黒猫は知り合いにコールします
こんにちこんばんは。
気付けば70話に到達していた事に驚きを隠せないでいる仁科紫です。
今回はチェシャがレンたちのところに遊びに行く話ですよー。
…まあ、たちと言いつつーなところはありますが、そこはご了承頂けると幸いですね。
それでは、良き暇つぶしを。
そして、コールしてみたところ…。
『あれ?チェシャじゃないか。珍しいね。』
「にゃにゃにゃーにゃ。」
…ワンコールで出たのだけど。うーん。レンも暇だったのかしら?
まあ、とりあえず暇だから…って言わずに、遊びに行っても良いかを聞きましょうか。
『あー。暇を持て余しているのか。いいよ。
観客席の後ろの方に行くと、ワープができるから、そこからE2-15を選択して、飛んでおいで。』
「にゃ!」
…あ。ワープ、出来たのね。っていうか、バレてる!?
むぅ。せっかく言わなかったのに。バレていたら意味がないわ。
『うん。待ってるよ。』
えーっと、後ろの方に移動すればいいのよね。
おおー。なんか、光る壁になっていたのね。それで、ここに入ってみればいいのかしら?
…ちょっと勇気がいるわね。だって、壁にぶつかりに行くようなものよ?ほら、あの有名な魔法の学校に行くための駅みたいな感じ。あれよりも、壁って言う感じはないけれど…。
うん。少し、ぶつかったら痛そうで嫌ね。せめて、カーテンみたいにすれば良かったのに。まあ、あれこれ悩んでいても仕方がないわよね。入ってみましょうか。
おおー。中は小さめの個室になっているのね。
シャランっという音がなった後にパソコンのキーボードのような、数字とアルファベットが並んだボタンが出てきたわ。
ふむ。ここに、E2-15を入力して、完了ボタンを押すっと。
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そして、気がつけば目の前にレンが居ましたとさー。…は?早すぎではないかしら。…ワープだものね。これが普通なんでしょうけど…なれる気がしないのは何故かしら…?
「あれ。早かったね。」
「にゃー?」
「いやいや、結構、あの壁に突撃するのに躊躇する人は多いからね。来るのに時間がかかるかなーって思っていたんだよ。」
ふーん。そうなの。まあ、そういう人も居るわよね。…実際、私もそうなりかけていたしね。
…あ。そうだわ。おめでとうってまだ言っていなかったわね。
「にゃにゃにゃにゃにゃ!」
「ありがとう。でも、チェシャもソロで本選に出場だよね?おめでとう。」
「にゃっ!?…にゃにゃにゃにゃー!」
あら。知っていたのね。それなら、どこかに結果でも掲示されているのかもしれないわね。
「チェシャってあまり掲示板見てないよね?
それなのに、知ってたってことは…もしかして、さっきの試合、観てたのかな?」
「にゃ。」
ど、どうして掲示板を見ていないことがバレたのかしら!?ま、まあ、観ていたから言ったのだけど。
「じゃあ、僕がソロの方でも本選に進出したのは知らない?」
「にゃぁ!?」
え!?…まあ、ね。うん。あの中でもかなり飛び抜けて強いイメージはあったものね。不思議ではない、かしら。
ということは、何処かでレンと当たる可能性もある訳ね。
「あ。やっぱり、そうなんだ。
それでさ、いつかは僕と当たる可能性があるわけなんだよね。
ということで、僕と当たるまでは勝ち抜いてきてよ。それまで、チェシャと当たるのを楽しみにしているからさ!」
「にゃふ。にゃにゃっにゃ!」
ふふふ。もちろん。受けて立つわ!
レンと戦うのはとっても楽しそうだもの。これは勝ち残らないとね。
「それでなんだけど。」
「…にゃぁ?」
うーん?何だか、嫌な予感が…。でも、さすがにそんなことはないわよね!うんうん。
「僕が勝ったら、一つお願いを聞いて貰えないかな?」
「にゃぁ…にゃ。」
…えー。やっぱり、そういうのなのね。うーん。どちらか勝った方のお願いを聞く…定番だけど、レンが言うとだいたい想像出来てしまうのよね。どうせ撫でさせて欲しいとかそんなことでしょうし。うん。まあ、それくらいなら良いとしましょうか。
「あ。レン。…と、狂い猫?」
あら。イリヤさんね。チャラ男からの容赦ない弓矢…。これがギャップ萌えって奴かしら?よく知らないのだけど。
というか、やっぱり狂い猫って呼ぶのね。うーん。これは、理由を聞くべき?
「イリヤか。休憩はもういいのか?」
「うん。へーきへーき。」
まあ、とりあえず挨拶よね。唐突に尋ねるのってどうかと思うし。
「にゃぁ。」
「やぁ。なんでここにぃ?」
「暇になったらしい。」
あ。ちょ、ちょっとー!?それは言わなくていいのよっ!なんで言っちゃうのかしら。…まあ、事実だし、仕方がないのだけど。
とりあえず、狂い猫が何のことか尋ねましょうか。
「なるほどねぇ。」
「にゃぁにゃ、にゃにゃにゃにゃっにゃにゃに?」
「え?あー…これ、言っていいものなのかな。」
「ん〜?チェシャちゃんはなんて?」
あ。猫語(笑)はプレイヤーだと、レンにしか通じないって忘れていたわ。
うっかりね。そもそも、他のプレイヤーと出会うことがないんだもの。それに、現地人には通じてしまうし…。うっかり忘れても仕方がないわよね。
「狂い猫とは何か、だって。」
「あれぇ?オレ、狂い猫って言ったっけ?」
「にゃ。」
「言ってたね。」
あれ…?なんで、そんなにあちゃーって顔をしているのかしら?
