おせっかい 高坂さん
瞳を薄くした亜紀が翔の腕を取り、私の側から離す。
これは、説教モードの体勢。
「さて、昨日のこと、聞こうか。朝陽が結構、へこたれたこと」
大人しく腕を引かれていきながら、翔は彼女よりも先に言い出した。
「俺、聞きたいことが」
「おーい、亜紀、頼んだよ?」
亜紀は高坂さんの言葉にうなずいた。
私と高坂さんはふたりの様子を眺めるように数歩、後ろに下がった。
「彼は、なんで生理用品と病気がリンクしたのかな? アレルギーもくわしそうだった、アーモンドの時。そういう勉強してるの?」
「ドクターか医療関係の仕事したいらしくて、学校もそういう所で。知り合いの病院でお手伝いしているそうです。で、あっちはナッツアレルギー多いって」
緊急時の止血に生理用品がとっさに使えると知っている若い男はそうはいないと思う。
私の返答に高坂さんは、一回、うなずいて、なぜか嬉しそうに笑う。
「なるほどね。いっそ、彼も同じならと思ってたんだけど、言わなくてよかったなぁ」
「……はぁ」
何と言っていいのやら、で。間の抜けた返事しか。
「アメリカでドクターだと大変だね」
「そうですね。お金も時間も日本より、掛かるから……」
「日本で勉強して、ドクターとかそういう仕事すること考えていないのかな」
そういえば、翔がこっち来るか、みたいなことを何回か口に出していた事を思い出す。
「うーん? 来ようかな的なことは。でも、こちら来るなら、母も一緒じゃないとって……」
高坂さんは、眉をひそめて、うつむき、
「は? なんで母親いるかな? あー、でも、ストッパー、か……」
と早口でつぶやきながら、はっと目線を上にあげ、こほっと軽い咳をした。




