48話:悪いのは全て……メリディアナだ
最悪なのはリギル殿下だ。
提訴されたとなった時こそ、「戦おう、ラーン!」と言ってくれたのに。気付けばあの時の威勢はどこへやら。魂が抜けたような、腑抜けになってしまった。どうやら父親……国王に何か言われたようだ。以後、リギル殿下は……頼りにならない。
弁護士達は高額の金を払っている。ゆえに一応は働いてくれているが、どうもこちらも何か言われたのだろうか。次第に及び腰になっている。
挙句、「和解した方がいいのでは?」と言い出す始末。
だが確かに不利な状況である。和解を提案することに同意した。
だが……。
あのメリディアナはその和解案を却下したのだ。
なんて生意気な。
こちらが譲歩してあげているのに!
許せない。
強くそう思えた。
さらに最悪なのは、結局、私達は裁判で負けたこと。負けて、賠償金の支払いを命じられ、私は……リギル殿下の婚約者の内定も取り消されたのだ。しかも殿下から訴えられている。
といってもこれは殿下の本意ではない。国王の指示だろう。だって殿下からは、今もこっそり手紙が届く。まだ私のことを好きって! 今更それを言われても、どうにもならない。それに第二王子が王族の中で、どれだけ力がないかも分かった。やはり狙うべきは嫡男。王太子だった。
ともかくこれだけでも頭痛がする事態なのに。どうでもいい下々の者からも提訴され……。
許せない。
どうして私がこんな目に遭わないといけないのか。悪いのは全て……メリディアナだ。あの公爵令嬢のせいで、私は踏んだり蹴ったり。最近は両親や使用人にまで、冷たい目で見られている。
私は全てを手に入れるはずだったのに。
どうして……。
そこで私は復讐を決意する。専属侍女と私に異性として好意を寄せている従者を使い、メリディアナを傷つける計画を立てた。本当は暗殺者ギルドを雇いたいところだけど、つてがない。つてを探すこともできたが、そこで足がつくと困る。そこで従者に町のごろつきに声をかけさせ、金を握らせた。そしてメリディアナに一矢報いることにしたのだ。
従者はよくやってくれた。
あらかじめ街のごろつきに声をかけておき、自身はメリディアナの動向を見張った。するとあの王立騎士団ルミナスの団長、エリダヌス・ロイド・ウェリントンと買い物に行ったことを掴んだのだ。
エリダヌス・ロイド・ウェリントン。
公爵家の嫡男であり、騎士団長を務める異色の経歴。騎士団長でありながら、筋骨隆々というわけではない。一見すると品があり、隊服を着ていないと、貴族の令息にしか見えない。だがそんなことはなかった。噂では脱いだら引き締まった体躯であり、着やせするタイプ。しかも公爵家の嫡男として当主教育も受けているので、頭脳も明晰。しかもその容姿の秀麗さから、一時は王都中の令嬢が、彼の心を射止めようとした。
だが、一切なびかない。そこから異性へ関心がないのでは?となり、昔ほど彼について騒がれることはなくなったが……。
舞踏会へ足を運べば、今も令嬢に取り囲まれる。縁談話も途切れることなく持ち込まれていると聞く。私だって……少し気になっていた。だが舞踏会で声をかけようとしたが、その他大勢の言い寄る令嬢と同じように、簡単にあしらわれたのだ。
でもその時、リギル殿下と知り合えた。……思い出せばあの舞踏会には、宰相の息子もいたわね。宰相の息子も嫌いではなかった。インテリタイプでメガネも良く似合っていたから。でも王族には敵わない。宰相の息子 < 第二王子、だ。
ともかくそんなイイ男と、なんでメリディアナが買い物に!?と思ったこともあり、従者から伝書鳩で知らせが届くと、そのまま二人の後をつけるよう命じた。現役の団長と一緒のメリディアナを襲うのは、難しいかもしれない。それでもチャンスがあれば、仕掛けるよう指示していた。
すると二人は護衛騎士や侍女や従者から離れ、二人きりで行動を始めたのだ。チャンス到来。街のごろつきと言えど、数は六人。一人で六人も相手をすれば、いくら団長でも隙ができる。その隙にメリディアナを傷つけることができれば……。
そう思ったらあえなく六人は制圧されている。
つまり失敗。
ことごとく上手く行かず、私はストレスのピークだった。


















