翔へのフォロー 高坂さん
あのふたり、なんの話しが始まってるのだろう。
「なんの話しになってるのかな」
高坂さんはぷっと吹き出して、笑いだす。
「いいねぇ、亜紀も気をつかってんだよ。彼のこと気に入ったんだ、よかったねぇ」
「え? そうなの、かな」
私は戸惑い気味に高坂さんとあちらのふたりを交互に見比べる。
彼はからかうように片目を細くして、私を見た。
「次は、朝陽さんが、あっち、アメリカに会いに行くのかな」
首を振りながら、うつむく。
「私は行けないです、怖くて。父が、あっちで亡くなったこと、思い出すから」
すっと、短かく息を飲む音が聞こえた。
「ごめん! 申し訳ない。知らなくて」
慌てて早口で詫びる高坂さんに驚いて、顔を上げる。
「いえ、亜紀も、こんな理由の話しはしないと思います。知らなくて当然です」
眉を下げて、情けない表情をしてる高坂さんに微笑む。
すると、彼は、キュッと口元をひきしめて、謝るように一礼した。
「無神経だった。でなきゃ、あんな必死になるわけないのに」
「必死?」
高坂さんは、眼鏡のつるを押さえて、耳にかけ直すような仕草。
それは、話の仕切り直しの間をとってるようにも見えた。
「いつも、画面で会うばっかりだと気づかないことあるでしょう。あのくらいの年だと、彼の場合、身長とか体の大きさとか、前より変わっていたんじゃない?」
そうだ、今回、会うまで翔の身長があんなに伸びてたことがわからなかった。
手の大きさや胸の広さも触れなくてはわからなかった。
「服や身につけるもののサイズなんて、見た目じゃわかんないよね。触れてもちょっと厳しいかな。あと、好みも」
「そう、ですか?」
男の人のボトムはともかく、シャツくらいなら、サイズは大体わかる。
特に、翔は水色系統の服をよく着てて、デニムが多いから、それに合うのを選べばいいだけ。
「男はね、よっぽど、スタイルこだわる人なら、ともかく、身内ならわかりやすくない? でも、女性の場合は難しいよ。アクセサリすら、ね」
「そうなんだ」
うん、というように、高坂さんはうなずいて、
「直接、聞けばいいんだろうけど、どうせなら驚かせたいよね」
また、翔と同じようなことを言った。
彼の話は難しいというか、回りくどいというか掴めない。
何かの前提で進めているから、その何かがわからないと理解できない。




