼りに黒騎士のいる黒南の城を目指していた。


 「ケンザキ……前にオークが三匹いるのが見えるか?俺たちは援護するからお前の実力を見せてくれ。」

 

 ケンザキはサコンに頷くことで返事をして、アリスの光魔法と共にオークたちの前に出た。


 (さぁ、このゲームのお手並み拝見だ)


 鎧を身にまとい、剣や槍を手に持ったオークがケンザキに襲いかかる。


 「ooooooo!!」


 ケンザキは冷静に剣を握るオークに狙いを定め、リーチで勝る槍を鎧で守られていない頭部に突き刺した。


 「gaaaa!!」


 残りのオークが襲いかかる。


 「……ッ!」


 オークの頭部に刺さった槍が、想像以上に深く突き刺さり、抜くことが出来ずにいた。


 「だったら!」


 millionwarsにはないインベントリから初期装備の剣を取り出し、槍を持つオークとの距離を一歩で埋め、腹部に剣を突き刺し柄を捻った。


 「agyaagggg!」


 出血表現こそないものの、相当なダメージを負ったのか、もう一匹のオークもその場に倒れた。


 残りの一匹、自分ト同じ大きさの棍棒を持つオーク。ケンザキは倒れたオークから槍を奪った。


 (こんなに木があったんじゃ、薙ぎ払いで攻撃するのは無理だな。)

 

 ケンザキは槍の穂先が下を向くうように構えて、オークのへと走った。オークは突きでの攻撃しかないと気づいているのか、棍棒を高く掲げケンザキが間合いに入るのを待った。


 (……ここだ!)


 ケンザキはオークの数歩手前で片足を深く沈め、右に捻った体を戻すと同時に右足と槍を前に突き出し、全ての力を穂先へと集め解き放った。


 恐らく、倒したプレイヤーから奪ったなのだろう。身の丈に合わない装備を身につけたオークたちは腹部が隠れておらず、ケンザキはオークのヘソを目掛けて渾身の一撃を突き刺した。


 「gaaaa!!」


 急に加速したことによりタイミングをずらされたオークは反撃をする暇もなく、その場に倒れた。


 「すげぇよケンザキ!普通だったらオークを倒すのなんて戦闘スキルがないと厳しいんだぞ!それをプレイヤースキルだけで倒しちまうなんてな!」


 「本当に凄い……これなら黒騎士も倒せるかも!」


 サコンとアリスが大袈裟に喜ぶ反面、ユウキが複雑な表情を向けてきていることにケンザキは気づいていた。


 「サコン……ユウキさんはどうして俺を睨んでるんだ?」


 「あぁ……ユウキはタンクだから、自分以外の前衛がパーティーに入ることに反対してたんだ。まぁ、今の戦い見せられたら俺だって思うところはあるけどな。」


 millionwarsの中でも密かに知名度を上げているケンザキのプレイヤースキルは、マジクエのプレイヤーに劣等感を感じさせるほどの実力に見えていた。


 その後は、ケンザキとユウキが前衛で戦い、後衛からアリスが魔法による援護、そんなアリスを守るようにサコンが立ち回ることで、苦戦することなく黒騎士のいる扉の前までたどり着いた。


 「いいか?黒騎士の序盤は所持している剣による近接攻撃しかしてこない。序盤の攻撃はケンザキに任せようと思う。」


 「俺一人でか?」


 刃物という武器の特性上、格上だろうと格下だろうと、急所にさえすれば命に関わる。自分の実力派を誰よりも知っているケンザキには黒騎士を相手に一人で戦う自身はなかった。


 「大丈夫だ。もちろんアリスが魔法で援護をするし、回復する時はユウキがスキルでタゲを奪う。」


 自分よりもこのゲームに詳しいサコンの言葉を、ケンザキはひとまず信用することにした。


 「高難易度ボスとして登場したばかりということもあり、黒騎士については近接戦闘が得意なボス以上の情報はない。ここから先は戦いながら敵の情報を集めることになる。みんな覚悟はいいか!」


 四人は黒騎士のいる部屋の扉を通り、中へ入った。

 

 

 

 

  

 

 


  


 

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