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一回戦 隼VS暗器使い



 天鷹城 天守前広場

 

 「それにしてもまさか、お前たちが俺を差し置いてメンバーに選ばれるとはな……」


 剣崎が僅かな差で宮本武蔵を倒した後、天鷹城の主力メンバーが佐々木小次郎と戦い、最終的には燕返しを見切ったことで隼が佐々木小次郎を打ち破った。


 一騎打ちイベントの結果、選ばれたメンバー、勇、鳴海、結衣、剣崎、隼が小鴉城との対抗戦のメンバーに選ばれた。


 「……火室さんたちが先に戦ってくれたお陰ですよ。それに……」


 今回の一騎打ちイベントは倒すことのできないNPCを問題視した運営の手により、普段の一騎打ちイベントよりもNPCが弱体化されていたようで、一騎打ちイベントを楽しみにしていたプレイヤーたちの間で不満が広がった。


 結果、翌日には二人の剣豪は本来の強さに修正されることとなり。多くのプレイヤーが挑んでは倒されることとなった。


 「どんな理由があろうと、九条さんに選ばれたのはお前たちだ。……もう、対抗戦が始まるみたいだぞ?早く、九条さんたちの所に行った方がいいんじゃないか?」


 天守前広場に対抗戦開始を告げる太鼓の音が響き渡った。


 「行ってきます、火室さん!」


 剣崎と隼は火室に頭を下げ、対抗戦メンバーの集まる天守前広場に対抗戦を見るために集まったプレイヤーたちの視線の集まる先へと向かった。


 「これより天鷹城、小鴉城、両城の代表者による対抗戦を開始する!先鋒は前へ」


 九条により選ばれた先鋒は隼。隼の顔には緊張の色が浮かんでおらず、観衆を意に介さずに中央へと向かった。


 「あれ?君みたいな奴、天鷹城にいたっけ?」



 百七十cmを超えるか超えないか、平均的な身長の男は隼の顔をマジマジと見つめた。


 「二週間前に入った隼です!よろしくお願いします!」


 「あぁ、なるほど。どうりで知らないわけだ。じゃあ新人さんなわけだ……フッ」


 「……新人なことが、そんなにおかしいですか?」


 口元を隠して笑い声を漏らした男に、隼は純粋な気持ちで疑問を投げかけた。


 「いや、失礼。君をバカにするつもりはないんだ。ただ、天鷹城は新人を使わなくてはいけないほど人手不足なんだなと思ってな。そりゃそうか、二つしか城を持たないんだもんな。」


  「ハハハハ」と笑うおとこに隼は怒りを覚えた。


 「新人だからって舐めてると痛い目にあいますよ……」


 「上等だ。やってみろ。」


 隼が薙刀を構え、男は腰に携えた小太刀を抜き、脱力をするように両手を下に下ろした。


「それでは第一回戦。天鷹城 隼と小鴉城 三上の戦いを始めます。…………はじめ!」


 対抗戦開始の太鼓と共に隼が薙刀を振りかぶり、距離を詰める。


 (リーチの差を活かして攻撃を畳み掛ける!)


 薙刀を振る、持ち手を変え、振る、繰り返して流れるように行われる連続攻撃を、三上は小太刀を使いながら見事に捌ききっていた。


 「……ッ!」


 隼の動きが突然止まった。


 「おい隼、何してんだ!相手に隙を与えんな!」


 対抗戦のメンバーとして待機している鳴海の声が観客の声に打ち消されずに、隼の耳にまで届いた。


 「鳴海さん、隼くんの胸の辺りをよく見てください。」 


 三上から、たまらず距離をとる隼の胸元には棒状の手裏剣が深く突き刺さっていた。


 「あんなものいつの間に!」


 「攻撃を仕掛ける際、視線は自然と相手の持つ武器と自分の攻撃の当たる先へと向かう。恐らくは、対面している隼くんも投げたタイミングが分かってないはずだ。」


 九条の言葉通り、隼は気付かぬうちに突き刺さった棒手裏剣に困惑していた。


 (一体いつ受けたんだ……三上さんが攻撃を仕掛けるタイミングなんてなかったはずなのに……)


 「攻守交代か……な!」


 小太刀の一振を隼は余裕を持って避けた……しかし。


 「…………ッ!?」


 今度は腹部へと棒手裏剣が突き刺さる。


 (このままじゃジワジワとダメージを受けて負ける……剣崎(アイツ)だったら相手の攻撃のタイミングを見極めてから攻撃を仕掛けるんだろうな……)


 「どんどん行くぞ!」


 再び薙刀の間合いに持ち込まれないように、三上の攻撃は続く。




 「おいおい、隼のヤツ防戦一方じゃねぇか……」


 鳴海の隼を心配する声に、この場で隼を最も知る男が反応した。


 「……隼なら大丈夫です。あいつは俺が認めた『天才』ですから」



 棒手裏剣を投げつけられこそしないものの、近場での戦闘に持ち込まれ、薙刀を使う隼は小太刀の攻撃を受けるのに徹していた。


 「どうした、どうした!まだまだ、行くぞ!」


 小太刀の一撃を避けると同時に、再び隼の体に棒手裏剣が突き刺さる。


 (俺は……俺のやり方で……)


 隼は薙刀から手を離した。


 「お前……何をし……!」


 地面へと落ちる薙刀に視線を奪われた三上の視界は次の瞬間には落ちるように地面へと向かっていた。


 「は……?あれってどっちの勝ちになるんだ?」


 薙刀に視線を奪われた瞬間、隼は、小太刀を持つ右手の手首を掴み、捻りあげ、そのまま捻り上げた手首を背中に回して押さえつけた。


 「本来ならトドメを刺した側の勝利なんだけど。まぁ、流石にこれは……」


 millionwarsでは滅多に見ることの無い見事なまでの拘束技に、観客は一瞬声を忘れ静まり返った。


 「天鷹城VS小鴉城の対抗戦第一回戦……勝者 天鷹城 隼!!」


 

  

  

 

  


 

 

 


 

 

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