表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いつかの恋を待ってる  作者: かようこ
36/56

翔の独り言と家族の思い

 これまでの会話の流れで、翔のセリフは意味不明。


 おまけに聞き捨てならないワードが出た。


 思わず、顔を彼に寄せる。


「男っ気?」


 そして、なぜ〝安心〟なの。


 彼はそのままの姿勢で続ける。

「だって、貰ったアクセサリすら、俺に、いる? なんて聞くし、バレンタイン他の男の分ないし、お泊りまでのプロセスにたどり着くの遅いし、腕組んで歩くの慣れてないみたいだし」


 相当、私を観察してたなー。

 翔だって、勘がいいというか、さ。


 そして、理に適っている事実だが、よくも、つらつらと言えるもんだ。むしろ失礼だよ。 


「イブも遅く帰っていないし、クリスマスは早朝からマンションで起きてるし、バラの花束を貰うことの反応の悪さとか、このホテルだって、いつか男と泊まる可能性、全然、考えてないし」


 も、さ、口に出さんでいいこと。

 まだ、言うか。


 両手をグッと拳に握る。

 目の前の頭をグーで叩きたいのをこらえて、声を押し殺したように言う。


「男っ気なくてなにか?」


「んー、やっぱり、こっちに来ようか。でもなー」


 イヤイヤ、今度はホント意味不明なこと言い出すし。


 イラッとして、翔の頭の両脇をがしっと掴む。

「何言ってんの」


 彼は私の手首をつかんで、顔を上げた。


「朝陽の心配、だよ?」


 翔は、思っていた表情と違い、瞳に強い光を宿れせて私を射抜くように見つめた。

 たじろいて体を引く。

 手首を握られているので、ほんの少し胸をそらした程度。


「これからだって、こんな心配するよ、俺。変わんないよ、ずっと」


「でも……」


 言葉は、続かない。

 だって、思いがけないこと言われてるから。


「それは家族だから、母さんも同じ。それをちゃんと伝えたくて、わかってもらいたくて来たんだ」


 ことんと翔は私の肩に自分の額を乗せた。

 彼の暖かい息が鎖骨にあたり、柔らかい髪が首筋にふれて体が固まる。


「俺は朝陽の側にいたいし、側にいてほしい、そう思っている。今は、そうじゃないけど、でも」

 彼は少し震えながら、体を緊張させて、話しをしている。


「待ってて。ちゃんと……、考えてるから」

 

 ふと、何かに気づいたように、翔が顔を上げ、困ったような泣きそうな顔をして、ほんの少し触れるくらいの優しい指先で頬に触れる。


 知らないうちに、涙がこぼれてたから。


「朝陽が寂しいのも、わかってるよ。俺、も、母さんだって、同じだよ。いつだって」


 お母さんも翔も家族でいられると側にいたいといってくれる。

 私の寂しさもわかってくれて、考えてもくれてること。


 その言葉に甘えようと思う、今は。


「……ありがとう」


 本当は、笑顔で伝えたかったけど、なんだか、顔に力が入らない。

 自分の意思とは無関係に瞳が閉じていく。


 翔が、何かを言っている気がしたけど言葉が耳に入ってこない。

 体がふわっと前に倒れていく感覚があって、そのあとは覚えがない。


 もう何も考えられない、頭に入れたくない、キャパオーバ。 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