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鷲宮城 城主 朱羅



 天鷹城城へと向かう和蛇田城の軍を退けた、九条たちは和蛇田城の兵士やプレイヤーが身につけている装備を広い集め、帰城した。


 「結局、援軍は来ませんでしたね……」


 九条の命令で城攻めに動いた、朝飛が率いる猪ケ倉城の兵士五千。朝飛が城攻めを結構したおかげで、九条の元に向かっていた援軍は引き返すこととなり、軍が引き返してきたことで城攻めを取りやめ、朝飛は和蛇田城から猪ケ倉城へと戻った。


 「あっ!おかえりなさい九条さん。実は……九条さんにお客様が来てまして……」


 九条たちが対抗戦をしていたら天守前へと戻ると、留守番をしていた杉下が困った顔でくんたちを出迎えた。


 「どうかしたんですか、杉下さん?」


 「それが実は……」


 杉下が九条の留守中に誰が訪ねてきたのかを離そうとすると、天守の中から大柄な男が九条へと声をかけた。


 「……相変わらず、俺たちの入城を許可なしで認めてるんだな!」


 その迫力のある大きな声は、離れた場所にいるプレイヤーの耳にも届いた。


 「朱羅さん?」


 「おう、久しぶりだな九条!元気してたか?」


 「お陰様で。それよりも何をしに来たんですか?仮にも城主である朱羅さんが来たんだ、挨拶をしに来ただけではないのでしょう?」


 「いやぁぁ、それがだな……」


 九条が厳しい表情で睨みつけると、朱羅はバツの悪そうな顔をした後、話を逸らした。


 「あ、そうだ!対抗戦の途中だったんだろ!俺の話は後にして、先にそっちを終わらせちまったらどうだ!?」


 「あの……その件でしたら、今回の対抗戦、我々 小鴉城は降参して、天鷹城城主 九条様の軍門に降る事に決めました」


 潤色から放たれた衝撃の言葉に、プレイヤーたちの視線が潤色へと集まる。


 「初めから天鷹城の傘下に入ることを小鴉城のプレイヤーに認めてもらうために開いた対抗戦でしたが、対抗戦の決着依然に、あの戦いを見せられては納得せざるおえなかったみたいです。」


 五つの城を落とし、配下のプレイヤーと共に管理する潤色。五つの城を二十四時間守ることは計り知れない労力が必要となり、仲間と協力することで、何とか今日まで守り通してきた。


しかし、九条たちと共に『四英傑』と呼ばれる、土亀城 城主の鬼塚に狙われたことで、遂に限界が訪れた。


 「天鷹城の傘下に入れてください。」潤色は過去に世話になったことのある九条に頭を下げに向かい、九条からは傘下に入れる条件として対抗戦を開くことを提案された。


 「なるほど、そんな事があったのか……」


 朱羅から詳しく話を聞くため、九条は潤色と萩村、そして朱羅を連れて御殿へと場所を移動した。


 「……それで?何をしにここに来たんですか?」


 相変わらず冷たい視線を向ける九条に、朱羅は一つの提案をした。


 「潤色の占領していた五つの城と配下の千人近いプレイヤーが仲間になったんだ、ここは俺とお前で共闘しないか!?」


 「……共闘?」


 「そうだ!鬼塚と御影(アイツら)が手を組んじまったからな、お前だって二人を相手にするのは厳しいだろうし……悪い話じゃないだ……」「お断りします」


 朱羅は食い気味に断る九条の反応に、汗をかかないはずの肉体に冷や汗を感じた。


 「俺が知らないと思ってるんですか?朱羅さんが制御を行ったせいで、暴走した傘下の城主がお二人の城にも攻撃を仕掛けたのが原因ですよね……」


 百九十を超える巨体を縮ませて、九条による説教を受ける朱羅の姿からは最強と恐れられていた男の面影は一切なく、まるで子供のように感じられた。


 「だけど、二人が手を組んだのは本当だぜ?あの二人が手を組んだとなれば、いくらお前だって……」


 「問題ありません。既に確認を取り、朱羅さんへの報復が終わり次第、敵対関係に戻るそうなので。」


 萩村の話に朱羅は言葉を失い、口を閉じて下を向いた。


 「そこで、協力するにあたり、こちらから二つの条件を提示します。一つは鬼塚さんと御影さんへの誠心誠意の謝罪と俺との協力関係についての説明。」


 「もう一つの条件は……?」


 潤色以外の二人は九条のことをよく知っており、それゆえ二つ目の条件が並大抵なものではないことを予見していた。


 「二つ目の条件はこちらが指定した四つの城の譲渡。」


 「……ちょっと待て!四つは流石に多いだろ!それだけの城を落とすのにどれだけの労力が……!」


 「嫌なら断ればいいんですよ。まぁ、他のプレイヤーに協力してもらおうにも、なりふり構わず敵に回したせいで俺しか頼る相手がいないんでしょうけど。」


 朱羅は他のプレイヤーに協力を要請する……そんぬ選択肢は初めから朱羅の頭には存在していなかった。


 確かに九条よりも城を多く所有するプレイヤーはいるにはいる。しかし、朱羅は鬼塚と御影のペアに勝つには『戦力』ではなく、先を見通す『戦略眼』が必要だと考えていた。


 「………………」


 だが、四つの城を失うのは朱羅にとっても、かなりの痛手。九条のように戦略を練ることができれば小さな損失で城を落とすことができるが、朱羅たちは圧倒的は『戦力』で強引に落とす。


 よって、一度の城攻めでの損失は大きく、それを四つ失うとなるとプレイヤー達の士気の低下に繋がりかねない。


 「しょうがないですね……では、朱羅さんの所有する城を二つ。そして、鬼塚さんと御影さんとの戦いの中で占領した城の中から好きな城を一つ頂きます。当然、占領後に分配する報酬とは別でね。」


 朱羅は数秒悩み決断した。


 「分かった……それで頼む!」


 「交渉成立ですね。では早速、会議を始めましょうか。」

 

 

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