これは、暗黙の了解だったのをイリヤさんが言ってしまった感じがヒシヒシと…!!
「あちゃー…。ねぇ、レン。オレ、今日を無事に切り抜けられると思う?」
「…強く生きてくれ。」
「にゃぁ?」
なんか、イリヤさんはすっごく項垂れているし、レンは同情しているかのように肩をポンポンと叩いているわね。無事に切り抜けるってそんなに大事になる事なのかしら?…うーん。謎ね。
「まあ、冗談だけど。
多分、本人は知っておいた方がいいことなんじゃないかな。
それに、事態を知っているのと知らないのでは後々面倒になる確率が変わってくるからね。」
「レーンーっ!からかったねぇ!?」
「あ。バレちゃった。」
てへっとでも言いそうなくらい悪びれもないレン…もう少し反省してもいいと思うわよ?私。
…まあ、とりあえず、私は知っておいた方が良さそうなのはなんとなくわかったわ。
寧ろ、知らないうちに面倒なことに巻き込まれる方が嫌だもの。これについては今知れて、ラッキーだったと言うべきなのかもしれないわね。
…さて、いつまでもじゃれていないで、教えて欲しいのだけど?
「にゃぁ…。」
「あ。ごめんね?えーっと、チェシャは狂い猫っていう言葉を聞いたことはあるかな?」
…まあ、直接聞いたのは全部イリヤさんからだったわね。…え?予選で聞いたのはって?あれはねぇ…まあ、ノーカンということで。直接とは言い難い気がするんだもの。あれはたまたま耳に入っただけ。直接じゃない。つまり、直接聞いたのはイリヤさんだけ。よし。問題なし!
ということで、それ以外の人からはそもそも話していないから知らないし。掲示板も見ていないもの。だってねぇ。掲示板で先に知るより、自分でいろいろと発見したいじゃない?
「にゃにゃにゃにゃんにゃ。」
「なるほどね。全部、イリヤからか。
それならまず、『狂い猫』が誰を指す言葉かを教えてあげるべきかな。」
…あら?なんで、そこでイリヤさんを見る…もしかして、イリヤさんに説明させようとしてる…?うーん。別にレンでもいいと思うのだけど。
「…オレ!?」
「そもそも、事の発端はイリヤからじゃないか。」
「うっ…。だからってぇ。…はぁ。仕方がないかぁ。
えーっとねぇ。チェシャちゃんは狂い猫って呼ばれているんだよぉ。」
「にゃにゃ。」
なるほどー。狂い猫=私、ね。うん。まあ、そこはそうだとは思っていたからいいのだけど。
どうして狂い猫なのかしら?
うーん。猫はわかるわ。だって、私は猫だもの。そこはいいのよ。そこは。でも、ねぇ?何故に狂いってつけられなければならないのかしら?別に私、狂ってないもの!全く。不名誉な気がするのだけど!?
「それでぇ、実はチェシャちゃんにはねぇ。…信者が居るんだよぉ。」
「…にゃんにゃ?」
「そう。信者。君のことを猫様と崇め奉っている集団が居るんだよ。結構、有名になりつつあるけど、チェシャは知らなかったんだね。」
「にゃっ!?」
信者!?崇め奉…!?
…あー。そう言えば、猫様とか言ってきた相手が居たような…?うん。居たわね。あれは私の信者ということ、かしら?
…そう言えば、ときどき視線を感じるのよね。今もそうなのだけど。レンたちと話しているから目立っているだけだと思っていたわ。
でも…これは、違っていたようね。〈ヒゲ察知〉を意識して発動してみると、確かに私を見ているようだもの。
「あ。気づいた?まあ、とにかく、そういう集団が居るから気をつけてねって言いたかったんだ。」
「にゃぁ。…にゃんにゃ、にゃにゃにゃにゃにゃ?」
納得はしたのだけど。でも、どうして狂い猫なのかは知っておきたいわね?ふふふ。どうしてかしら?
「チェシャちゃんはなんて?」
「あー…。何故、狂い猫なのか、だって。」
「あー…。えーっとねぇ。オレも伝え聞いた話なんだけどねぇ?
なんでも、戦っているときに狂ったように笑っているから、だって。」
…むぅ。それは、否定出来ない部分がある、わね。
私、笑い過ぎている自覚はあるのよ。だって、楽し過ぎるのが悪いんだわ。
…まあ、ネーミングセンスはともかく、妥協すべきなのでしょうね。所詮、あだ名なんて、最も印象に残りやすいものが選ばれるものだし。
「にゃぁ…。」
「お。チェシャじゃねぇか。来てたのか。」
「…エイジ、ずっと見てたでしょ?」
「ねぇー!話が丁度終わったところに出てくるんだもんねぇ。」
「なっ。そ、そんな事…あるから否定できねぇな。」
あら。そこは素直に認めるのね。…ちなみに、私はそこに誰かいるなぁと思ってはいたけど、誰かは知らなかったわ。だって、結局一度しか会っていないのよ?分かるわけないわ。
…あら?それを考えると、二度しか会っていないレンにコールした私も私なのでは…?
…うん。気にしない方がいいわね。ほら、知り合いのいない高校に入学したときに、受験当日、たまたま隣で少し会話した子に会うと、なんだか安心しちゃうやつよ。
プレイヤーでフレンドは結局ALICEの面々しかいないわけだし。うん。仕方がないわね。…我ながらちょっとどうかと思うけど。
次回、本選開幕!
…まだ、レンたちと話すと思った人、すみません…。ネタが思いつかなかったんです…。
それでは、これ以降も良き暇つぶしをお送りください。




